26 / 35
闘い
20
しおりを挟む
ドアをノックする音で目がさめる。どうやら眠ってしまったらしい。
「安藤万理です。よろしくね?」
とても可愛らしい人だなぁ、というのが第一印象。
「こよみです。よろしく」
「点滴するねー」
え、嫌です。ほんと、嫌です。
万理さんは、大丈夫よー私上手いから、なんて鼻歌まで歌っているし…。
「…はい、痛くない。そろそろ学校終わる時間ね?誰か来るの?」
「多分、二人…あ、来たかも」
丁度ドアが開いた。
「こよみ大丈夫??」
「平気か?」
拓人くんは、いないのね。
「拓人は委員会よ。初めまして。水瀬菜緒です。そしてこっちが岡本明」
「よろしくね、安藤万理です。万理さんって呼んでね」
「えっと、菜緒は私の親友。明は…彼氏です」
あ、なんか急に恥ずかしくなってきた…。
「こよみちゃん彼氏いたの?!まぁ、そうよね…。でも私には…誰かいないかなぁ」
「だ、大丈夫ですよ!万理さんお綺麗ですし、若いですし!」
「そう?あ、看護師長に呼ばれてた、じゃあね」
「…菜緒から聞いたよ。頑張ったんだって?お疲れ様」
「あの後ねみんな廊下で泣いちゃって大変だったのよ。先生も目が赤かったし」
「あはは、そんなに涙もろいんだ?そういえばそうと、お見舞来てくれてありがとね」
「俺は多分毎日来るよ。あ、それと優が熱出してな…」
「大丈夫なの?心配ね」
「ほら、こよみは自分の心配しなさいよ。じゃあそろそろ弟のご飯作りに帰るね」
「バイバイ」
二人が帰るとまた静まり返る病室。すごく心細い。すでにホームシックになりそうだよ…。
それから毎日明は病室に通ってくれた。
「こよみちゃん、おはよう…はい、終わり」
「ん…おはよう。眠たい…」
どうやら万理さんは私が寝ぼけているときに点滴をしたらいいということを発見したらしい。
そしてその日のお昼過ぎ、私は白川先生に検査の結果を聞いていた。
「今の所、進んではいないようね。このまま固形物食べれたら一回家に帰る?」
「ほんと?やった…」
………しばらくして、お母さんが私を訪れた。
「あら、おかえり。そうそう、この前のブランドね、名前決まったのよ」
この前のブランド、とは私が最後のデートのときに着た服のブランドだ。
「え、なに??」
「LOVELY ANGEL」
ラブリー…エンジェル…。どういう意図でそんな名前にしたんだろう。
「理由はまた今度、楽しみにしててね。あ、そろそろ会議だから行かないと…ごめんね、こよみ」
「いいよ、行ってらっしゃい」
お母さんと入れ違いに万理さんが入ってきた。
「ね、万理さん。今度お母さんの新しいブランドが出来るの。それで、その名前がね『LOVELY ANGEL』って言うの。まだ内緒よ?」
そう言うと万理さんは少し考え込んだようで、
「…可愛らしい…天使?まさか」
「なに?」
「…なんでもないわ。そうそう、リゾット食べてみる?」
「少し」
私はリゾットを出してもらって食べたんだけど、やっぱり三分の一くらいしか食べられなかった。それより、病院食の味じゃなかった…。後から聞くと、どうやら本物のシェフが作ったとかなんとか…。
そのあとはとりあえず何もなかったんだけど。…胸あたりに異変を感じた午前一時半ごろ。
気持ち…悪い。
ナースコールを押すと万理さんがすぐに来てくれた。
「気持ち悪い?よしよし、全部出しちゃっていいからね」
結局、夜食べたのもは全て吐き出してしまった。
「大丈夫よ。だから寝よう?」
「うん」
私は少し悔しくなった。
「安藤万理です。よろしくね?」
とても可愛らしい人だなぁ、というのが第一印象。
「こよみです。よろしく」
「点滴するねー」
え、嫌です。ほんと、嫌です。
万理さんは、大丈夫よー私上手いから、なんて鼻歌まで歌っているし…。
「…はい、痛くない。そろそろ学校終わる時間ね?誰か来るの?」
「多分、二人…あ、来たかも」
丁度ドアが開いた。
「こよみ大丈夫??」
「平気か?」
拓人くんは、いないのね。
「拓人は委員会よ。初めまして。水瀬菜緒です。そしてこっちが岡本明」
「よろしくね、安藤万理です。万理さんって呼んでね」
「えっと、菜緒は私の親友。明は…彼氏です」
あ、なんか急に恥ずかしくなってきた…。
「こよみちゃん彼氏いたの?!まぁ、そうよね…。でも私には…誰かいないかなぁ」
「だ、大丈夫ですよ!万理さんお綺麗ですし、若いですし!」
「そう?あ、看護師長に呼ばれてた、じゃあね」
「…菜緒から聞いたよ。頑張ったんだって?お疲れ様」
「あの後ねみんな廊下で泣いちゃって大変だったのよ。先生も目が赤かったし」
「あはは、そんなに涙もろいんだ?そういえばそうと、お見舞来てくれてありがとね」
「俺は多分毎日来るよ。あ、それと優が熱出してな…」
「大丈夫なの?心配ね」
「ほら、こよみは自分の心配しなさいよ。じゃあそろそろ弟のご飯作りに帰るね」
「バイバイ」
二人が帰るとまた静まり返る病室。すごく心細い。すでにホームシックになりそうだよ…。
それから毎日明は病室に通ってくれた。
「こよみちゃん、おはよう…はい、終わり」
「ん…おはよう。眠たい…」
どうやら万理さんは私が寝ぼけているときに点滴をしたらいいということを発見したらしい。
そしてその日のお昼過ぎ、私は白川先生に検査の結果を聞いていた。
「今の所、進んではいないようね。このまま固形物食べれたら一回家に帰る?」
「ほんと?やった…」
………しばらくして、お母さんが私を訪れた。
「あら、おかえり。そうそう、この前のブランドね、名前決まったのよ」
この前のブランド、とは私が最後のデートのときに着た服のブランドだ。
「え、なに??」
「LOVELY ANGEL」
ラブリー…エンジェル…。どういう意図でそんな名前にしたんだろう。
「理由はまた今度、楽しみにしててね。あ、そろそろ会議だから行かないと…ごめんね、こよみ」
「いいよ、行ってらっしゃい」
お母さんと入れ違いに万理さんが入ってきた。
「ね、万理さん。今度お母さんの新しいブランドが出来るの。それで、その名前がね『LOVELY ANGEL』って言うの。まだ内緒よ?」
そう言うと万理さんは少し考え込んだようで、
「…可愛らしい…天使?まさか」
「なに?」
「…なんでもないわ。そうそう、リゾット食べてみる?」
「少し」
私はリゾットを出してもらって食べたんだけど、やっぱり三分の一くらいしか食べられなかった。それより、病院食の味じゃなかった…。後から聞くと、どうやら本物のシェフが作ったとかなんとか…。
そのあとはとりあえず何もなかったんだけど。…胸あたりに異変を感じた午前一時半ごろ。
気持ち…悪い。
ナースコールを押すと万理さんがすぐに来てくれた。
「気持ち悪い?よしよし、全部出しちゃっていいからね」
結局、夜食べたのもは全て吐き出してしまった。
「大丈夫よ。だから寝よう?」
「うん」
私は少し悔しくなった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」


【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる