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第一部 幼少期

第二話 なんとも不便

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この世界に転生し、ノイーズお嬢様と呼ばれるようになってから、一年が経過する。
歩けるように練習をしたり、喋れるように練習したりしたが、なんとも不便だ。全然出来ん。

昔の俺がどのように歩いているのか、もう覚えているはずがない。いや、絶対だ。まぁ、なんとかなるだろう精神で生きているが。

「ノイーズお嬢様。朝ごはんができましたよ」

おぉ!朝ごはん!母さんが作った朝食も美味しかったが、この世界の料理も絶品だ。
食堂の方からいい匂いが漂ってくる。そこへ行くには、まだ一人でこなせない為、メイド長さんに抱っこをしてもらいながら、運ばれていった。

めちゃくちゃ楽~と思っても練習は、しっかりとする。

「ノイーズ、おはよう。ゆっくり眠れたかな?」

コクっと頷くと、俺の父親であるオーバン子爵は笑顔となった。俺の父親にそっくりだが、親は全員そうであるのだろうか。

「ノイーズ、今日はピクニックに出かけましょうか」

おぉ!ピクニック!
またもやコクっと、頷く。そうすると、オーバン子爵婦人であり、俺の母親はいい笑顔となった。

母親は謎に安心してしまう。それは赤ちゃん全員に言える事なのだろうか。

一歳用に作られた、朝食が目の前にあり、美味しそうな湯気が漂っている。どうやら、今日の朝ごはんは、パンにミルク。
まぁ、このぐらいの年齢なら、そうだよなぁ、とか思いつつ、それを口に運ぶ。

おぉ!どうやらバターで味付けをしたようだった。
パンにはバターで焼いたみたいであり、バターの風味が口一杯に広がる。
そしてミルクが入っているコップを、口に運びゴクゴクと飲むと、追い討ちをかけるかのように、ミルクの濃厚さがバターとミスマッチし、さらに美味しく感じる。

はぁ~……幸せ………。

「お口に会いましたか?」
「………うゆ」

なんとか返事をしようかと思ったら、そんな声が出た。本来なら言わないであろう、そんな言葉を口に出したが、今は仕方ない。うん。

そうすると、何やら言ってきたメイドさんが、尊いと言いながら、拝んでいた。
そんな時、ビビッと来た。この人変態だ。と。

やっぱり、赤ちゃんは罪だね。

ーーーーーーー

朝食を食べ終わり、30分休憩したあと、ピクニックに行く準備に取り掛かっていた。俺はメイドの人たちに着替えさせられ、こりゃまたオシャレな私服に着替えさせられた。

こんなお洒落な衣装は、きっと21世紀で着れば変な人に見られるだろう。
小さいドレスで、キラキラな宝石らしきものが付けられていた。

「ノイーズ様、お似合いでございます!」
「あぁ、流石はノイーズ様!とてもお可愛いですわ!」
「流石ですわ!ノイーズ様!」

メイドさん達は、褒めているが、結構恥ずかしい。
スカートというのを履いた事ない俺は、少しスースーしてしまう。だが、今の俺は鉈橋詔ではない。ノイーズ・オーバンなのだ。
あの悪役と呼ばれている、あの令嬢に転生したが、正直あんな未来はゴメン被りたい。
もう死は体験したくない。寿命で死ぬ以外!

と、死に対することに関しては、もう懲り懲りだった。


ーーーーーーー

その後は両親の元へと行き、一緒に子爵家の外にある庭へ行く。
庭には花壇が多くあり、花は咲き誇っていた。
彩緑であり、赤に黄色、青に白などの花も咲いてあった。
どうやら、これは全て母様がやったらしい。

「さぁ、この辺にいたしましょうか」
「そうだな。さ、ノイーズ。どうだい?我が家の庭は」

と、俺に聞いてきた。そんなの言われなくても、答えは決まっている。

「き、えい」

綺麗だ。と、言おうとしたが、やはりまだ舌が回らない。
なんとも不便なのだろうか。だが、昔の俺もそうなのだと思うと、
父さん、母さん、育ててくれてありがとう。

まぁ、死んじゃってまた死んじゃって、今に至るけど。なんて思いながら、木陰の方へ今の両親とともに行き、晴天な青空の元へレジャーシートを敷き、その上に乗った。

メイドの方達が作ってくれた、美味しそうな弁当を見ると、お腹が鳴ってしまいそうだ。

「さ、食べましょうか」
「そうだな。ノイーズ。おいで」

父様にそう言われ、俺は大人しく父様の膝の上に乗った。

「あらあら。うふふ、ノイーズはあなたに夢中なのね」
「マンマも…」
「あら、私も?嬉しいわぁ」

最高の笑顔を見せる両親を見て、この人たちは子供が好きなのかなぁ、と思った。そうでなければ、一緒にピクニックをしようだなんて、言うだろうか。
いや違う。両親は家にいる時間が多い。その為、その分構う事ができるのだ。

うん、最高だね。しかも、まだ一歳だし。

弁当の中にはおにぎりや卵焼き、ウィンナーと最強組み合わせがオンリーだった。
おそらく、俺と姉がその場にいれば、多分一瞬でなくなる。高校生である為、育ち盛り真っ最中である。

とにかく、今日はのんびりしよう。
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