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一章 元おっさん、異世界へ
13 亜人II
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「あの、ヴィーゼ……さん?」
恐る恐る聞いて来る、猫耳が生えている少女。まぁ、警戒されているのは当たり前だろう。噴水広場から多少離れた、路地裏場所。人目のつかない場所で、亜人の子達と会う。
猫族の子の後ろに隠れている子は、犬族の子だろうか?耳が犬っぽい…。いや、分かんないけど。犬族の子は猫族の子にしがみつき、俺に警戒しているようだ。うん、仕方ない。
「どうかした?」
「もしかして、あなた……何ですか?あの、魔法をやったのは……」
そう聞いて来る。ここはYESと言ったほうがいいか?それとも……。いや、まぁ。念のため?
ひとまず、俺が転移魔法を行なったと言うことを告げる。すると、何故か怒鳴られた。何でだろうか。
もしかして、余計なお節介……とか?猫族の子の尻尾は、ものすごく振られている。怒っているようだ。
「私たちは、亜人なのです!亜人である私たちに関わったら、異端者扱いされますよ!?」
そう何度も言う、猫族の子。
異端者扱い…か。それって、理由になるのだろうか。俺が助けない理由に……。いや、ならない……だろうな。なんせ俺は、よく“お節介”と言われるからな。
もちろんそれは、拒否する。自分から地雷を踏みに行くのは、正直面倒だろう。俺にメリットはない。だけど、見捨てることができるのだろうか?転移を使ったとして。その後はどうする?それはただ単に俺の自分勝手だろう。そんなの、俺の辞書には乗っていない!
「だからどうしたの?」
「え、?」
目を見開く猫族の子。犬族の子も驚いた顔をしていた。どうやら、俺が言う予想と違ったのだろうか?鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする、その2人は再度俺に聞いて来る。
「異端扱いされるのですよ……?」
「私たちのせいで、あなたの人生を……」
え、いや、そんなに?
犬族の子が言う言葉に対して、驚愕する。え、俺の人生そのもの壊されるの?どうやら、俺の覚悟は全然足りなさそうだ。だが、ああ言ったからには、やるしかないのだろう……。
「だ、大丈夫!大丈夫!うん、多分……」
不安しかねぇ…。大丈夫!大丈夫!うん、何とかなるよ。…………だけど、この子達を見捨てることができなくなってしまった…。それが、もう一つの理由であろう。だが、だが俺は、前世では自分のことばかり。だから異世界では、他人のために力を使いたい……。と言う、明確な理由を持った俺は、肯定した。
「うん、平気。大丈夫だよ。多分。それよりさ、お腹空いてない?」
「「え、?」」
またもやポカーンとしている。表情がコロコロと変わるのは、案外面白いものだと気づく。
フィンの背中へと乗せようとする。アンナさんの言うには、親しい人間じゃないと、乗せてはくれないという。勝手に乗ったらジャバ馬のように変わり果てるだとか。
だが、フィンが大人しい。獣人の子だからかな…?
「ねぇ、君たち名前は?」
「名前…?」
「そう。名前」
2人は顔を見合わせる。意を決心したのか、口を開いた。
「私は、ローズ。で、この子がカメリアです」
そう言った。
花の名前…。薔薇と椿…か。めっちゃいい名前やん。
心なしか、瞳もそういう理由なのかと思ってしまった。
ローズちゃんの方は、綺麗な赤色。で、カメリアちゃんの方は、ちょっとピンクっぽい?それでも、綺麗な瞳だ。うん、汚れを知らなさそう。
この子達もどんどん大きくなっていったら、汚れを知るのだろうか…。ちょっと悲しい…。
…………。
………………。
……………言ってみたけど、こう言うおじさんの方が危なくね?
「それでさ、何でこの国に来たの?」
「…………それは」
ローズちゃんは途端に俯く。聞いてはいけない質問だったかもしれない。この話題に触れるのは、やめた方が良さそうか?
「……私たち亜人が住んでいた村は、焼け切ったんです。魔物の手によって…。それで、逃げた他の亜人達は、奴隷商に捕まってしまい…」
カメリアちゃんは、淡々と話し込む。
なるほど、そう言うことがあったのか…。そりゃあ、あまり言いたくないよな。俺も迂闊に言葉を発するのは、やめた方がよさそうだ。
「…………亜人達は、差別されているんです。他の種族から」
「え?」
「亜人達には獣人族が多いんです。それで、他の人から嫌われて……」
え、嘘やん!?獣人ってめちゃくちゃいいじゃん!!その耳と尻尾を触ってみたい。絶対ふわふわしてそうだけど、前世の姿でこの子達と会っていたら多分…。うん、俺の人生終わったな…。
「……かわいいのになぁ」
「「え、?」」
おっと、つい口に出してしまった。
だってめっちゃかわいいじゃん?耳生えているし、尻尾もあるし。それで尻尾振ってたりしたらさ、もうそれは萌えよ。
「…あなたは、私たちを拒絶したりしないんですか?」
恐る恐る聞いて来るカメリアちゃん。顔がものすごく不安がっている。フィンに乗っている2人は、俺の身長よりやや高い。よく友人達の家に行ったときに、猫ちゃんや犬ちゃんの頭を撫でていた俺は、反射的に撫でようと思ったが、うん。身長足んない…。背伸びしても、足んない。
まぁ、いいや。ひとまずはアンナさんに会いに行こう。それがいい。
ふと思ったんだが、すごい視線を買うね。街を歩いているため、国の人たちが嫌悪を抱きながら、こちらを見ていた。なるほど、この子達もこう言う嫌な視線を感じていたんだね。これじゃあ、ますます。助けてあげたくなっちゃいますな。
恐る恐る聞いて来る、猫耳が生えている少女。まぁ、警戒されているのは当たり前だろう。噴水広場から多少離れた、路地裏場所。人目のつかない場所で、亜人の子達と会う。
猫族の子の後ろに隠れている子は、犬族の子だろうか?耳が犬っぽい…。いや、分かんないけど。犬族の子は猫族の子にしがみつき、俺に警戒しているようだ。うん、仕方ない。
「どうかした?」
「もしかして、あなた……何ですか?あの、魔法をやったのは……」
そう聞いて来る。ここはYESと言ったほうがいいか?それとも……。いや、まぁ。念のため?
ひとまず、俺が転移魔法を行なったと言うことを告げる。すると、何故か怒鳴られた。何でだろうか。
もしかして、余計なお節介……とか?猫族の子の尻尾は、ものすごく振られている。怒っているようだ。
「私たちは、亜人なのです!亜人である私たちに関わったら、異端者扱いされますよ!?」
そう何度も言う、猫族の子。
異端者扱い…か。それって、理由になるのだろうか。俺が助けない理由に……。いや、ならない……だろうな。なんせ俺は、よく“お節介”と言われるからな。
もちろんそれは、拒否する。自分から地雷を踏みに行くのは、正直面倒だろう。俺にメリットはない。だけど、見捨てることができるのだろうか?転移を使ったとして。その後はどうする?それはただ単に俺の自分勝手だろう。そんなの、俺の辞書には乗っていない!
「だからどうしたの?」
「え、?」
目を見開く猫族の子。犬族の子も驚いた顔をしていた。どうやら、俺が言う予想と違ったのだろうか?鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする、その2人は再度俺に聞いて来る。
「異端扱いされるのですよ……?」
「私たちのせいで、あなたの人生を……」
え、いや、そんなに?
犬族の子が言う言葉に対して、驚愕する。え、俺の人生そのもの壊されるの?どうやら、俺の覚悟は全然足りなさそうだ。だが、ああ言ったからには、やるしかないのだろう……。
「だ、大丈夫!大丈夫!うん、多分……」
不安しかねぇ…。大丈夫!大丈夫!うん、何とかなるよ。…………だけど、この子達を見捨てることができなくなってしまった…。それが、もう一つの理由であろう。だが、だが俺は、前世では自分のことばかり。だから異世界では、他人のために力を使いたい……。と言う、明確な理由を持った俺は、肯定した。
「うん、平気。大丈夫だよ。多分。それよりさ、お腹空いてない?」
「「え、?」」
またもやポカーンとしている。表情がコロコロと変わるのは、案外面白いものだと気づく。
フィンの背中へと乗せようとする。アンナさんの言うには、親しい人間じゃないと、乗せてはくれないという。勝手に乗ったらジャバ馬のように変わり果てるだとか。
だが、フィンが大人しい。獣人の子だからかな…?
「ねぇ、君たち名前は?」
「名前…?」
「そう。名前」
2人は顔を見合わせる。意を決心したのか、口を開いた。
「私は、ローズ。で、この子がカメリアです」
そう言った。
花の名前…。薔薇と椿…か。めっちゃいい名前やん。
心なしか、瞳もそういう理由なのかと思ってしまった。
ローズちゃんの方は、綺麗な赤色。で、カメリアちゃんの方は、ちょっとピンクっぽい?それでも、綺麗な瞳だ。うん、汚れを知らなさそう。
この子達もどんどん大きくなっていったら、汚れを知るのだろうか…。ちょっと悲しい…。
…………。
………………。
……………言ってみたけど、こう言うおじさんの方が危なくね?
「それでさ、何でこの国に来たの?」
「…………それは」
ローズちゃんは途端に俯く。聞いてはいけない質問だったかもしれない。この話題に触れるのは、やめた方が良さそうか?
「……私たち亜人が住んでいた村は、焼け切ったんです。魔物の手によって…。それで、逃げた他の亜人達は、奴隷商に捕まってしまい…」
カメリアちゃんは、淡々と話し込む。
なるほど、そう言うことがあったのか…。そりゃあ、あまり言いたくないよな。俺も迂闊に言葉を発するのは、やめた方がよさそうだ。
「…………亜人達は、差別されているんです。他の種族から」
「え?」
「亜人達には獣人族が多いんです。それで、他の人から嫌われて……」
え、嘘やん!?獣人ってめちゃくちゃいいじゃん!!その耳と尻尾を触ってみたい。絶対ふわふわしてそうだけど、前世の姿でこの子達と会っていたら多分…。うん、俺の人生終わったな…。
「……かわいいのになぁ」
「「え、?」」
おっと、つい口に出してしまった。
だってめっちゃかわいいじゃん?耳生えているし、尻尾もあるし。それで尻尾振ってたりしたらさ、もうそれは萌えよ。
「…あなたは、私たちを拒絶したりしないんですか?」
恐る恐る聞いて来るカメリアちゃん。顔がものすごく不安がっている。フィンに乗っている2人は、俺の身長よりやや高い。よく友人達の家に行ったときに、猫ちゃんや犬ちゃんの頭を撫でていた俺は、反射的に撫でようと思ったが、うん。身長足んない…。背伸びしても、足んない。
まぁ、いいや。ひとまずはアンナさんに会いに行こう。それがいい。
ふと思ったんだが、すごい視線を買うね。街を歩いているため、国の人たちが嫌悪を抱きながら、こちらを見ていた。なるほど、この子達もこう言う嫌な視線を感じていたんだね。これじゃあ、ますます。助けてあげたくなっちゃいますな。
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