おっさん転生〜異世界に転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜

猫屋敷

文字の大きさ
上 下
42 / 42
四章 元おっさん、和の国【皇御国】へ

40 和の国 皇御国

しおりを挟む
国王からの命令でヴィーゼ達一行は、和の国。通称皇御国へと移動した。
ヴィーゼからすると、なんとも懐かしさに包まれる。侍や、団子、桜、それに木の建物。他にも和菓子などが置かれており、安心感を感じていた。皇御国の中に大きな建物が存在していた。

皇御国の宿屋———旅荘ハテプス。

一週間の時を経て、この地はやってきたヴィーゼ達は、疲労困憊していた。旅路の馬車を借り、ここへとやってきた為、馬は近くの馬小屋に泊めてもらえるようにした。

「うわぁ~! すごい!」

初めて見るランス達からしたら、その光景はまさに新鮮そのものだった。目を輝かせ、子供のようにはしゃぐ。アンナも護衛の役として付いてきた。
甲冑を着て、一人だけ違う格好をしている為か、ものすごい注目を浴びている。

(へぇ、異世界にはこんな場所もあるのか…。なんか良いな!)

日本人であったヴィーゼもとい未会堂は、そのザ・和風な雰囲気を醸し出す、この皇御国に心の拠り所を作った。王国では洋風そのものの建物が多く、目新しいものばかりな為、色々と新鮮味がありすぎていた。

だが、皇御国では和風な建物。元日本人のヴィーゼからしたら、これ以上にない安心感を感じさせる。

「最初はどこにいくの?」
「うーん、先に旅館の方に行こうよ。荷物置きたいし」

持ってきた荷物、全てを旅荘に置きに行くため、先に旅荘ハテプスの方は足を進めた。
ザ・和風の旅館。

♢♢♢


「よし! 最初は団子屋だ!」
「………なんか、今日のヴィーゼ、物凄く張り切ってない?」
「うんうん」

思いの外にヴィーゼのテンションがおかしい。ハイテンションになっているようだった。それに少々戸惑うランス達。大人しくヴィーゼの後ろをついていく他ない。異国の地に降り立ったため、アンナの警戒心が異常なほどに高い。

近くに出されている団子屋にいくと、団子屋にいたおばちゃんが注文を取る。
団子屋にあった団子は、どれもヴィーゼが見たことのある団子ばかり。

みたらし団子、三色団子、よもぎ、きなこ。様々な種類が置かれていた。その中には不思議なものも置かれていた。

「これは…?」
「スライム団子だって」
「ヘ…?」

見た目は美味しそうな感じだ。だが、名称はそう書かれていた。咄嗟のことで間抜けな声を出してしまう。

スライム団子……?なんだそれ……。

そんな言葉が心全体を埋め尽くす。いや、マジで意味がわからん。

「普通にみたらし団子にしよう」
「もったいないよ! お嬢ちゃん!」
「え、」
「スライム団子っていうのはね、地元の人に人気なんだから!」
(え、嘘!?)

スライム=魔物。
そんな団子が地元の人に人気?
耳を疑うことを聞いてしまった。見た目は焼かれた団子。少々な焼け跡が残っていた。
みたらし団子に似たような見た目が、なぜスライム団子と言われているのか。
その疑問をそのおばちゃんに聞いてみることにした。

「あの、なんでスライム団子なんですか?」
「理由は簡単だよ。元々はスライムが多く出現する場所で取れた、稲なのさ。そこから“スライム団子”と言われるようになったのだよ」

(こじつけじゃない?)

あまりにもこじつけ過ぎて、反応に困った。どう反応すれば良いのか。あまりにも困った。

(………………別のにしよう)

大人しく三色団子とみたらし団子を選ぶ。と、思ったがなんと西大陸で使われる通貨じゃ使えないそうだ。東大陸と西大陸に存在するこの、皇御国では使えないようだった。

(………使えないのか)
「どうしますか? ヴィーゼさん」
「………この国で使えるお金を稼ごう」

団子屋から離れ、お金を稼ぐにはどうすれば良いか。考え込む。ちょうど桜が満開に咲いている場所で、座れる場所がある所へと行った。
椅子に座り、どうするべきか考える。椅子というよりベンチっぽい場所に。

「うーん、せっかく来たのにね…」
「うんうん。どうしよう………」
「ここにもギルドがあったら、資金を稼げそうなのに」

ギルド———皇御国にあるかどうかを再び考え込んだ。ヴィーゼの中ではギルドと言えば洋風という偏見そのものを感じていたから。
そもそも異世界に和風があるかどうかというの自体、偏見を感じていたのだ。

(ハァ…、桜を見ながら団子食べたかったのに)

まさに風流———と言うのを感じてみたかった…と言うのが本心である。
桜が舞い散る瞬間、それを見ながらの団子。その瞬間一つ一つ。

「———ちょっと、どう言う意味!?」

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

処理中です...