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盈月
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「それで、どれを運べばいいの?」
静かな声、静かな瞳が森本に向く。
「相変わらず生意気な奴だな。敬語というものを知らないのか?」
「知ってはいる。使い所も分かってる。でも、今はその時じゃ無いでしょ」
相変わらずの西山節。相手を見下す。自分を曲げない。遠慮しない。本当にムカつく。
それは森本も同様だったのか、沸騰しそうなほどに顔を真っ赤にし、彼女の胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。
「状況把握が出来ていないようだな。俺を怒らせて、男女二人きりの密室空間から無事に帰れると思っているのか?」
「二人? まぁ、いいけど。無事に帰れるんでしょ? わたしは教科書運びの手伝いに来ただけなんだから」
唾を撒き散らすようにしてわめき散らす森本の手を払い除け、冷たい瞳は彼を見つめる。何事も無かったように平坦な光を湛えて。
「そうか。お前がそんな態度で来るなら、俺が我慢する必要は無いよな」
対する彼の目は狂っている。目の前の獲物をどう調理しようかと舌舐めずりしている。教師としてのプライドも、人間としての尊厳も無い。
本来なら、こんな奴には嫌悪感しか覚えない。即座にぶち殺したくなるほどに気持ち悪い。
だけど、今の沙羅は凄く興奮していた。森本のキモさに、狂気に期待を膨らませていた。楽しくて、待ち遠しくてたまらない。
「西山、これ、身に覚えあるだろ?」
森本は期待通りにジョーカーを切った。
そこにあるのは一枚の写真。タラクサカムから送られてきた犯罪の証拠写真。
「これをばら撒かれたくなかったら、俺に従え」
それを盾に生物教師は彼女を見下した。
静かな声、静かな瞳が森本に向く。
「相変わらず生意気な奴だな。敬語というものを知らないのか?」
「知ってはいる。使い所も分かってる。でも、今はその時じゃ無いでしょ」
相変わらずの西山節。相手を見下す。自分を曲げない。遠慮しない。本当にムカつく。
それは森本も同様だったのか、沸騰しそうなほどに顔を真っ赤にし、彼女の胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。
「状況把握が出来ていないようだな。俺を怒らせて、男女二人きりの密室空間から無事に帰れると思っているのか?」
「二人? まぁ、いいけど。無事に帰れるんでしょ? わたしは教科書運びの手伝いに来ただけなんだから」
唾を撒き散らすようにしてわめき散らす森本の手を払い除け、冷たい瞳は彼を見つめる。何事も無かったように平坦な光を湛えて。
「そうか。お前がそんな態度で来るなら、俺が我慢する必要は無いよな」
対する彼の目は狂っている。目の前の獲物をどう調理しようかと舌舐めずりしている。教師としてのプライドも、人間としての尊厳も無い。
本来なら、こんな奴には嫌悪感しか覚えない。即座にぶち殺したくなるほどに気持ち悪い。
だけど、今の沙羅は凄く興奮していた。森本のキモさに、狂気に期待を膨らませていた。楽しくて、待ち遠しくてたまらない。
「西山、これ、身に覚えあるだろ?」
森本は期待通りにジョーカーを切った。
そこにあるのは一枚の写真。タラクサカムから送られてきた犯罪の証拠写真。
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