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ラスト・デート
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「どうしようかなぁ」
ついに迎えたデート当日。私はずっと朝から服に悩んでいる。お母さんも一緒に服を散らかして…
「じゃあこれにしたらどう?」
なんて、言ってきたり。お母さんが選んだのはお母さんにしてはまともな清楚な感じの服。
「今度できる私の会社のブランドの姉妹ブランドの服よ。ちょうどこよみくらいの年頃の子に合わせてるの」
「ブランド名は?」
「まだ決まってないの。こよみ、もう時間になっちゃうわ。スマホ、薬…持った?」
「持ったよ」
「…最近しんどいんでしょう。隠してもダメ。でも、最後だと思って楽しんできてね」
「うん、そうだね…。いってきます」
家の外に出ると三人が待っていてくれた。
「おはよー、こよみ元気?」
「うん、大丈夫」
「…こよみ。服、似合ってるよ」
ん…?なんかとてつもなく恥ずかしい言葉が…
「今日は買い物に行ってからプラネタリウムに行く予定だよ。あとこよみちゃん、俺のことはいい加減拓人でいいからね」
お買い物にプラネタリウムか…。楽しみだなぁ。
大型ショッピングモールに来た私たち。人が多くて酔いそう…。
「少し雑貨屋に行きたい。いい?」
「珍しいわね…行きましょ?」
なんで急に雑貨屋に行くかというと…私は、お母さんに何も残してあげられないから。だから何かして死にたいなって…。
「四人で何かお揃いにしない?ピアスとか」
「拓人はピアスしすぎなのよ。私は平気」
「俺は…一個しか空けてないけど」
「私は…うん。大丈夫」
私が藤色、明が赤色、菜緒が黄色、拓人くんは緑になった。
これなら…棺に入れてもいいかな、なんて。こんなこと言ったらみんなに怒られちゃうね。
それから、お昼を食べることになって私はリゾットにしたけど…
「ごめん、トイレ…」
「大丈夫か…?」
…やっぱり吐いてしまう。あんまりトイレに長くいたら心配かけてしまう。
「ごめん、水族館行ったあとは私に任せてくれる?」
ちゃんと言うためにも。私が私自身に向き合うためにも。
「いいよ?楽しみね、美味しいものでも食べさせてくれるの?」
「いいよー、何食べたい?」
………自由でいいな。
私は水槽の中でゆったりと優雅に泳ぐクラゲをみて、そう思った。
そして___________
「じゃあ最後は私からのプレゼント。ここはね、綺麗にイルミネーションが見えるんだよ」
三人を連れて私はあるレストランに来ていた。でも三人は
「こよみ…ここ、高級レストランじゃない…」
「お嬢様って凄いんだね…」
「俺も改めてそう思った…」
なんて感嘆しながら言うものだから、少し可笑しくて笑っちゃった。
そして私は大きな窓ガラスの方を向いて話し始めた。
「みんなそのまま聴いて…。私ね、入院することになった」
「どうして?!最近元気だったじゃない…」
「実は最近体調よくないの。すぐ吐いたりね…」
「どうして言わなかった?」
「心配かけたくないじゃない…」
明が少し怒ったように言った。
「そんなに…俺たちは頼りなかった?俺はまだ付き合いは浅いけど。何のために菜緒と明と俺がいると思ってるの?」
拓人くんの言葉に私は何とも言えなかった。ただ…哀しく微笑むことしかできなかった…。
「あと、もう長くないって…。若いから進行がはやいんだって…」
「嘘だろ?だって…その日まではまだ一ヶ月あるじゃんか」
「明、ごめん。本当なの…入院は明日から」
みんなもう何も言わなかった。私の告白にショックを受けているのか、それとも私に話す気が無くなったのか。
「それでね、一つ決めたの。三人に聞いて欲しい。私は、この選択をしたことをもう後悔はしない。私が終わるとき、楽しかったって思えるように、今を過ごすの」
「ああ…俺はずっとこよみのそばにいるから」
「私もよ」
「俺もね」
みんなありがとう。
最初で最後のデート楽しかったよ。
三人と出会えて私は幸せだったね。
ついに迎えたデート当日。私はずっと朝から服に悩んでいる。お母さんも一緒に服を散らかして…
「じゃあこれにしたらどう?」
なんて、言ってきたり。お母さんが選んだのはお母さんにしてはまともな清楚な感じの服。
「今度できる私の会社のブランドの姉妹ブランドの服よ。ちょうどこよみくらいの年頃の子に合わせてるの」
「ブランド名は?」
「まだ決まってないの。こよみ、もう時間になっちゃうわ。スマホ、薬…持った?」
「持ったよ」
「…最近しんどいんでしょう。隠してもダメ。でも、最後だと思って楽しんできてね」
「うん、そうだね…。いってきます」
家の外に出ると三人が待っていてくれた。
「おはよー、こよみ元気?」
「うん、大丈夫」
「…こよみ。服、似合ってるよ」
ん…?なんかとてつもなく恥ずかしい言葉が…
「今日は買い物に行ってからプラネタリウムに行く予定だよ。あとこよみちゃん、俺のことはいい加減拓人でいいからね」
お買い物にプラネタリウムか…。楽しみだなぁ。
大型ショッピングモールに来た私たち。人が多くて酔いそう…。
「少し雑貨屋に行きたい。いい?」
「珍しいわね…行きましょ?」
なんで急に雑貨屋に行くかというと…私は、お母さんに何も残してあげられないから。だから何かして死にたいなって…。
「四人で何かお揃いにしない?ピアスとか」
「拓人はピアスしすぎなのよ。私は平気」
「俺は…一個しか空けてないけど」
「私は…うん。大丈夫」
私が藤色、明が赤色、菜緒が黄色、拓人くんは緑になった。
これなら…棺に入れてもいいかな、なんて。こんなこと言ったらみんなに怒られちゃうね。
それから、お昼を食べることになって私はリゾットにしたけど…
「ごめん、トイレ…」
「大丈夫か…?」
…やっぱり吐いてしまう。あんまりトイレに長くいたら心配かけてしまう。
「ごめん、水族館行ったあとは私に任せてくれる?」
ちゃんと言うためにも。私が私自身に向き合うためにも。
「いいよ?楽しみね、美味しいものでも食べさせてくれるの?」
「いいよー、何食べたい?」
………自由でいいな。
私は水槽の中でゆったりと優雅に泳ぐクラゲをみて、そう思った。
そして___________
「じゃあ最後は私からのプレゼント。ここはね、綺麗にイルミネーションが見えるんだよ」
三人を連れて私はあるレストランに来ていた。でも三人は
「こよみ…ここ、高級レストランじゃない…」
「お嬢様って凄いんだね…」
「俺も改めてそう思った…」
なんて感嘆しながら言うものだから、少し可笑しくて笑っちゃった。
そして私は大きな窓ガラスの方を向いて話し始めた。
「みんなそのまま聴いて…。私ね、入院することになった」
「どうして?!最近元気だったじゃない…」
「実は最近体調よくないの。すぐ吐いたりね…」
「どうして言わなかった?」
「心配かけたくないじゃない…」
明が少し怒ったように言った。
「そんなに…俺たちは頼りなかった?俺はまだ付き合いは浅いけど。何のために菜緒と明と俺がいると思ってるの?」
拓人くんの言葉に私は何とも言えなかった。ただ…哀しく微笑むことしかできなかった…。
「あと、もう長くないって…。若いから進行がはやいんだって…」
「嘘だろ?だって…その日まではまだ一ヶ月あるじゃんか」
「明、ごめん。本当なの…入院は明日から」
みんなもう何も言わなかった。私の告白にショックを受けているのか、それとも私に話す気が無くなったのか。
「それでね、一つ決めたの。三人に聞いて欲しい。私は、この選択をしたことをもう後悔はしない。私が終わるとき、楽しかったって思えるように、今を過ごすの」
「ああ…俺はずっとこよみのそばにいるから」
「私もよ」
「俺もね」
みんなありがとう。
最初で最後のデート楽しかったよ。
三人と出会えて私は幸せだったね。
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