パンドラ

須桜蛍夜

文字の大きさ
上 下
100 / 158
盈月

91

しおりを挟む
「観念しなよ、瑠璃。君は僕の物だ。僕に支配されるしかないんだ」

沙羅は、教えられた通りに台詞を続ける。

「違う……違う。わたしは物じゃない……」

「瑠璃は物だ。ただの道具だよ」

「違う……わたしは……」

頭を抱えるようにして呟きだす。段々と震えは大きくなってくる。声はか細くて本当に西山瑠璃なのかと思うほどに弱々しい。

ーーふーん、この子、こんな顔もできるんだ。

楽しくなってくる。沙羅の言葉一つでこの子はこんなに怯える。この子の怯えは本当に心地よい。

「僕に逆らうの?」

「っ……」

笑みを浮かべてゆっくりと近づく。怯えしかない瞳が沙羅を見た。沙羅を捉えて怯えを強めた。だから、目の前に立って嬲るように言ってやる。

「なら、お仕置きだね」

同時に、沙羅の後ろに隠れていたゴロツキの一人が彼女の腹を殴った。

「ひっ……」

モロに喰らった西山瑠璃は吐息のような悲鳴を残してその場に崩れ落ちる。その隙を逃さず、男達が彼女の両手両足を一本ずつ押さえつけた。

逃れようとするが、流石に大の大人の力には敵わない。身体を全く動かすことができずに、頭だけを左右に振り回している。

沙羅はそんな状態の西山瑠璃に馬乗りになる。虚ろな目で虚空を見る少女。

「やだ……」

呟くように声を漏らす口。

「やめて……んっ」

その口を自分の口で塞いでやる。逃げるように振られる頭を両の腕で拘束して。逃げ場をなくす。

生暖かい感触。それを無理やりかき回す。

「ん……ん」

無駄な抵抗は身体に力を入れることしかできない。手すらもがっちりと掴まれ、指一本すら動かせない状況。そんな中で動かせる口内さえも支配するようにゆっくりと貪っていく。
怯えていた目が閉じられて、頬が少し紅潮してきた。

抵抗できない状態で与えられる快楽。それを身体が受け入れ始めた。

「んぁ……あん……」

逃げるように身体に力を入れる度に、少女は感じるように声を上げた。

『瑠璃はきっと、自分は逃げられないと悟るほどに感じるよ』

教わった通りだ。

彼女の目には涙が伝い、暴れるように抵抗が強くなるが、それは反転して彼女をいたぶる快楽へと変換されている。

「……っ」

息が苦しくなって貪っていた口を離す。目の前には無表情なんて欠片もないただの少女が転がっていた。

荒い吐息。熱をもった身体。

ゆっくりと顔を近づけ、今度は首筋に舌を這わせる。

「やめて……やっ」

劇的だった。逃げた頭を押さえつけ、もう一度舐める。

「っ……」

身体がビクッと跳ね上がる。溢れ出た涙は、首が弱点であると如実に現していた。

ピチャ

ゆっくりくすぐるように舌を振る。

その度に震える身体は徐々に抵抗していた力をなくしていく。

「うっ……ぁ」

感じたくないのに感じさせられる身体。屈辱に流す涙は甘美だ。

「へぇ~首筋弱いんだ」

嘲るように言って指で撫でる。小刻みな震えは止まらない。溢れる吐息は色気を増してくる。

「沙羅に犯されてるってどんな感じ?」

撫でる手を止めて訪ねた。重なる快感に息を乱した彼女は当然答えられない。

「答えられないなら、お仕置きだよ」

"お仕置き"という言葉に抵抗が消えた。その隙につうっと舌を這わせ、いきなり、その首筋に噛み付く。

「あ……」

今までで一番大きく跳ね上がった。

そこに間髪入れずに唇を奪う。

舌を絡ませ、かき回す。もう完全に快楽に囚われた少女は抵抗する力すら無かった。されるがままに全てを受け入れる。

沙羅は息が苦しくなる寸前までそれを堪能し、唇を離した。


キスが一番好きだ。犯した相手の顔を間近に見られるから。

犯されてなお敵意を示す目をしたやつは、心を完全に折るような犯し方をして従順にしてやる。

犯されていると知りながらも快感から逃れられないやつは、もっと激しい責めをして堕としてやる。

もう完全に堕ちたやつは今度は寸止めを繰り返してやる。快感に溺れた身体に物足りない責めは最大級の苦痛だ。

この顔で今後を決める。どう苦しめてやるかを決める。それが最高に楽しい。

そして、今回の獲物、西山瑠璃はーー。 








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった後、異世界に転生した高校生、鬼島迅。 そんな彼が生まれ落ちた家は、貴族。 しかし、その家の住人たちは国内でも随一、乱暴者というイメージが染みついている家。 世間のその様なイメージは……あながち間違ってはいない。 そんな一家でも、迅……イシュドはある意味で狂った存在。 そしてイシュドは先々代当主、イシュドにとってひい爺ちゃんにあたる人物に目を付けられ、立派な暴君戦士への道を歩み始める。 「イシュド、学園に通ってくれねぇか」 「へ?」 そんなある日、父親であるアルバから予想外の頼み事をされた。 ※主人公は一先ず五十後半の話で暴れます。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...