パンドラ

須桜蛍夜

文字の大きさ
上 下
101 / 158
盈月

92

しおりを挟む
「やだ……やめて。やだよ。わたしはーー」

泣きじゃくっていた。

いつもの彼女とは似ても似つかない幼児退行でもしたかのような姿。

ーーほんと、何なんだろう。この子。

西山瑠璃は犯されてなお敵意を示すやつだと思ってた。もしくは動じずに無表情を貫くと。

だから、もっと苦しめるために人を呼んだ。大勢からの陵辱で女として殺してやろうと思ってた。精神の限界で、無表情の果てで、こいつの素顔を暴いてやろうと思っていた。

ーーなのに、何これ?

彼女は牙なんて全部無くしてしまった。狩られるうさぎですらない。これではただの雛だ。弱々しくて何も出来ない愚図だ。

ーーちょっと拍子抜け。だけど、これはこれで良いのかな。

もともとあの憎たらしい無表情を崩したかったのだ。西山瑠璃を降伏させたかったのだ。

指先で一筋首を撫でてやる。それだけでこの子は反応する。沙羅の思い通りになる。

これは願ってもない展開。なのに、なんだか燃えなかった。

「もう好きにしていいよ」

西山瑠璃の上から避けた。もっと彼女が悲惨な目にあえば沙羅もイケるかもしれない。

「へへっ、ようやくか」

「こんだけ目の前でやられちゃ。俺たちもビンビンなんすよね」

ぞろぞろと押さえつけるのをやめて、男達は彼女を取り囲む。拘束が外れても、西山瑠璃は逃げる素振りすら見せなかった。虚ろな目で空を見つめる。ある意味、今も人形っぽい。

「沙羅お疲れ。ほんと沙羅って犯すの好きだよね。毎度毎度そのテクに感服するわ。うん、良い絵が見れた」

ユウコがにやにやとしながら声をかけてくる。彼女は西山瑠璃の泣き顔を存分に楽しんでいるようだ。

「マジでウケた。あいつ泣くんだ。いやほんと、沙羅サイコー」

ミカも最大限にこのショーを楽しんでいる。

心底楽しめない沙羅の方がおかしいのかもしれない。

「じゃあ、俺からな」

男達の中でリーダー格の奴が西山瑠璃に跨った。

「俺は優しくないから覚悟しとけよ」

言うが早いが男は彼女の肩を押さえつけるように馬乗りになると、自分のモノを堂々と取り出した。

「あ……やっ」

さっきよりは自由の効く身体でバタバタと暴れる西山瑠璃。

「うるせぇ!」

「ぁっ」

その顔を男が思い切り殴りつける。血が飛び散り、傍目にもその衝撃が分かるほどに鈍い音を響かせた。

「俺に逆らうな。勝手に喚くな。黙って言うこと聞いていろ」

ドスを効かせた声。西山瑠璃は放心しているのか、ピクリとも動かず、先程よりも虚ろな瞳で宙を見つめている。

「そうだ。いいぞ」

反抗しない態度に気を良くしたのか、男は彼女のスカートの中に手を入れ、少しパンツと黒タイツを下ろすとその中へモノを忍び込ませる。

「ほら、当たってんのが分かるだろ? 今、気持ちよくしてやんからな」

西山瑠璃は何も答えない。死んだのかとも思う程に動かない。

「っ……」

そんな彼女が声を洩らした。

「きっついな。お前処女か? なら役得だな。ほぉら、先っぽ入ったぞ。分かるか? これがお前を貫くからな」

笑いながらゆっくり腰を動かす男。

「ぁっ……っ」

絶えず洩れる声。彼は少しずつ、嬲るようにして挿入している。一気に最後まで行かない。中途半端な快楽と終わりの見えない恐怖の中で彼女の反応を楽しんでいる。

ーーへぇ、処女なんだ。

その拷問のような行為を見ながら、沙羅は男が言ったことを反芻していた。犯した時の感じから見るに、処女ではないと思っていたが、そうでもなかったらしい。

初めてをゴロツキの暴行に奪われる。

ーーいいかもしれない。

少しゾクゾクとしてきた。

「いいのか、入ってるぞ。抵抗してみろよ」

先程とは打って変わって静かな少女。彼は苛立ち、声をあげる。

「もういい。よがってろ。俺の優しさを無下にしたこと、後悔させてやる」

男は腰を大きく動かす。ニヤニヤとした顔が妙に印象的で、その光景から目を離せない。そしてーー。

「あぁっ……」

突然呻きは大きくなった。生気のない人形には出せない声。動物らしい本能の声。

ーーやった、処女奪った!

足の先から電気のように快感が上ってくる。にやけが止まらなくて、さっきまで白けていたのが嘘のように興奮している。楽しい。楽しい!







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

精霊地界物語

山梨ネコ
ファンタジー
前世は日本の女子高生だったが、何者かに殺され、剣と魔法の世界に転生したエリーゼ。けれど、チート能力や美しい容姿には恵まれず、なぜか美貌の兄たちに憎まれ、怯える毎日……。いっそのこと家を出て、憧れの冒険者になろう! そう思い、冒険者ギルドに登録するが、自分のステータスを初めて知り、ショックを受ける。なんと精霊から、【胃弱】【美貌に弱い】といったどうしようもない能力を授かっていたのだ! 彼女は「精霊の呪い」を解くため、仲間達と共に、謎に満ちた「迷宮」に挑む――。不幸体質の転生少女が、運命に立ち向かう!

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

処理中です...