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一章 元おっさん、異世界へ
07 王国お嬢様
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さて、どこへ行くかはもう既に決まった。まずは、ボーデンさん出身の地へ向かうこと。
これしかないだろう。
村からはっきりと見える、子供たちの一生懸命に働く仕事ぶり。
そして鳥や動物たちの、合唱のようにも聞こえる鳴き声。
ひとまず俺は、村長に言ったのち、早速旅立とうとしている。ボーデンさんから地図を渡され、それを頼りに行こうと思う。流石に魔物達を連れて行くわけにはいかないため、森に置いていこうとしている。村の子供達とは仲がいいと思っている。
子供は好きだし(まぁ、自分自身も子供のようなものだが)
「んじゃ、行ってきます」
「気をつけて行ってこい!」
「楯突くものは亡き者にせい!」
「この人たちは…。まぁ、ヴィーゼ!頑張れよ!」
「あ、うん…」
最後の最後まで物騒だ。
村の門を通り、ヴァレイ達に見えなくなるまで、必死に手を振る。寂しそうにこちらを見ているスライム達もいるが、意思疎通はバッチリできるため、大丈夫だと思う。
♢♢♢
森の中を歩き、多分一時間経過した。
この世界に来て、10年ぐらい。魔物使役できるようになったのは、スライム、ゴブリン、鳥の魔物、えーと、それから~…。
やべ、わからなくなった。ともかく、たくさん増えた。と言うことにすればいいでしょ。
森を歩いていると、川が見えた。お世辞にも整理されているとは思えないほどの、道。でこぼこな道標はかなり歩きにくいと思っている。
先はどんどん進んでいくと———、
「えぇ、ナンデェ~?」
何故だろう。誰がここに少女を捨てたのだろう。許せん!!
とまぁ、一旦落ち着こう。もしかしたら、自分の足で来た可能性もある。なら、この子が倒れている理由。
ハーフアップされた髪。
クリーミー色のような髪の色。
身なりはどこかのお嬢様だろうか?よくアニメとかで見る、綺麗な服。仮にお嬢様じゃなくとしても、どこかの令嬢では無いだろうか。
なら、どうしてお付きの人がいない?
痩せ細っているわけでもないし、太っているわけでもない。健康的な体型だ。
ツンツンしたら起きるだろうか?
一旦屈み、人差し指で肩をツンツンする。
「うぅーん……」
(よかった、生きてた)
少し不吉なことを考えていたが、なんとか生きていたのなら、ホッとする。
「お嬢さん、なんでこんな所に?」
「うぅん?貴女こそお嬢さんじゃない」
目を擦りながら、俺のほうへ言ってくる。ごもっともです。確かに俺もお嬢さん類に入るのだろう。
だがしかし。俺は中身は男。前世は男。
と言うわけだから、見た目が可愛らしい女の子だけであり、俺は実際は男。
(…とか言ったら、多分引かれるんだろうなぁ)
「そう言えば、アンナはどこ!?」
「…ん?どなた?」
「私の護衛騎士よ!どこへ行ったのかしら…?私を置いてどこかへいくはずなのに……」
(この人、やはり令嬢か何か?)
慌ててキョロキョロとする、その人物は寝ていた体勢から起き上がる。と、する所力が入らないのか、起き上がることができなかった。
同時にお腹の虫が聞こえてくる。
「…!?あ、いや。えぇ、と。別にお腹空いているとかじゃないからね?ただ、そう!疲れていただけよ!」
「あ、うん。そう言うことにしておくから、まずは何か食べよう?」
「そ、そうね…。と言うか、貴女。私を誰だと思ってるの?」
確かに、誰だと思っているのだろう。同い年の女の子?それとも、どこかの令嬢?
そう指差してくるその少女は、上から目線だった。仮に、王女様なのであれば、仰せのままに。だ。
「私は、近くの王国の姫君。ランスよ!」
(やっぱり王女様だったんだぁ……)
そう自信満々に言うが、沈黙が流れる。みるみると顔が真っ赤になり、つい笑ってしまった。
「ぷっ」
「な、何かしら?わ、私が王女であるからなの?」
「え、いや。ただ単になんで王女様がこんな所にいるのかなぁ、って」
「そ、それは……」
そう顔を背けるランスさんは小さな声で言った。聞こえないだろうと思っていたのか、話題をすり替えようとするが、俺はあえて言わないようにする。
(なるほど、この近くにその美味!な果物があるから…)
さっきの顔から真剣になる王女様は、再びそのアンナ、と言う護衛の人を探すべく森の奥へ入ろうとしたが、俺は止めた。
「そっちじゃないよ」
「…え?」
「だってそっちはさっき俺、じゃなくて。自分が来たもの」
「あら、そうなの?うーん……」
不安そうな顔をするランスさんは、どこかよそよそしい。人探し…。護衛騎士の人が守るべき対象から離れるだろうか。
いや、考えられない。倒れるぐらいまでの疲労。いや、多分お腹空いてだろうが。
ここは、探すのを手伝いますか。
「あの、ランスさん」
「え、なに?」
「自分も探すの手伝いますよ」
「え、でも…」
巻き込めるわけないと言う顔で、俺の顔をじっと見る。よく見ると、その緑色の瞳は綺麗だった。
と言うのは、今はどうでもいい。一人より二人。それが一番いいだろう。それに、この世界へ来て初めての友人だ。
村の人たちは、友人というより家族に近い。
俺が勝手に友人と思っているのだろうが、友達になれたらな。と思っている。
ランスさんと共に、俺は護衛騎士のアンナさんを探しにいくべく、再び森の中を進む———。
これしかないだろう。
村からはっきりと見える、子供たちの一生懸命に働く仕事ぶり。
そして鳥や動物たちの、合唱のようにも聞こえる鳴き声。
ひとまず俺は、村長に言ったのち、早速旅立とうとしている。ボーデンさんから地図を渡され、それを頼りに行こうと思う。流石に魔物達を連れて行くわけにはいかないため、森に置いていこうとしている。村の子供達とは仲がいいと思っている。
子供は好きだし(まぁ、自分自身も子供のようなものだが)
「んじゃ、行ってきます」
「気をつけて行ってこい!」
「楯突くものは亡き者にせい!」
「この人たちは…。まぁ、ヴィーゼ!頑張れよ!」
「あ、うん…」
最後の最後まで物騒だ。
村の門を通り、ヴァレイ達に見えなくなるまで、必死に手を振る。寂しそうにこちらを見ているスライム達もいるが、意思疎通はバッチリできるため、大丈夫だと思う。
♢♢♢
森の中を歩き、多分一時間経過した。
この世界に来て、10年ぐらい。魔物使役できるようになったのは、スライム、ゴブリン、鳥の魔物、えーと、それから~…。
やべ、わからなくなった。ともかく、たくさん増えた。と言うことにすればいいでしょ。
森を歩いていると、川が見えた。お世辞にも整理されているとは思えないほどの、道。でこぼこな道標はかなり歩きにくいと思っている。
先はどんどん進んでいくと———、
「えぇ、ナンデェ~?」
何故だろう。誰がここに少女を捨てたのだろう。許せん!!
とまぁ、一旦落ち着こう。もしかしたら、自分の足で来た可能性もある。なら、この子が倒れている理由。
ハーフアップされた髪。
クリーミー色のような髪の色。
身なりはどこかのお嬢様だろうか?よくアニメとかで見る、綺麗な服。仮にお嬢様じゃなくとしても、どこかの令嬢では無いだろうか。
なら、どうしてお付きの人がいない?
痩せ細っているわけでもないし、太っているわけでもない。健康的な体型だ。
ツンツンしたら起きるだろうか?
一旦屈み、人差し指で肩をツンツンする。
「うぅーん……」
(よかった、生きてた)
少し不吉なことを考えていたが、なんとか生きていたのなら、ホッとする。
「お嬢さん、なんでこんな所に?」
「うぅん?貴女こそお嬢さんじゃない」
目を擦りながら、俺のほうへ言ってくる。ごもっともです。確かに俺もお嬢さん類に入るのだろう。
だがしかし。俺は中身は男。前世は男。
と言うわけだから、見た目が可愛らしい女の子だけであり、俺は実際は男。
(…とか言ったら、多分引かれるんだろうなぁ)
「そう言えば、アンナはどこ!?」
「…ん?どなた?」
「私の護衛騎士よ!どこへ行ったのかしら…?私を置いてどこかへいくはずなのに……」
(この人、やはり令嬢か何か?)
慌ててキョロキョロとする、その人物は寝ていた体勢から起き上がる。と、する所力が入らないのか、起き上がることができなかった。
同時にお腹の虫が聞こえてくる。
「…!?あ、いや。えぇ、と。別にお腹空いているとかじゃないからね?ただ、そう!疲れていただけよ!」
「あ、うん。そう言うことにしておくから、まずは何か食べよう?」
「そ、そうね…。と言うか、貴女。私を誰だと思ってるの?」
確かに、誰だと思っているのだろう。同い年の女の子?それとも、どこかの令嬢?
そう指差してくるその少女は、上から目線だった。仮に、王女様なのであれば、仰せのままに。だ。
「私は、近くの王国の姫君。ランスよ!」
(やっぱり王女様だったんだぁ……)
そう自信満々に言うが、沈黙が流れる。みるみると顔が真っ赤になり、つい笑ってしまった。
「ぷっ」
「な、何かしら?わ、私が王女であるからなの?」
「え、いや。ただ単になんで王女様がこんな所にいるのかなぁ、って」
「そ、それは……」
そう顔を背けるランスさんは小さな声で言った。聞こえないだろうと思っていたのか、話題をすり替えようとするが、俺はあえて言わないようにする。
(なるほど、この近くにその美味!な果物があるから…)
さっきの顔から真剣になる王女様は、再びそのアンナ、と言う護衛の人を探すべく森の奥へ入ろうとしたが、俺は止めた。
「そっちじゃないよ」
「…え?」
「だってそっちはさっき俺、じゃなくて。自分が来たもの」
「あら、そうなの?うーん……」
不安そうな顔をするランスさんは、どこかよそよそしい。人探し…。護衛騎士の人が守るべき対象から離れるだろうか。
いや、考えられない。倒れるぐらいまでの疲労。いや、多分お腹空いてだろうが。
ここは、探すのを手伝いますか。
「あの、ランスさん」
「え、なに?」
「自分も探すの手伝いますよ」
「え、でも…」
巻き込めるわけないと言う顔で、俺の顔をじっと見る。よく見ると、その緑色の瞳は綺麗だった。
と言うのは、今はどうでもいい。一人より二人。それが一番いいだろう。それに、この世界へ来て初めての友人だ。
村の人たちは、友人というより家族に近い。
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