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第一部 幼少期
第四話 婚約者登場
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俺が7歳になった頃、どうやら父様の知り合いが家に来ていた。
一体誰だろうと思い、俺は応接間の扉を開け、中の様子を見る。
ソファーに座っている人物は、気迫のある男性と、俺より年上そうな男の子が一人いた。
(誰だろう……?)
そう思い、聞き耳を立てる。
「オーティス様が!?」
ん?オーティス?
「あぁ、縁談の話をだな」
「ノイーズに縁談の話……でございますか」
「お互いに、いい利益になると思うぞ」
「………ノイーズがどう考えるかを聞いてから、いいでしょうか?」
「もちろんだ」
という内容らしい。
と言うより、縁談!?って言うか、オーティス?聞いたことがあるようなぁ。
今思い出すと、オーティスというのは、『月の令嬢』の小説、ノイーズ・オーバンの婚約者の相手だ。
しかも、パルラス王国の第四王子。
オーティス=アレクサンデル・パルラス。
小説でしか読んだことはないが、姉が言っていた。コミック版を買い、読んでいた姉は、
『いい?詔。オーティスはね、兄弟の中では髪の色が違うのよ。上の兄たちは金髪だけど、オーティスだけは銀髪なのよ。わかった?』
『あー、はいはい』
と言っていたことを思い出す。そして、応接間にいる、男の子の髪は銀髪。
早くないですかね。まだ7歳ですよ。
「ノイーズお嬢様、どうかなさいましたか?」
廊下の方からは、リー先生がやってきた。俺はシーと、人差し指を口に当てる。
キョトンとしたリー先生は、俺に聞いてきた。
「どうかなさったんですか?」
「それが今、パルラス第四王子が来ているみたいなんです」
「そうなのですね。ですが、パルラス第四王子様が、どんな理由で………」
リー先生がそう言うのも頷ける。なぜなら、オーティスは冷徹であり、クールさを備わっている。そして、小説の中では、ノイーズに冷たく当たっている人物だ
(まぁ、そこまでは一緒なんでしょう)
バレないように、リー先生とその場から立ち去り、リー先生と一緒に自室にて、刺繍をしていた。
「ノイーズお嬢様は、花の刺繍なのですね。お可愛らしいです」
「ありがとうございます」
「金の薔薇ですね。どなたかにお渡しするのですか?」
「いえ、そんな相手しないですしね」
(まだ7歳だって)
俺が7歳の時は、そんな相手いないし、そもそも純粋、無垢であったし。
と、詔としての幼少期を思い出した。
そんな時、自室の扉がノックされる。リー先生が、立ち上がり、扉を開けると、まさかのオーティスがいた。
「オーティス様!?」
「どうも」
(な、なんでここに!?)
驚愕した。なぜここにオーティスが居るのだと。
そう思うと、何故かこっちにやってきた。なんだろうか。何故か怖い。
「それ作ったの」
「は、はい」
「ふーん…」
え、なんだろう。すごい見てくる。あ、もしかして、これ欲しいのか?
そう思い、刺繍したハンカチを渡してみた。
「あの、これ……」
「いいのか?」
「ど、どうぞ…」
苦笑を浮かべ、刺繍したばっかりのハンカチを渡した。
そうすると、何故か笑みを浮かべた。
あれ?デレた?そんな描写あったっけ?
と、不思議に思いながら、俺は念の為にオーティスに挨拶をした。
「お見えになり光栄でございます。オーティス様。本日はいかがなさいましたか?」
リー先生に教えてもらった事を、なんとか挨拶をすることができた。
「あぁ、今日は父様に連れてられてだ。はぁ…、まさか縁談の話とはな。それがまさか、子爵家とは…」
文句たらたらと言っている。
なんだこいつ。と、少しイラつく。だが、それは鉈橋詔の心情だ。と言うより、悪役令嬢にならないように、未来ではああならない様にする為に、心の内に留めておくことにした。
ーーーーーーー
時間はもう夜となり、俺は自室にあるベットに横たわり、今日の事を考えていた。
(まさか今日婚約者である、オーティスが来るとは。だけど、あんな笑顔…。うーん)
クールで人気なあのオーティスが、あんな無邪気な笑顔を見せたのに、妙に引っかかる。
(うーん、姉も言っていたけど。オーティスはクールさを醸し出し、色んな貴族の女性からの縁談が、多くなっている。しかも、その他の兄弟もイケメンで、他国の貴族の令嬢からもモテモテな貴公子…。確か、オーティスはノイーズより二つ年上だった気が……?)
小説の設定を思い出す。10代であるオーティスの兄たちは、他の貴族の令嬢の人たちから縁談の話が多いと。
だが、兄弟たちは、未だに縁談の話を断り続けている。オーティスも9歳ではあるが、15歳になったら、わんさかのように学院では女子にモテまくる。いわゆる、色男というわけだ。
(まぁ、いいや。多分見間違え。うん、そうだと思う)
そう自分に言い聞かせ、そのままふかふかなベットの中で眠った。
貴族のベットというのは、偉大さを感じる。ふかふかで、寝やすい。
だけど、部屋が異様に広い。そんなに広く取る必要があるか?と、思うが過ごすには快適だ。
(明日は、魔法の勉強をしようかなぁ)
と、まだ意識がある中で明日の予定を決めた。
一体誰だろうと思い、俺は応接間の扉を開け、中の様子を見る。
ソファーに座っている人物は、気迫のある男性と、俺より年上そうな男の子が一人いた。
(誰だろう……?)
そう思い、聞き耳を立てる。
「オーティス様が!?」
ん?オーティス?
「あぁ、縁談の話をだな」
「ノイーズに縁談の話……でございますか」
「お互いに、いい利益になると思うぞ」
「………ノイーズがどう考えるかを聞いてから、いいでしょうか?」
「もちろんだ」
という内容らしい。
と言うより、縁談!?って言うか、オーティス?聞いたことがあるようなぁ。
今思い出すと、オーティスというのは、『月の令嬢』の小説、ノイーズ・オーバンの婚約者の相手だ。
しかも、パルラス王国の第四王子。
オーティス=アレクサンデル・パルラス。
小説でしか読んだことはないが、姉が言っていた。コミック版を買い、読んでいた姉は、
『いい?詔。オーティスはね、兄弟の中では髪の色が違うのよ。上の兄たちは金髪だけど、オーティスだけは銀髪なのよ。わかった?』
『あー、はいはい』
と言っていたことを思い出す。そして、応接間にいる、男の子の髪は銀髪。
早くないですかね。まだ7歳ですよ。
「ノイーズお嬢様、どうかなさいましたか?」
廊下の方からは、リー先生がやってきた。俺はシーと、人差し指を口に当てる。
キョトンとしたリー先生は、俺に聞いてきた。
「どうかなさったんですか?」
「それが今、パルラス第四王子が来ているみたいなんです」
「そうなのですね。ですが、パルラス第四王子様が、どんな理由で………」
リー先生がそう言うのも頷ける。なぜなら、オーティスは冷徹であり、クールさを備わっている。そして、小説の中では、ノイーズに冷たく当たっている人物だ
(まぁ、そこまでは一緒なんでしょう)
バレないように、リー先生とその場から立ち去り、リー先生と一緒に自室にて、刺繍をしていた。
「ノイーズお嬢様は、花の刺繍なのですね。お可愛らしいです」
「ありがとうございます」
「金の薔薇ですね。どなたかにお渡しするのですか?」
「いえ、そんな相手しないですしね」
(まだ7歳だって)
俺が7歳の時は、そんな相手いないし、そもそも純粋、無垢であったし。
と、詔としての幼少期を思い出した。
そんな時、自室の扉がノックされる。リー先生が、立ち上がり、扉を開けると、まさかのオーティスがいた。
「オーティス様!?」
「どうも」
(な、なんでここに!?)
驚愕した。なぜここにオーティスが居るのだと。
そう思うと、何故かこっちにやってきた。なんだろうか。何故か怖い。
「それ作ったの」
「は、はい」
「ふーん…」
え、なんだろう。すごい見てくる。あ、もしかして、これ欲しいのか?
そう思い、刺繍したハンカチを渡してみた。
「あの、これ……」
「いいのか?」
「ど、どうぞ…」
苦笑を浮かべ、刺繍したばっかりのハンカチを渡した。
そうすると、何故か笑みを浮かべた。
あれ?デレた?そんな描写あったっけ?
と、不思議に思いながら、俺は念の為にオーティスに挨拶をした。
「お見えになり光栄でございます。オーティス様。本日はいかがなさいましたか?」
リー先生に教えてもらった事を、なんとか挨拶をすることができた。
「あぁ、今日は父様に連れてられてだ。はぁ…、まさか縁談の話とはな。それがまさか、子爵家とは…」
文句たらたらと言っている。
なんだこいつ。と、少しイラつく。だが、それは鉈橋詔の心情だ。と言うより、悪役令嬢にならないように、未来ではああならない様にする為に、心の内に留めておくことにした。
ーーーーーーー
時間はもう夜となり、俺は自室にあるベットに横たわり、今日の事を考えていた。
(まさか今日婚約者である、オーティスが来るとは。だけど、あんな笑顔…。うーん)
クールで人気なあのオーティスが、あんな無邪気な笑顔を見せたのに、妙に引っかかる。
(うーん、姉も言っていたけど。オーティスはクールさを醸し出し、色んな貴族の女性からの縁談が、多くなっている。しかも、その他の兄弟もイケメンで、他国の貴族の令嬢からもモテモテな貴公子…。確か、オーティスはノイーズより二つ年上だった気が……?)
小説の設定を思い出す。10代であるオーティスの兄たちは、他の貴族の令嬢の人たちから縁談の話が多いと。
だが、兄弟たちは、未だに縁談の話を断り続けている。オーティスも9歳ではあるが、15歳になったら、わんさかのように学院では女子にモテまくる。いわゆる、色男というわけだ。
(まぁ、いいや。多分見間違え。うん、そうだと思う)
そう自分に言い聞かせ、そのままふかふかなベットの中で眠った。
貴族のベットというのは、偉大さを感じる。ふかふかで、寝やすい。
だけど、部屋が異様に広い。そんなに広く取る必要があるか?と、思うが過ごすには快適だ。
(明日は、魔法の勉強をしようかなぁ)
と、まだ意識がある中で明日の予定を決めた。
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