5 / 35
ドキドキ
2
しおりを挟む
それからしばらく体調不良が続いたが、多分風邪くらいだろうと思っていた。
「あー、こよみ、また無理してんでしょー。大丈夫、しんどい?」
「んー、平気。」
「いい加減病院行ったら?」
「いやだ」
絶対行きたくないね。小さい時から病院は嫌いなんだよね。学校で採血でもあろうものなら、私は校舎中走り回るよ。
「…いい加減その病院嫌いなおせば?ガキかよ」
突然会話に入ってきたのはこの男。
「まあまあいいじゃないの、明。あんただって今だにトマト食べられないでしょ」
そーだそーだ!もっと言ってやれー!
「うっせーよ…。しょーがねーじゃん、食べれないんだから」
「こよみの病院嫌いもそんなもんでしょ」
明は菜緒に説得されたようで、静かになった。
というか私、明と一言も話してないんだけどね。
「……で、なにかあったの」
「え?」
屋上でお昼ご飯を頬張っていたら突然、菜緒の言葉。
「なんかあったでしょう、二人」
どうして、わかるんですか。私なにも言ってないですよね。
逆に怖いわ。
「こよみは明の方向かないし、明はこよみのことちらちら見るし」
「…菜緒。明はこの地球を危険にさらすんだよ。私は絶対明のことなんか好きにならないから!」
「なにも言ってないじゃない。でも、明そこまで悪くないと思うけど?まあ、私は彼氏いるし関係ないけどね」
そこまでなんだよ、明は。だって、断りもなく女の子にキスするんだから。ほんと最低!…というか、
「菜緒、彼氏ってなに。私聞いてない!」
「あれ、言ってなかった。また、今度ね」
いつの間に…。まあ、菜緒は美人だからわかるんだけど。
「こよみは好きな人とかいないの」
「いない」
ほぼ即答。だってね、恋ってなにかわからないから。
「本当に、明にしといたら?多分明はこよみのこと好きだと思うよ」
いやいやいや、それはないだろう!仮にそうなら、私に無理矢理キスなんてしないはず。そもそも、私ずっといじめられてきたし!
でも、なんか…モヤモヤ?
「まあ、頑張って?(明もね)」
えぇー、と私は思ったが、まぁ菜緒はしっかりしてるし。でも、明のことは別だから!
昼休みが終わり教室に戻ると、担任の広瀬先生が入ってきて、懇談のことについて話した。広瀬先生は若くてかっこいいので女子に人気があるみたい。でもまあ、私は興味ないのだけれど。
「懇談かぁ…」
菜緒が横で大きなため息をつく。懇談って別にいやじゃないんだけど、何か得意じゃない。
「でも、菜緒は何も問題ないでしょ?」
「んー。それがね、その日両親不在で弟の面倒見なきゃなの。だから、はやくしてもらわないと……と、私そろそろ迎えに行かなきゃ」
大変だなぁ、お姉さんって。私は一人っ子だから、よくわからないけど、兄妹とかって羨ましい。
生徒玄関へ降りてみると、靴箱にもたれかかる一つの人影。
「…よぅ」
「何してんの、明」
そう問うと、待ってたと返されたのでそれはわかってるんだけど…と思ったり。
あの日以来、何となく気まずくて一言も交わしてはいない。
「この前は、悪かった」
「え?」
明が謝った…。なんでそんなすんなり受け入れてるんだよ。明らしくないんですが…(失礼
謝ってくれてるし、まぁいいかな?と自分に聞いてから、
「もう、いいよ。でももう、しないで」
「わかった…。一緒にかえる?」
えーー、また一緒に帰るんですか。私、またなにか言われるんですけど。
そう思いつつ私は明の後を追った。
家の前に着いて、突然明が私に聞いてきた。
「こよみ、俺のことどう思ってる?」
「えーと…明?明は明だよ。まぁ顔は優くんに似てるけど」
私は何も間違ったことは言ってないはず…だよね?
「うん、聞いた俺が馬鹿だったよ。こよみ、勉強できんのにそういうとこ、鈍いよな」
「は、それどういう意味。私は英語では明に負けたことないんだけど」
「そーいうことじゃねーんだよ。バーカ」
明は私に向かって笑顔を見せた。
「……っ??!!」
なんだ今のは。いくら嫌いとはいえ、顔はいいんだし、顔は。
「じゃ、じゃあね」
「え?あぁ」
なんで、なんでなんだ!私は明のことは嫌いなんだ。なのになんで…。この胸の苦しさは…いったいなに…??
いつもの倍くらい脈拍が速くなっている。
どーした、私。だって明だよ?おかしいよ。
私、さっきから明のことばっか考えてる。うわ、やだやだ。…取り敢えず、菜緒に色々聞いてみよう。
家の門に入ってから玄関に着くまでこんなに長いと感じたことはなかったのに。
「た、ただいま」
「おかえりなさいませ、こよみさん。あら、随分とお顔が赤いようですが…熱でも??」
お手伝いさんにまで言われる始末。そんなに赤かったんだ…。
_____このとき、私はまだ気づいていなかった。いや、気づかないふりをした。これが…切ない恋の始まりだということに。
「あー、こよみ、また無理してんでしょー。大丈夫、しんどい?」
「んー、平気。」
「いい加減病院行ったら?」
「いやだ」
絶対行きたくないね。小さい時から病院は嫌いなんだよね。学校で採血でもあろうものなら、私は校舎中走り回るよ。
「…いい加減その病院嫌いなおせば?ガキかよ」
突然会話に入ってきたのはこの男。
「まあまあいいじゃないの、明。あんただって今だにトマト食べられないでしょ」
そーだそーだ!もっと言ってやれー!
「うっせーよ…。しょーがねーじゃん、食べれないんだから」
「こよみの病院嫌いもそんなもんでしょ」
明は菜緒に説得されたようで、静かになった。
というか私、明と一言も話してないんだけどね。
「……で、なにかあったの」
「え?」
屋上でお昼ご飯を頬張っていたら突然、菜緒の言葉。
「なんかあったでしょう、二人」
どうして、わかるんですか。私なにも言ってないですよね。
逆に怖いわ。
「こよみは明の方向かないし、明はこよみのことちらちら見るし」
「…菜緒。明はこの地球を危険にさらすんだよ。私は絶対明のことなんか好きにならないから!」
「なにも言ってないじゃない。でも、明そこまで悪くないと思うけど?まあ、私は彼氏いるし関係ないけどね」
そこまでなんだよ、明は。だって、断りもなく女の子にキスするんだから。ほんと最低!…というか、
「菜緒、彼氏ってなに。私聞いてない!」
「あれ、言ってなかった。また、今度ね」
いつの間に…。まあ、菜緒は美人だからわかるんだけど。
「こよみは好きな人とかいないの」
「いない」
ほぼ即答。だってね、恋ってなにかわからないから。
「本当に、明にしといたら?多分明はこよみのこと好きだと思うよ」
いやいやいや、それはないだろう!仮にそうなら、私に無理矢理キスなんてしないはず。そもそも、私ずっといじめられてきたし!
でも、なんか…モヤモヤ?
「まあ、頑張って?(明もね)」
えぇー、と私は思ったが、まぁ菜緒はしっかりしてるし。でも、明のことは別だから!
昼休みが終わり教室に戻ると、担任の広瀬先生が入ってきて、懇談のことについて話した。広瀬先生は若くてかっこいいので女子に人気があるみたい。でもまあ、私は興味ないのだけれど。
「懇談かぁ…」
菜緒が横で大きなため息をつく。懇談って別にいやじゃないんだけど、何か得意じゃない。
「でも、菜緒は何も問題ないでしょ?」
「んー。それがね、その日両親不在で弟の面倒見なきゃなの。だから、はやくしてもらわないと……と、私そろそろ迎えに行かなきゃ」
大変だなぁ、お姉さんって。私は一人っ子だから、よくわからないけど、兄妹とかって羨ましい。
生徒玄関へ降りてみると、靴箱にもたれかかる一つの人影。
「…よぅ」
「何してんの、明」
そう問うと、待ってたと返されたのでそれはわかってるんだけど…と思ったり。
あの日以来、何となく気まずくて一言も交わしてはいない。
「この前は、悪かった」
「え?」
明が謝った…。なんでそんなすんなり受け入れてるんだよ。明らしくないんですが…(失礼
謝ってくれてるし、まぁいいかな?と自分に聞いてから、
「もう、いいよ。でももう、しないで」
「わかった…。一緒にかえる?」
えーー、また一緒に帰るんですか。私、またなにか言われるんですけど。
そう思いつつ私は明の後を追った。
家の前に着いて、突然明が私に聞いてきた。
「こよみ、俺のことどう思ってる?」
「えーと…明?明は明だよ。まぁ顔は優くんに似てるけど」
私は何も間違ったことは言ってないはず…だよね?
「うん、聞いた俺が馬鹿だったよ。こよみ、勉強できんのにそういうとこ、鈍いよな」
「は、それどういう意味。私は英語では明に負けたことないんだけど」
「そーいうことじゃねーんだよ。バーカ」
明は私に向かって笑顔を見せた。
「……っ??!!」
なんだ今のは。いくら嫌いとはいえ、顔はいいんだし、顔は。
「じゃ、じゃあね」
「え?あぁ」
なんで、なんでなんだ!私は明のことは嫌いなんだ。なのになんで…。この胸の苦しさは…いったいなに…??
いつもの倍くらい脈拍が速くなっている。
どーした、私。だって明だよ?おかしいよ。
私、さっきから明のことばっか考えてる。うわ、やだやだ。…取り敢えず、菜緒に色々聞いてみよう。
家の門に入ってから玄関に着くまでこんなに長いと感じたことはなかったのに。
「た、ただいま」
「おかえりなさいませ、こよみさん。あら、随分とお顔が赤いようですが…熱でも??」
お手伝いさんにまで言われる始末。そんなに赤かったんだ…。
_____このとき、私はまだ気づいていなかった。いや、気づかないふりをした。これが…切ない恋の始まりだということに。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」


【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる