14 / 35
仲直り
10
しおりを挟む
「私ね……余命宣告されたの」
「……え?」
やっぱり傷つけてしまったかな。
「ねぇ、嘘なんでしょう。冗談やめて」
「嘘じゃないんだよ、本当なんだよ」
菜緒はその場にへたり込んだ。私もしゃがんで菜緒に話しかける。
「このことを菜緒にいうと悲しんじゃうと思ってずっと言えなかった。ごめんね、私も言うほうが正しいのか言わないほうが正しいのかわからなくて。でも、隠すのはやっぱり違うと思ったの」
たくさん傷つけてしまったのだろう。一番の友達に隠し事をされて、しかもケンカもしてしまった。そして突如聞かされる、友達の死の宣告。どれ程辛いことだろう。
「ごめん…なさい、こよみ。こよみのこと何もわかってあげられなくて…。ごめんね、辛かったね…」
「私こそ…本当にごめんなさい」
二人で泣きながら謝まった。
「明も…ありがとう」
「俺は何もしてない」
「…あれあれ、お二人さん。なんかとても仲良くなっていらっしゃるようで…?」
「え、ちがっ…!…わ、私先に下に入ってるから!!」
「で、何かあったの」
「…告白した」
「でしょうね。少なからずあの子はあの子なりに色々考えてはいるんでしょうね。でも、自分のことがやっぱりストッパーになってるのよね、告白をOKするかは…」
「…わかってる」
その先は言わずともわかった。その選択をするのはこよみ自身なのだから。
「……違う、そんなわけないの」
そんなわけではいけないの。仲が良いのは、幼なじみだから。なのに、恋とか…違うから。
私は恋をしてはいけないのだから。付き合ったところで私は直ぐ死ぬ。明の告白は嬉しい…でも私は応えられない、応えてはいけない。
ならせめて…死ぬまでの短い間、ずっと二人といよう。たくさん話をしよう。楽しい思い出を作ろう。私が…みんなの記憶に少しでも居続けられるように。
「こよみ、いつものとこ行くわよー。勿論、明もね」
「まじ……?」
私は少し潤んだ目と心を隠すように、元気に微笑んだ。
「行こう!」
後悔しないように…。
いつか死ぬ時、思い出を残せるように。
「……え?」
やっぱり傷つけてしまったかな。
「ねぇ、嘘なんでしょう。冗談やめて」
「嘘じゃないんだよ、本当なんだよ」
菜緒はその場にへたり込んだ。私もしゃがんで菜緒に話しかける。
「このことを菜緒にいうと悲しんじゃうと思ってずっと言えなかった。ごめんね、私も言うほうが正しいのか言わないほうが正しいのかわからなくて。でも、隠すのはやっぱり違うと思ったの」
たくさん傷つけてしまったのだろう。一番の友達に隠し事をされて、しかもケンカもしてしまった。そして突如聞かされる、友達の死の宣告。どれ程辛いことだろう。
「ごめん…なさい、こよみ。こよみのこと何もわかってあげられなくて…。ごめんね、辛かったね…」
「私こそ…本当にごめんなさい」
二人で泣きながら謝まった。
「明も…ありがとう」
「俺は何もしてない」
「…あれあれ、お二人さん。なんかとても仲良くなっていらっしゃるようで…?」
「え、ちがっ…!…わ、私先に下に入ってるから!!」
「で、何かあったの」
「…告白した」
「でしょうね。少なからずあの子はあの子なりに色々考えてはいるんでしょうね。でも、自分のことがやっぱりストッパーになってるのよね、告白をOKするかは…」
「…わかってる」
その先は言わずともわかった。その選択をするのはこよみ自身なのだから。
「……違う、そんなわけないの」
そんなわけではいけないの。仲が良いのは、幼なじみだから。なのに、恋とか…違うから。
私は恋をしてはいけないのだから。付き合ったところで私は直ぐ死ぬ。明の告白は嬉しい…でも私は応えられない、応えてはいけない。
ならせめて…死ぬまでの短い間、ずっと二人といよう。たくさん話をしよう。楽しい思い出を作ろう。私が…みんなの記憶に少しでも居続けられるように。
「こよみ、いつものとこ行くわよー。勿論、明もね」
「まじ……?」
私は少し潤んだ目と心を隠すように、元気に微笑んだ。
「行こう!」
後悔しないように…。
いつか死ぬ時、思い出を残せるように。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。


【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。
ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」
はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。
「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」
──ああ。そんな風に思われていたのか。
エリカは胸中で、そっと呟いた。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる