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一章 元おっさん、異世界へ
11 仲良くなるには時間がかかりそうだ
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ランスが住んでいる王宮の近くには、住宅街が並んでいた。木造で造られており、屋根ではレンガだ。流石は異世界。こう言うファンタジーな家がずらりと並んでいるのは、圧倒される。
ヤベェ、ワクワクする!
子供のようにその光景にドキドキしていた。まさか、純粋さが俺にあったとは…。
「ここは、王宮内に仕えている者たちが住まう地域です。それと、貴族の方達も」
「へぇ、すごい」
住宅街には、王宮に仕えている人が住んでいるのだろう。流石に貴族が一軒家などに住んでいるだろうか?
多分違うだろうなぁ…。
先へと進んでいくと、アンナさんが立ち止まる。どうやら、王宮近くにアンナさんの住んでいる家があるそうだ。
(立派な家~)
この世界に来て初めて立派な家を見た。アンナさんは扉を開ける為、ドアノブを捻る。中にはモフモフがいた。
(……この子は)
「ヴィーゼさん、この子はグリフィンの『フィン』
フィン、お客さんよ」
「ぐるるぅ…」
挨拶しているのか俺の方に頭を擦り付けてくる。グリフィンのモフモフした毛並みと、可愛らしい鳴き声で俺のツボが刺激される。グリフィンの頭を撫でると、モフモフした毛並みが白い手に絡みつく。
「…動物好きなんですか?」
「…え?え、えぇ、まぁそうね。私の家は元々、獣医の家なの。田舎の村でね」
「へぇ…」
異世界では獣医さんが存在するようだ。と言うより、アンナさんは王国の人じゃないと言うことが、少し驚いた。騎士なら幼少の頃から王宮に仕えているかと思ったが、アンナさんだけは違うのだろうか?
それより、アンナさんの家の中にグリフィンが入れる事に少し、驚く。
「さぁ、座ってください」
「あ、はい」
何だろうか。物凄く緊張してしまう。女性の家に上がり込むなど、前世では全然なかった。幼少の頃はノーカンという事で、社会人になってから、無縁のような……。
甲冑を着ていないアンナさんの見た目は、何とも新鮮だ。甲冑を着たアンナさんは強い人、と思っていたが、甲冑を着ていない状態でのアンナさんは、何とも美女だ。茶髪の三つ編みをしているアンナさんは、別人のように思えてしまう。
「ぐるるぅ…」
「ふふっ、ヴィーゼさんに懐いたみたいですね」
「え、そうなの…?」
椅子に座った後、腰の方にフィンの頭が再び擦り付けられた。嘴が俺の脇の方に擦り付けられ、綺麗な瞳が俺を捉える。
ここでは幼女だから、ワキガが消えている。それは正直助かる。
「さぁ、どうぞ。コーヒーでよかったですか?」
「ありがとうございます」
木で作られたテーブルの上に、ティーカップが置かれ、そこから湯気が出ていた。中にはコーヒーのほろ苦い香りが飛びまう。ティーカップの持ち手で手をかけ、口の方へ運ばせる。
ズズッー
啜り、口の中にはコーヒーの苦味が広がる。約10年ぶりに飲むコーヒー。心が温まる…。
「どうぞ、これでも」
「すみません、お菓子まで用意してもらって」
「いえ、そんな事は無いですよ」
そう微笑むアンナさんを見て、少し安堵した。警戒されっぱなしも嫌だし、変に気を使う。仲良くなるのに越した事は無い。
お皿の上にチョコチップクッキーなようなものが置かれ、それを人差し指と親指で掴む。口に運ぶとコーヒーとミスマッチしそうな味だ。
うん、めちゃ美味しい。
♢♢♢
アンナさんと話し込んだ後、もう夕方。アンナさんからの警戒はだいぶ剥がされたと思うが、すごく見られてくる。どうやら、警戒は完全に解けてないようだ。おそらく、“監視”なのだろうか?
仲良くなるのは、時間がかかりそうだ———。
ヤベェ、ワクワクする!
子供のようにその光景にドキドキしていた。まさか、純粋さが俺にあったとは…。
「ここは、王宮内に仕えている者たちが住まう地域です。それと、貴族の方達も」
「へぇ、すごい」
住宅街には、王宮に仕えている人が住んでいるのだろう。流石に貴族が一軒家などに住んでいるだろうか?
多分違うだろうなぁ…。
先へと進んでいくと、アンナさんが立ち止まる。どうやら、王宮近くにアンナさんの住んでいる家があるそうだ。
(立派な家~)
この世界に来て初めて立派な家を見た。アンナさんは扉を開ける為、ドアノブを捻る。中にはモフモフがいた。
(……この子は)
「ヴィーゼさん、この子はグリフィンの『フィン』
フィン、お客さんよ」
「ぐるるぅ…」
挨拶しているのか俺の方に頭を擦り付けてくる。グリフィンのモフモフした毛並みと、可愛らしい鳴き声で俺のツボが刺激される。グリフィンの頭を撫でると、モフモフした毛並みが白い手に絡みつく。
「…動物好きなんですか?」
「…え?え、えぇ、まぁそうね。私の家は元々、獣医の家なの。田舎の村でね」
「へぇ…」
異世界では獣医さんが存在するようだ。と言うより、アンナさんは王国の人じゃないと言うことが、少し驚いた。騎士なら幼少の頃から王宮に仕えているかと思ったが、アンナさんだけは違うのだろうか?
それより、アンナさんの家の中にグリフィンが入れる事に少し、驚く。
「さぁ、座ってください」
「あ、はい」
何だろうか。物凄く緊張してしまう。女性の家に上がり込むなど、前世では全然なかった。幼少の頃はノーカンという事で、社会人になってから、無縁のような……。
甲冑を着ていないアンナさんの見た目は、何とも新鮮だ。甲冑を着たアンナさんは強い人、と思っていたが、甲冑を着ていない状態でのアンナさんは、何とも美女だ。茶髪の三つ編みをしているアンナさんは、別人のように思えてしまう。
「ぐるるぅ…」
「ふふっ、ヴィーゼさんに懐いたみたいですね」
「え、そうなの…?」
椅子に座った後、腰の方にフィンの頭が再び擦り付けられた。嘴が俺の脇の方に擦り付けられ、綺麗な瞳が俺を捉える。
ここでは幼女だから、ワキガが消えている。それは正直助かる。
「さぁ、どうぞ。コーヒーでよかったですか?」
「ありがとうございます」
木で作られたテーブルの上に、ティーカップが置かれ、そこから湯気が出ていた。中にはコーヒーのほろ苦い香りが飛びまう。ティーカップの持ち手で手をかけ、口の方へ運ばせる。
ズズッー
啜り、口の中にはコーヒーの苦味が広がる。約10年ぶりに飲むコーヒー。心が温まる…。
「どうぞ、これでも」
「すみません、お菓子まで用意してもらって」
「いえ、そんな事は無いですよ」
そう微笑むアンナさんを見て、少し安堵した。警戒されっぱなしも嫌だし、変に気を使う。仲良くなるのに越した事は無い。
お皿の上にチョコチップクッキーなようなものが置かれ、それを人差し指と親指で掴む。口に運ぶとコーヒーとミスマッチしそうな味だ。
うん、めちゃ美味しい。
♢♢♢
アンナさんと話し込んだ後、もう夕方。アンナさんからの警戒はだいぶ剥がされたと思うが、すごく見られてくる。どうやら、警戒は完全に解けてないようだ。おそらく、“監視”なのだろうか?
仲良くなるのは、時間がかかりそうだ———。
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