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二章 元おっさん、帝国へ
27 元婚約者とご対面
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そして翌日。
ファルモーナス帝国が目前というところまで、辿り着くことができた。辺りは水辺に囲まれ、水面都市のような気がして来る。
水全体が帝国の周りにあり、そこから水車で水を引き上げているような、装置も見える。これもまた、魔導の力。
太陽の光が水面に照らされ、水面が煌びやかに光っている。
門の手前には板のようなものが、橋のように掛かっており、門の方には2人の騎士が佇んでいる。
威厳を感じさせるような、ガタイ男が2人。何かを警戒しているように見える。
帝国の騎士たちだろう。アンナさんと同様の甲冑を身に纏っている。
心なしか、ランスの体は震えていた。それを宥めるアンナさん。
ランスは必要以上に俺に話さない。俺に言えないことがあるのか…。
馬の手綱を引き、橋を渡る。
俺もティーナに繋がれている手綱を引き、後をついていく。
「お待ちを」
騎士の1人がそう言い放つ。渋い声を出し、俺たちは止まった。
反対側にいた若い男は、荷物検査を始める。
持っていたバックなどを調べ上げられ、十分だったぐらいで国の中に入れた。厳重な守り。
俺は不思議に思った。
国に入ってから、乗っていた馬から降りる。
近くにあった馬を止める場所が存在し、手綱で引きながら、馬を止める。
俺はティーナの毛並みを触り、その場から去った。
ランスとアンナさんの後ろを、素直について行き、真っ先にこの国の中で一番でかい、城の方へと進んでいく。
迷いなく城の方へと行き、出ていた市場や店を後にする。この国の中心部分にある帝都を通り過ぎ、立派に佇んでいる城の門に辿り着く。
「ここよ。私の元婚約者がいる場所は」
13歳とは思えない肝が座っているランス。その顔は、何かを怯えているような。そんな無理をした顔をしていた。
(大丈夫だろうか…?)
それほど酷い仕打ちをされたのか。
俺やアンナさんも不安になる一方だった。
♢♢♢
「…そうか。ランスが」
「はい、お連れの方もいるそうです」
「ふむ、わかった。通せ」
自室で着替えていたグロウは、執事の人から言われ、そう言った。
グロウの兄たちと妹は、今現在不在。
そして、ファルモーナス帝国の皇帝と皇后は、席を外している。
天空に存在する国に出向いていた2人。そして兄弟たちもいない現状、第3皇子であるグロウに決定限が存在していた。
ファルモーナス帝国の象徴として挙げられる、不死鳥フェニックスのエンブレムが胸元に付いている、皇子としての衣装を着て、自室から出ていく。
堂々とレッドカーペットの上を歩き、胸を張る。
「今日の予定を言え」
「はっ! グロウ様の予定。
現在時間の10時から二時間後で昼食の時間。
そして、14時から16時の間は剣術の鍛錬と学業。
そして18時から20時の間で、魔法の底上げ。
23時には就寝の予定でございます」
「そうか。ランスとお連れとは誰だ?」
「はっ! 神聖リアモス王国の女騎士。後1人は誰だかは不明でございます」
「なるほど。了解した。そいつらは今どこにいる」
「応接間の方でございます」
「わかった。俺もすぐに行こう」
♢♢♢
城内に入ると、タキシードを着た執事たちから、応接間の方へと案内された。
応接間の中には、使われていない暖炉が置かれてあり、冬になると木材とかで火をつけて温めるのだろう。
俺がいた日本ではそんなの見たことすらない。
赤いソファーの上に腰をかけ、テーブルの上には赤色のクロスが置かれていた。
それを止めているのか、赤い薔薇の入った花瓶が置かれてある。
よっぽど赤色が好きなのか?
「ファルモーナス帝国の象徴は、不死鳥で有名なフェニックス。そのため、赤色が多く利用されているわ」
(え、なんでわかったの?)
俺が思っていることを的確に指摘され、俺は戸惑いを見せながらランスの方を見る。
「ふふっ、ここに初めて来る人は、そう思うはずよ。どこを行っても赤、赤、赤。まぁ、それは装飾品だけなのだけどね」
と、ランスは言った。
それを言われ、多分ランスも初めてここに来た時は、そう思った口なのだろうか?
疑問は綺麗に解消され、俺はテーブルの上には置かれているティーカップを手に持つ。
ティーカップの中に入っている、紅茶を飲み、そのランスの“元”婚約者が来るのを待つ。
待ち続けて10分後。
応接間の扉がノックされ、中から若い執事の人が現れる。
そしてその後ろには、威風を醸し出している人物。
艶のある黒髪をし、綺麗な瞳をしている男性。
執事の人よりも高そうな身長。
———おそらく、目の前にいる人物がランスの元婚約者の相手なのだろう。
グロウ・ファン・ファルモーナスとは、この人物。
ファルモーナス帝国が目前というところまで、辿り着くことができた。辺りは水辺に囲まれ、水面都市のような気がして来る。
水全体が帝国の周りにあり、そこから水車で水を引き上げているような、装置も見える。これもまた、魔導の力。
太陽の光が水面に照らされ、水面が煌びやかに光っている。
門の手前には板のようなものが、橋のように掛かっており、門の方には2人の騎士が佇んでいる。
威厳を感じさせるような、ガタイ男が2人。何かを警戒しているように見える。
帝国の騎士たちだろう。アンナさんと同様の甲冑を身に纏っている。
心なしか、ランスの体は震えていた。それを宥めるアンナさん。
ランスは必要以上に俺に話さない。俺に言えないことがあるのか…。
馬の手綱を引き、橋を渡る。
俺もティーナに繋がれている手綱を引き、後をついていく。
「お待ちを」
騎士の1人がそう言い放つ。渋い声を出し、俺たちは止まった。
反対側にいた若い男は、荷物検査を始める。
持っていたバックなどを調べ上げられ、十分だったぐらいで国の中に入れた。厳重な守り。
俺は不思議に思った。
国に入ってから、乗っていた馬から降りる。
近くにあった馬を止める場所が存在し、手綱で引きながら、馬を止める。
俺はティーナの毛並みを触り、その場から去った。
ランスとアンナさんの後ろを、素直について行き、真っ先にこの国の中で一番でかい、城の方へと進んでいく。
迷いなく城の方へと行き、出ていた市場や店を後にする。この国の中心部分にある帝都を通り過ぎ、立派に佇んでいる城の門に辿り着く。
「ここよ。私の元婚約者がいる場所は」
13歳とは思えない肝が座っているランス。その顔は、何かを怯えているような。そんな無理をした顔をしていた。
(大丈夫だろうか…?)
それほど酷い仕打ちをされたのか。
俺やアンナさんも不安になる一方だった。
♢♢♢
「…そうか。ランスが」
「はい、お連れの方もいるそうです」
「ふむ、わかった。通せ」
自室で着替えていたグロウは、執事の人から言われ、そう言った。
グロウの兄たちと妹は、今現在不在。
そして、ファルモーナス帝国の皇帝と皇后は、席を外している。
天空に存在する国に出向いていた2人。そして兄弟たちもいない現状、第3皇子であるグロウに決定限が存在していた。
ファルモーナス帝国の象徴として挙げられる、不死鳥フェニックスのエンブレムが胸元に付いている、皇子としての衣装を着て、自室から出ていく。
堂々とレッドカーペットの上を歩き、胸を張る。
「今日の予定を言え」
「はっ! グロウ様の予定。
現在時間の10時から二時間後で昼食の時間。
そして、14時から16時の間は剣術の鍛錬と学業。
そして18時から20時の間で、魔法の底上げ。
23時には就寝の予定でございます」
「そうか。ランスとお連れとは誰だ?」
「はっ! 神聖リアモス王国の女騎士。後1人は誰だかは不明でございます」
「なるほど。了解した。そいつらは今どこにいる」
「応接間の方でございます」
「わかった。俺もすぐに行こう」
♢♢♢
城内に入ると、タキシードを着た執事たちから、応接間の方へと案内された。
応接間の中には、使われていない暖炉が置かれてあり、冬になると木材とかで火をつけて温めるのだろう。
俺がいた日本ではそんなの見たことすらない。
赤いソファーの上に腰をかけ、テーブルの上には赤色のクロスが置かれていた。
それを止めているのか、赤い薔薇の入った花瓶が置かれてある。
よっぽど赤色が好きなのか?
「ファルモーナス帝国の象徴は、不死鳥で有名なフェニックス。そのため、赤色が多く利用されているわ」
(え、なんでわかったの?)
俺が思っていることを的確に指摘され、俺は戸惑いを見せながらランスの方を見る。
「ふふっ、ここに初めて来る人は、そう思うはずよ。どこを行っても赤、赤、赤。まぁ、それは装飾品だけなのだけどね」
と、ランスは言った。
それを言われ、多分ランスも初めてここに来た時は、そう思った口なのだろうか?
疑問は綺麗に解消され、俺はテーブルの上には置かれているティーカップを手に持つ。
ティーカップの中に入っている、紅茶を飲み、そのランスの“元”婚約者が来るのを待つ。
待ち続けて10分後。
応接間の扉がノックされ、中から若い執事の人が現れる。
そしてその後ろには、威風を醸し出している人物。
艶のある黒髪をし、綺麗な瞳をしている男性。
執事の人よりも高そうな身長。
———おそらく、目の前にいる人物がランスの元婚約者の相手なのだろう。
グロウ・ファン・ファルモーナスとは、この人物。
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