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一章 元おっさん、異世界へ
17 旧王都
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「ふんんっ!!」
強い波動が部屋全体に渡る。障壁魔法を貼っておいて正解だった。あの威力なら、多分粉々…。
騎士の姿をしていた時とは全く異なり、筋肉がついていると言うことが、一眼でわかるほどの、筋肉量。上腕二頭筋なんかもえぐい。
だが、そのおかげで檻も壊され、俺たちは急いでこの部屋を出る。狭すぎで、全然戦えない。
「オラァ!!おまえらぁ!!あいつらを追いやがれ!!」
「「ガルルルッ!!」」
「「グォオオ!!!」」
階段からも聞こえる怒涛の怒鳴り声。休む暇なんて無そうだ。とにかく、広い場所を確保しなければ…。
ガラムとキーランの料亭から飛び出した俺たちは、旧王都の広場へとやってくる。廃れた文明の一つではあるが、今じゃ新たな王都が存在している。ここは、ゴーストタウンのような場所に成り代わってしまうのだろうか?
だが、これぐらいの広さがあれば、戦うことが安易になる。
「亜人どもめ!!行けぇ!貴様らぁ!!」
広い場所へと出れば、こちらのものだ。一斉に追いかけてくる獰猛な猛獣ども。鋭き爪が振り下ろされる。アンナさんは大剣で攻撃を防ぐ。
カキン!
普通の狼とは全く違う、巨体な大きさ。人間を丸々だと飲み込みそうなほど。
ガルルルルっ!!
再び威嚇をされる。俺もやるか。魔法を放つポーズをする。
「———『炎刃』!!」
小さな魔法陣が展開され、ぐるぐると回る。青色に煌めく。そこから炎の刃が飛び出され、巨体な狼を切り刻む。
グルルルルルッ!
狼は雄叫びを上げながら、倒れ込む。
ドスン!
重たいと思わせるぐらいの、大きな音が鳴る。
よし、後はトラだけ。ローズとカメリアを守りながら、アンナさんやランスが戦っている。あの2人なら大丈夫…。
———そう思っていた。
壁に穴が空いているところから、魔獣が押し寄せて来ていた。
まずい、圧倒的な数だ……。
ひー…ふー…みー…。
数えても全くわからん。くそ、流石に広範囲での使役は難しいすぎる…。………考えている暇はなさそうだ。
「魔獣が!?」
「こ、これはまずいよ!」
壁が破壊されるほどの、大量な魔獣。巨体とまではいかないが、小さい魔獣たちが多すぎる…。これは、不味そうだ。
「ローズとカメリアは下がってて!!」
そう言い叫び、旧王都は魔獣で溢れかえるカオス状態。虫の魔物まで現れやがった。
キシャーーーーー!!
うげぇ!?キモ!!大きな蜘蛛が姿を見せ、村で見ていたあの見た目が可愛い蜘蛛とは違い、こっちはキモすぎる!!鳥肌が立ちそうだ!
蜘蛛の他にも大きなムカデに、大きな蛇。勘弁して欲しいぐらいの、カオスさだ。嗚呼!発狂しそう!!
俺は40歳おっさんでも、虫が大の苦手である。特にあの方が家に現れれば、もう無理。近づけない。倒せない。スプレーシューも無理…。
そう、黒?茶色?羽がついて飛び回るあいつだよ!あいつ!!夏になったら、最悪。だから絶対、あれは欠かせない。そう、あれだよ。あれ。
多分、誰もが嫌いなあの虫。
「ハァ!!」
「———『氷塊放射』!!」
俺とは違い、アンナさんやランスは積極的に攻撃をしている。なんと勇ましいんだ。俺も見習いたい…。
と、とにかく。俺もやらなきゃ。それより、あの大男はどこ行きやがった!?
気がつくと、あの大男は姿を消していた。逃したかもしれない。だが、今はそれより。この状況の打破だ。近接戦では無理だ。なら、広範囲に広がらせ、空に魔法陣を展開させ、そこから攻撃ができる、遠距離からの攻撃が有効だろう。
「———『火炎放射』!!」
右手を空へと伸ばし、お馴染みの魔法を言い放つ。空には広大な魔法陣が描かれ、勢いを増した炎の矢が虫に当たる。
「ヴィーゼがそうなら、私は!———『電撃』!!」
虫に伝って次々と感電させる、雷魔法。ビリビリっと痺れている虫たちは、動きを見せない。これなら、追撃可能だ!!
「ハァ!!ヤァ!!」
アンナさんは大剣を虫に振り下ろし、次から次へと虫を倒していく。あの人、本当に尊敬しちゃいそう…。
俺もある程度の魔物を使役しようと思い、手を前に出すと、目眩を感じる。
あ、しまった。使いすぎた……。
テイマー系の魔法は、使いすぎると目眩がすると言うのは、村でもよくあった。どうやら、少し休まないと無理だと言うことだ。と言うより、そんなに魔物出たっけ?
「あ、あれ…?」
「魔物たちが、おとなしくなっている……」
「え、?」
間抜けな声を出し、俺は咄嗟に手の甲を見る。僅かだが、光を放出していた。と言う事は、
「勝手に!?」
勝手にテイマー系の魔法を出していたようだ…。暴発!!ノーカンノーカン!聞いてないよそんなの!
そういえば、これに似た状況があったな。異世界に来て間もない頃の、テイマー系の魔法を発動させてしまった事。
今発動する!?条件がわからん!!
だが、目眩を生じたのは納得できた。うん。虫は無理だが、押し寄せていた魔獣どもは使役することができた。
心の中で帰れ、帰れ。と、唱えると魔獣たちが大人しく帰る。そう、それが相場だ。
魔獣たちが帰った後、その後はどうする?虫たちを……。俺たちでなんとかするしか、方法は無さそうだな。と言うより、なんか虫増えてね?
なんと言うことでしょう。虫が卵を産んでいました。
いやぁぁぁぁぁ!!それはダメ!!アウト!OUT!!ノットアウト!虫を産むな!ちょっ、待って。吐き気して来た…。
「うぇ……」
必死に吐き気を抑えている。なのに、なぜここにいる俺以外のみんなは、落ち着いて見ていられるの!?冷静すぎ!勇敢すぎ!
コホン!40年生きて来た俺が、慌てる場合じゃない。ここは年上らしく、颯爽と倒そう。あの2人の力も使って。
「ふぅ…。ランス!もう一度虫の攻撃を止めよう!アンナさん!それが終わったら、剣で追撃を!!」
「分かったわ!」
「分かりました!」
「ローズとカメリアは、危ないから下がっていて!フィンが守ってくれるから!」
正直言うと、フィンの存在を忘れていた。心の中で謝っておこう。奴隷商に関しては、もうどうでも良い。ひとまずは、目の前にいる奴らを倒すのが、先決だ!!
「行けぇ!———『雷弾』!!」
魔法陣から放たれる、雷が纏った弾丸。それは銃の弾丸のようにスピードを増し、虫を次々と貫いていく。こんな空間には、もう居たくない。それが、本音。
ビューーー!ズドン!!
まじか。爆発しちゃったよ…。煙が辺りに舞い、むせそうだ。
まだ虫は居るようだな…。
「ヤァ!!」
大剣を振り下ろし、虫に大ダメージを与えるアンナさん。魔法で遠距離的にダメージを与えるランス。
♢♢♢
「ハァ…ハァ…」
「ふぅ…」
「お、終わった……?」
虫が押し寄せて来てから、約30分。あんなに大量に居たはずの虫は、居なくなった。意外と時間を有したが、なんとか倒すことが出来た。骨が折れると言うより、勝ったことが何より嬉しい。気持ち悪さで吐き気を催しそうになったが、なんとか堪えることが出来た。
ああ、想像しただけで鳥肌がやばい。
「みなさん、大丈夫ですか!?」
「よかった!無事で!」
歓喜の言葉を放つローズとカメリア。
ふぅ、とにかく。もう虫は相手したくない!!
それが本音だ。もう嫌。もう嫌だ。だけど、あの大男をなんとかしないとだな。
そう思いながら、考えていると、アンナさんがなんとも言えない表情をしていた。
どうしたのだろうか?俺はそう聞いて見た。
「どうかしたんですか?」
「後もう少しで、あの男を捕まえることが出来たのに……」
アンナさんの顔が険しくなっていく。同感だ。俺もそう思う。『魔力探知』で探してみるか…。
旧王都をきちんと把握していない。どこに何があるかは分からない。そんな状況に抜擢なのが『魔力探知』
千里眼のように遠い場所まで見通すことができる、魔力探知で旧王都を見る。
——よし、分かった。
奴隷商は走っている。俺たちが今いる場所から、反対側。そこへ行っている。俺たちに気づかれないように、そっちへ行ったのは少し驚いたが、場所さえ分かれば、後は追いかけるだけだ。
「よし、追いかけよう!」
「え、ヴィーゼさん。どこにいるか分かったんですか?」
ローズは不思議そうな顔で聞いてくる。それとは反対にカメリアは呑気に「おー!さっすがヴィーゼさん!」と尻尾をふりふりさせていた。アンナさんに関しては、右ストレートをかましそうな、そう思うほど、怒りのオーラが溢れ出ていた。ランスも怒りを露わにしている。アンナさんほどではないが。
「場所は分かる。急いで追いかけるぞ」
「はい!」
「えぇ、分かったわ!」
「分かりました!」
「追いかけよう!」
それぞれが反応を示し、魔力探知を頼りに急行していく。
♢♢♢
ハァ…ハァ…、ここまで来れば……大丈夫だろう。チッ、あいつらが来たせいで、計画が丸潰れだ。まぁ、良い。俺の方には、まだ亜人がいるんだからな。
「くくく、アハハハッ、ダーハッハッハッハッハッ!」
5000年前まで存在していた、旧王都の一部地域で、俺の笑い声だけが鳴り響く。周りに足音の声なんて聞こえない。奴隷なんて、他にもいるんだよ。他にもな……。
強い波動が部屋全体に渡る。障壁魔法を貼っておいて正解だった。あの威力なら、多分粉々…。
騎士の姿をしていた時とは全く異なり、筋肉がついていると言うことが、一眼でわかるほどの、筋肉量。上腕二頭筋なんかもえぐい。
だが、そのおかげで檻も壊され、俺たちは急いでこの部屋を出る。狭すぎで、全然戦えない。
「オラァ!!おまえらぁ!!あいつらを追いやがれ!!」
「「ガルルルッ!!」」
「「グォオオ!!!」」
階段からも聞こえる怒涛の怒鳴り声。休む暇なんて無そうだ。とにかく、広い場所を確保しなければ…。
ガラムとキーランの料亭から飛び出した俺たちは、旧王都の広場へとやってくる。廃れた文明の一つではあるが、今じゃ新たな王都が存在している。ここは、ゴーストタウンのような場所に成り代わってしまうのだろうか?
だが、これぐらいの広さがあれば、戦うことが安易になる。
「亜人どもめ!!行けぇ!貴様らぁ!!」
広い場所へと出れば、こちらのものだ。一斉に追いかけてくる獰猛な猛獣ども。鋭き爪が振り下ろされる。アンナさんは大剣で攻撃を防ぐ。
カキン!
普通の狼とは全く違う、巨体な大きさ。人間を丸々だと飲み込みそうなほど。
ガルルルルっ!!
再び威嚇をされる。俺もやるか。魔法を放つポーズをする。
「———『炎刃』!!」
小さな魔法陣が展開され、ぐるぐると回る。青色に煌めく。そこから炎の刃が飛び出され、巨体な狼を切り刻む。
グルルルルルッ!
狼は雄叫びを上げながら、倒れ込む。
ドスン!
重たいと思わせるぐらいの、大きな音が鳴る。
よし、後はトラだけ。ローズとカメリアを守りながら、アンナさんやランスが戦っている。あの2人なら大丈夫…。
———そう思っていた。
壁に穴が空いているところから、魔獣が押し寄せて来ていた。
まずい、圧倒的な数だ……。
ひー…ふー…みー…。
数えても全くわからん。くそ、流石に広範囲での使役は難しいすぎる…。………考えている暇はなさそうだ。
「魔獣が!?」
「こ、これはまずいよ!」
壁が破壊されるほどの、大量な魔獣。巨体とまではいかないが、小さい魔獣たちが多すぎる…。これは、不味そうだ。
「ローズとカメリアは下がってて!!」
そう言い叫び、旧王都は魔獣で溢れかえるカオス状態。虫の魔物まで現れやがった。
キシャーーーーー!!
うげぇ!?キモ!!大きな蜘蛛が姿を見せ、村で見ていたあの見た目が可愛い蜘蛛とは違い、こっちはキモすぎる!!鳥肌が立ちそうだ!
蜘蛛の他にも大きなムカデに、大きな蛇。勘弁して欲しいぐらいの、カオスさだ。嗚呼!発狂しそう!!
俺は40歳おっさんでも、虫が大の苦手である。特にあの方が家に現れれば、もう無理。近づけない。倒せない。スプレーシューも無理…。
そう、黒?茶色?羽がついて飛び回るあいつだよ!あいつ!!夏になったら、最悪。だから絶対、あれは欠かせない。そう、あれだよ。あれ。
多分、誰もが嫌いなあの虫。
「ハァ!!」
「———『氷塊放射』!!」
俺とは違い、アンナさんやランスは積極的に攻撃をしている。なんと勇ましいんだ。俺も見習いたい…。
と、とにかく。俺もやらなきゃ。それより、あの大男はどこ行きやがった!?
気がつくと、あの大男は姿を消していた。逃したかもしれない。だが、今はそれより。この状況の打破だ。近接戦では無理だ。なら、広範囲に広がらせ、空に魔法陣を展開させ、そこから攻撃ができる、遠距離からの攻撃が有効だろう。
「———『火炎放射』!!」
右手を空へと伸ばし、お馴染みの魔法を言い放つ。空には広大な魔法陣が描かれ、勢いを増した炎の矢が虫に当たる。
「ヴィーゼがそうなら、私は!———『電撃』!!」
虫に伝って次々と感電させる、雷魔法。ビリビリっと痺れている虫たちは、動きを見せない。これなら、追撃可能だ!!
「ハァ!!ヤァ!!」
アンナさんは大剣を虫に振り下ろし、次から次へと虫を倒していく。あの人、本当に尊敬しちゃいそう…。
俺もある程度の魔物を使役しようと思い、手を前に出すと、目眩を感じる。
あ、しまった。使いすぎた……。
テイマー系の魔法は、使いすぎると目眩がすると言うのは、村でもよくあった。どうやら、少し休まないと無理だと言うことだ。と言うより、そんなに魔物出たっけ?
「あ、あれ…?」
「魔物たちが、おとなしくなっている……」
「え、?」
間抜けな声を出し、俺は咄嗟に手の甲を見る。僅かだが、光を放出していた。と言う事は、
「勝手に!?」
勝手にテイマー系の魔法を出していたようだ…。暴発!!ノーカンノーカン!聞いてないよそんなの!
そういえば、これに似た状況があったな。異世界に来て間もない頃の、テイマー系の魔法を発動させてしまった事。
今発動する!?条件がわからん!!
だが、目眩を生じたのは納得できた。うん。虫は無理だが、押し寄せていた魔獣どもは使役することができた。
心の中で帰れ、帰れ。と、唱えると魔獣たちが大人しく帰る。そう、それが相場だ。
魔獣たちが帰った後、その後はどうする?虫たちを……。俺たちでなんとかするしか、方法は無さそうだな。と言うより、なんか虫増えてね?
なんと言うことでしょう。虫が卵を産んでいました。
いやぁぁぁぁぁ!!それはダメ!!アウト!OUT!!ノットアウト!虫を産むな!ちょっ、待って。吐き気して来た…。
「うぇ……」
必死に吐き気を抑えている。なのに、なぜここにいる俺以外のみんなは、落ち着いて見ていられるの!?冷静すぎ!勇敢すぎ!
コホン!40年生きて来た俺が、慌てる場合じゃない。ここは年上らしく、颯爽と倒そう。あの2人の力も使って。
「ふぅ…。ランス!もう一度虫の攻撃を止めよう!アンナさん!それが終わったら、剣で追撃を!!」
「分かったわ!」
「分かりました!」
「ローズとカメリアは、危ないから下がっていて!フィンが守ってくれるから!」
正直言うと、フィンの存在を忘れていた。心の中で謝っておこう。奴隷商に関しては、もうどうでも良い。ひとまずは、目の前にいる奴らを倒すのが、先決だ!!
「行けぇ!———『雷弾』!!」
魔法陣から放たれる、雷が纏った弾丸。それは銃の弾丸のようにスピードを増し、虫を次々と貫いていく。こんな空間には、もう居たくない。それが、本音。
ビューーー!ズドン!!
まじか。爆発しちゃったよ…。煙が辺りに舞い、むせそうだ。
まだ虫は居るようだな…。
「ヤァ!!」
大剣を振り下ろし、虫に大ダメージを与えるアンナさん。魔法で遠距離的にダメージを与えるランス。
♢♢♢
「ハァ…ハァ…」
「ふぅ…」
「お、終わった……?」
虫が押し寄せて来てから、約30分。あんなに大量に居たはずの虫は、居なくなった。意外と時間を有したが、なんとか倒すことが出来た。骨が折れると言うより、勝ったことが何より嬉しい。気持ち悪さで吐き気を催しそうになったが、なんとか堪えることが出来た。
ああ、想像しただけで鳥肌がやばい。
「みなさん、大丈夫ですか!?」
「よかった!無事で!」
歓喜の言葉を放つローズとカメリア。
ふぅ、とにかく。もう虫は相手したくない!!
それが本音だ。もう嫌。もう嫌だ。だけど、あの大男をなんとかしないとだな。
そう思いながら、考えていると、アンナさんがなんとも言えない表情をしていた。
どうしたのだろうか?俺はそう聞いて見た。
「どうかしたんですか?」
「後もう少しで、あの男を捕まえることが出来たのに……」
アンナさんの顔が険しくなっていく。同感だ。俺もそう思う。『魔力探知』で探してみるか…。
旧王都をきちんと把握していない。どこに何があるかは分からない。そんな状況に抜擢なのが『魔力探知』
千里眼のように遠い場所まで見通すことができる、魔力探知で旧王都を見る。
——よし、分かった。
奴隷商は走っている。俺たちが今いる場所から、反対側。そこへ行っている。俺たちに気づかれないように、そっちへ行ったのは少し驚いたが、場所さえ分かれば、後は追いかけるだけだ。
「よし、追いかけよう!」
「え、ヴィーゼさん。どこにいるか分かったんですか?」
ローズは不思議そうな顔で聞いてくる。それとは反対にカメリアは呑気に「おー!さっすがヴィーゼさん!」と尻尾をふりふりさせていた。アンナさんに関しては、右ストレートをかましそうな、そう思うほど、怒りのオーラが溢れ出ていた。ランスも怒りを露わにしている。アンナさんほどではないが。
「場所は分かる。急いで追いかけるぞ」
「はい!」
「えぇ、分かったわ!」
「分かりました!」
「追いかけよう!」
それぞれが反応を示し、魔力探知を頼りに急行していく。
♢♢♢
ハァ…ハァ…、ここまで来れば……大丈夫だろう。チッ、あいつらが来たせいで、計画が丸潰れだ。まぁ、良い。俺の方には、まだ亜人がいるんだからな。
「くくく、アハハハッ、ダーハッハッハッハッハッ!」
5000年前まで存在していた、旧王都の一部地域で、俺の笑い声だけが鳴り響く。周りに足音の声なんて聞こえない。奴隷なんて、他にもいるんだよ。他にもな……。
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