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二章 元おっさん、帝国へ
30 封印解かれし青竜
しおりを挟むこのお茶会で決着をつけようと密かに思っていた。
最初はここまでする気はなかったが、バーバラのあまりの浅はかな考えと貴族派の令嬢達は貴族である立場と国を守る側の立場であることを忘れた事に不快感を持っていた。
特に今回の事で、クレミア公爵夫人が裏で動き回りエリオルとバーバラの婚姻を結ぶべく動いていたこと。
どうしても無理ならば体に害を与えかねない精神を操る薬を購入していた事を知った時は激怒した。
「貴女は…貴女達親子は誰にも愛されないわ」
「は?」
「愛されるだけの関係を望む。貴女自身からは何も与えないだもの」
まっすぐに見据えるソフィアにバーバラ笑った。
「ふっ…アハハハ!」
まるであざ笑うようだった。
「何で私が与えないといけないのよ?この私が…馬鹿じゃないの!」
「言うだけ無駄だったようですね」
与えられて当然。
愛されて当然だと言うバーバラに言葉が届くことはない。
「何よその目…小賢しい女!」
「私は貴女に小賢しいと言われる振る舞いをした覚えはありません」
「横から盗人のような真似をして!エリオル様は私のだったのよ!」
憎悪の感情をぶつけられるもソフィアは澄ました表情で告げる。
「エリオルは貴女のものではありませんわ?これまでずっと…そして今後も貴女のものになりません。彼は私の婚約者で夫です」
「ふっ…ふざけないで!捨てられた女の癖に!」
ソフィアが祖国で受けた屈辱は少し調べれば解るのだ。
「この傷物が!」
「だからなんです?」
「は?」
今更馬鹿にされても痛くも痒くもない。
「見綺麗のままですわ」
「なっ…開き直ってるんじゃないわよ!」
「事実ですわ。貴女はもう少し貞操観念をお持ちなさいな。一応は貴族の娘でしょう…平民出身の方でももう少しましな振る舞いができますわよ」
相手が逆上するのを承知でソフィアは勝ち誇った笑みを浮かべる。
バーバラの振る舞いは高位貴族ではまずありえないし、既に淑女と呼べるものではない。
「お父様の力を当てにして守ってもらうだけ…貴女は何もできないのね?」
「黙りなさい!」
「何かあればお父様に泣きつくだけ。なんと愚かで情けない事か」
「煩い!」
「貴女は誰も愛さない。いいえ自分だけしか愛せないわ。だから愛してもらえないのよ」
「黙れって言っているでしょ!」
ソフィアはバーバラを追い込むような言葉をわざと言い、逃げ場を奪った。
その結果、バーバラは暴走したのだった。
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