空からのI LOVE YOU

奈津 柚亜里

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ラスト・デート

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「うぅ…」

文化祭の日から体調が悪い。そろそろなのかな…。

「おはよう、こよみ」

こうやって菜緒と道を歩けるのは何回あるんだろう…。今日が最後とかだったら嫌だなぁ。

いつもの昼休み。四人みんなで食べるお昼ご飯。私は食欲がなくて箸が進まない。すると矢野くんがそれに気づいて声をかけてくれる。

「あれ、こよみちゃんお腹いっぱい??」

「あ…うん。朝食べすぎちゃって」

もうそろそろ体調を誤魔化すのがキツい…。

「…な、四人でどこか行こう」

珍しくそう言ったのは明だった。大抵誘うのは菜緒か矢野くん。

「…うん、行こう。じゃあ、週末だね」

三人に色々話さないといけない。それに……これが最後かもしれないから。

「…っ。ごめ…私先生に呼ばれてた。…先、行くね」

「わかったー」


__________ジャー…

「ごほっ…ケホケホ」

本当は先生に呼ばれてなんていない。私は今トイレにいる。もう私の身体は固形物を受け付けられなくなりつつあった。

「保健室…行こう」

「あら、こよみちゃん。しんどいの?」

最近お世話になっている保健医の先生。私の病気を知っている。

「最近…病院行ってないの。実は…ご飯食べてもすぐ吐いちゃって。もうそろそろ入院だよね…でも…まだ。みんなと、一緒にいたいの…っ」

入院したらもうみんなと会うことはもうない。あるとしても私が深い眠りについた後だ。

「…今から行っといで。私が上手く誤魔化してあげるから、ね?」

「…そうします」




「こよみちゃん、元気にしてた?久しぶりね!」

元気にしてたらこんなところ来ないよ…。それは先生もわかっているみたいで、検査しようね?と私の頭を撫でた。



「…検査の結果、余命宣告したより早く死んじゃうかもしれないわ…」

わかってたよ、そんな気がしてた。私が一番分かってるよ。私のロウソクはもうあと少しなんだね。ロウソクがなくなったら…それは死が待っている。

「私としてはまだまだ学校に行ってもらいたいの。でも…医師として、それは出来ない。ごめんね…」

「いいんです、もうわかってたから。でも…今週の日曜日まで待ってください…お願いします」

頭をさげる。みんなと…思い出を作っておきたいから。

「…わかったわ。じゃあ日曜日に荷物入れ、入院は月曜日ってことにしましょうか。学校の子たちにも挨拶しなきゃだしね」

「あ…有難う…ございます」


家までの帰り道、お母さんになんといったらいいのかずっと考えてた。でも、それを伝えると案外普通で…。

「私ね、こよみが延命治療を受けないって言ったとき、すごく悲しかったけど、嬉しかったの。だって、こよみが自分の意思を私たちに言ったのって初めてだったから」

そう言ってくれたお母さんはそれに…、と付け足して

「最近楽しそうなのって明くんのおかげでしょう?」

え、なぜそれを…。
お母さんを見るとふふふ、と笑っている。年の功ってやつよ、とおかは言うけれど、本当に??

「明日、デートなんでしょ。早く寝て、明日は可愛くしていかないとね」

「うん」

…ありがとう。

最初で最後の…デートだもんね。
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