148 / 158
盈月
139
しおりを挟む
次の日、私は瑠璃と普通に過ごしていた。知らなかった、自分がこんなにも豪胆な奴だったなんて。
もちろん、不自然な部分はあったと思う。普段の瑠璃ならきっと気づいた。でも、最近の彼女は気づかない。私に……興味を向けてくれないから。
「巴、帰ろう」
「うん、今行く」
ほらやっぱり違う、前までの声と。
両目で捉えた少女の姿の片隅に青く小さな光が見える。
ーーまだ、つけてくれてる。
私があげたヘアピン。私達の友情の証。
ーーやめてよ、また分かんなくなるじゃん。
賢太郎を見捨てた。そんな彼女を許せていない。私に興味を無くしたように振る舞う彼女に恐怖と怒りを感じている。
なのに、私のプレゼントを毎日つけてくる彼女がとても愛しい。
「巴、どうかした?」
覗き込んでくる黒い瞳は無感情にも温かい。
ーーなんなのだろうこの子は。
「ううん、なんでもない」
いつものように笑って抱きつこうとして留まった。
ーー私はこの子を裏切れるんだろうか。
逃げるように視線を外して窓の外を見た。夕焼けが綺麗で怖ろしい赤色をしていた。
ーーどうしたらいいんだろう。
土曜日まであと三日。それまでに私は覚悟を決めなければならない。
もちろん、不自然な部分はあったと思う。普段の瑠璃ならきっと気づいた。でも、最近の彼女は気づかない。私に……興味を向けてくれないから。
「巴、帰ろう」
「うん、今行く」
ほらやっぱり違う、前までの声と。
両目で捉えた少女の姿の片隅に青く小さな光が見える。
ーーまだ、つけてくれてる。
私があげたヘアピン。私達の友情の証。
ーーやめてよ、また分かんなくなるじゃん。
賢太郎を見捨てた。そんな彼女を許せていない。私に興味を無くしたように振る舞う彼女に恐怖と怒りを感じている。
なのに、私のプレゼントを毎日つけてくる彼女がとても愛しい。
「巴、どうかした?」
覗き込んでくる黒い瞳は無感情にも温かい。
ーーなんなのだろうこの子は。
「ううん、なんでもない」
いつものように笑って抱きつこうとして留まった。
ーー私はこの子を裏切れるんだろうか。
逃げるように視線を外して窓の外を見た。夕焼けが綺麗で怖ろしい赤色をしていた。
ーーどうしたらいいんだろう。
土曜日まであと三日。それまでに私は覚悟を決めなければならない。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。
Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった後、異世界に転生した高校生、鬼島迅。
そんな彼が生まれ落ちた家は、貴族。
しかし、その家の住人たちは国内でも随一、乱暴者というイメージが染みついている家。
世間のその様なイメージは……あながち間違ってはいない。
そんな一家でも、迅……イシュドはある意味で狂った存在。
そしてイシュドは先々代当主、イシュドにとってひい爺ちゃんにあたる人物に目を付けられ、立派な暴君戦士への道を歩み始める。
「イシュド、学園に通ってくれねぇか」
「へ?」
そんなある日、父親であるアルバから予想外の頼み事をされた。
※主人公は一先ず五十後半の話で暴れます。

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?

婚約者の恋人
クマ三郎@書籍発売中
恋愛
王家の血を引くアルヴィア公爵家の娘シルフィーラ。
何不自由ない生活。家族からの溢れる愛に包まれながら、彼女は社交界の華として美しく成長した。
そんな彼女の元に縁談が持ち上がった。相手は北の辺境伯フェリクス・ベルクール。今までシルフィーラを手放したがらなかった家族もこの縁談に賛成をした。
いつかは誰かの元へ嫁がなければならない身。それならば家族の祝福してくれる方の元へ嫁ごう。シルフィーラはやがて訪れるであろう幸せに満ちた日々を想像しながらベルクール辺境伯領へと向かったのだった。
しかしそこで彼女を待っていたのは自分に無関心なフェリクスと、病弱な身体故に静養と称し彼の元に身を寄せる従兄妹のローゼリアだった……

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる