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盈月
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「なんだ、今までと同じじゃないか」
おれは以前、彼女に伝えた"瑠璃を信じる"と。そして今まで、信じようとしてきた。だから……!
そこまで考えて気がついた。おれ自身の思い違いに。
「違う……。あの時、おれが言ったのは"瑠璃を信じる"じゃなくて、"瑠璃を信じてる"だ」
頭の中を流れた回想。確かにおれはそう言った『何故だか瑠璃を信じている』と
ーーおれ、恐怖で色々見失ってたみたいだな。
呆れ果てて笑いが洩れた。本当に情けない。おれは、あの時点で既に瑠璃を信じていたんだ。傀儡にすると言われても動じない位。おれは知っていた瑠璃がチカラを嫌っていると、瑠璃が人を蔑ろにする人間じゃないと。
「ちくしょう」
叫んで頬を思いっきり叩く。なんで忘れていたんだろう。なんで信じきれなかったんだろう。本が好きで、身体に似合わず大飯食らいで、光が苦手な少女。知らなかった事が少しずつ見えてきて、少しずつ距離が近づいてきている筈なのに。
「瑠璃」
名前を呼んでおれはゆっくり頭を上げた。だけど、彼女はそこには居ない。もう部屋に戻ったらしい。でもおれは言葉を紡ぐ。
「おれ、お前の事信じるから」
声が部屋の中をこだました。この言葉が彼女に届いているか分からない。でもいい、これは聞かせるための言葉じゃない。
「さてと、食べるか」
たっぷりとした沈黙を経て、おれは重い空気を払う声を上げた。軽くなった言葉はいつものおれ。その感覚に酔いながらフォークを刺してくるくると回す。重荷が取れた今なら、なんでもできそうな気すらした。
「……でも、さすがにこれは無理だよな」
苦笑する。持ち上げたフォークには、皿にあった全てのスパゲティが巻きついている。時間が経った為、固まってしまったらしい。
「オリーブオイルあったっけ……?」
腕を下ろして頭をかく。深く刻んだ決意の重さは、おれが発した間抜けな声に包まれすぐに薄れていった。
おれは以前、彼女に伝えた"瑠璃を信じる"と。そして今まで、信じようとしてきた。だから……!
そこまで考えて気がついた。おれ自身の思い違いに。
「違う……。あの時、おれが言ったのは"瑠璃を信じる"じゃなくて、"瑠璃を信じてる"だ」
頭の中を流れた回想。確かにおれはそう言った『何故だか瑠璃を信じている』と
ーーおれ、恐怖で色々見失ってたみたいだな。
呆れ果てて笑いが洩れた。本当に情けない。おれは、あの時点で既に瑠璃を信じていたんだ。傀儡にすると言われても動じない位。おれは知っていた瑠璃がチカラを嫌っていると、瑠璃が人を蔑ろにする人間じゃないと。
「ちくしょう」
叫んで頬を思いっきり叩く。なんで忘れていたんだろう。なんで信じきれなかったんだろう。本が好きで、身体に似合わず大飯食らいで、光が苦手な少女。知らなかった事が少しずつ見えてきて、少しずつ距離が近づいてきている筈なのに。
「瑠璃」
名前を呼んでおれはゆっくり頭を上げた。だけど、彼女はそこには居ない。もう部屋に戻ったらしい。でもおれは言葉を紡ぐ。
「おれ、お前の事信じるから」
声が部屋の中をこだました。この言葉が彼女に届いているか分からない。でもいい、これは聞かせるための言葉じゃない。
「さてと、食べるか」
たっぷりとした沈黙を経て、おれは重い空気を払う声を上げた。軽くなった言葉はいつものおれ。その感覚に酔いながらフォークを刺してくるくると回す。重荷が取れた今なら、なんでもできそうな気すらした。
「……でも、さすがにこれは無理だよな」
苦笑する。持ち上げたフォークには、皿にあった全てのスパゲティが巻きついている。時間が経った為、固まってしまったらしい。
「オリーブオイルあったっけ……?」
腕を下ろして頭をかく。深く刻んだ決意の重さは、おれが発した間抜けな声に包まれすぐに薄れていった。
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