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盈月
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「まぁ、夕飯までにはきっと帰ってくると思うからゆっくりしてってよ。おれも瑠璃の友達に興味あるし」
そんな俺らを安心させるように西山さんは屈託なく笑った。
「私も西山さんと話してみたいです」
それに巴も乗じる。こっちの笑みも屈託なくは見えた。
「あ、お茶も出してなかったね。オレンジジュース飲める?」
「大丈夫です」
「そんな、お構いなく」
二つの声を背に受けて西山さんはキッチンへと向かっていく。言葉の違いは品格の違いかな。少し拗ねた気分になる。
「で、西山も居ないのに長居してていいのかよ?」
声を落としぶっきらぼうに問うた。ここで待っている時間があれば、何か別の事が出来る気がした。
「瑠璃が居なきゃ話が進まないんだからしょうがないでしょ。それに、私は"弘さん"に興味があるの」
「弘さん?」
「そう。瑠璃の口から度々出てきてたけど、すごく信頼されてるみたいだっ……」
「お待たせ~」
巴が言葉を切ったと同時に西山さんがオレンジジュースとゼリーを持ってきた。彼はいそいそとそれらを配ってくれる。
"ありがとうございます"
もごもごとお礼を言ってそれを受け取る。俺が貰ったのはぶどうゼリーだった。
ーーこの人が西山から信頼されてる?
ジュースを一口飲みながら目の前の青年をじっくりと観察する。背広の上着だけを脱いだような格好で、茶色の髪を掻きながらずっとへらへらと笑っている。正直言って頼りない。何一つ西山に好かれそうな要素は見つけられない。第一、西山が誰かを信頼するなんてあり得そうに思えない。
ーー巴の勘違いなんじゃねぇの?
そっちの方がありそうな気がした。
そんな俺らを安心させるように西山さんは屈託なく笑った。
「私も西山さんと話してみたいです」
それに巴も乗じる。こっちの笑みも屈託なくは見えた。
「あ、お茶も出してなかったね。オレンジジュース飲める?」
「大丈夫です」
「そんな、お構いなく」
二つの声を背に受けて西山さんはキッチンへと向かっていく。言葉の違いは品格の違いかな。少し拗ねた気分になる。
「で、西山も居ないのに長居してていいのかよ?」
声を落としぶっきらぼうに問うた。ここで待っている時間があれば、何か別の事が出来る気がした。
「瑠璃が居なきゃ話が進まないんだからしょうがないでしょ。それに、私は"弘さん"に興味があるの」
「弘さん?」
「そう。瑠璃の口から度々出てきてたけど、すごく信頼されてるみたいだっ……」
「お待たせ~」
巴が言葉を切ったと同時に西山さんがオレンジジュースとゼリーを持ってきた。彼はいそいそとそれらを配ってくれる。
"ありがとうございます"
もごもごとお礼を言ってそれを受け取る。俺が貰ったのはぶどうゼリーだった。
ーーこの人が西山から信頼されてる?
ジュースを一口飲みながら目の前の青年をじっくりと観察する。背広の上着だけを脱いだような格好で、茶色の髪を掻きながらずっとへらへらと笑っている。正直言って頼りない。何一つ西山に好かれそうな要素は見つけられない。第一、西山が誰かを信頼するなんてあり得そうに思えない。
ーー巴の勘違いなんじゃねぇの?
そっちの方がありそうな気がした。
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