18 / 32
Day by day
魔闘祭ペア戦(4)
しおりを挟む
「モリグが苦戦してるみたいだ。これもあんたの指金かい?」
「そうだね」
サクはボロボロな状態で笑う。学年最強の魔術を一人で捌き続けているのだ。よく耐えていると言うべきあろう。
――でも、こんな状態でも油断できないからね、この女は。
ラキは、笑みが強くなるのを感じる。
この、最後の一瞬まで何が起こるか分からないスリルがたまらなく好きだ。彼女との戦いはそれを存分に与えてくれる。
「――世界は光に満ちている」
サクは宙へと消えた。太陽に照らされ、人影は逆光に映し出される。
「そうしていつしか不動となる」
呪文が十の火球を生み出し、時間差で放たれる。逃げ道が無いそれの間を、サクは器用に縫ってラキを見据える。彼女は、まだ諦めていなかった。
だが、そんな希望を爆炎は容易く飲み込んだ。
空は眩しいくらいに光輝き、地上を激しく揺らす。
火球が爆発したのだ。避けたはずの炎が爆風となって襲い来て、サクに逃げる暇を無かった。
やがめ焔は静まり始める。ラキは誰も居ない空から目を離し、相棒の方へと歩き出した。
「――世界は光に満ちている」
「……っ!」
だから、それに対処ができなかった。ラキの周りで起こる竜巻。動く事も声を出す事も許さない強風は地上の岩を砕き、抉り取り、少女へと叩きつける。
『モリグ!』
エルードを飛ばしても、救いの手は届けられない。呪文も動きも封じる風の牢獄で多量の岩石が彼女へと降り注いだ。
「そうだね」
サクはボロボロな状態で笑う。学年最強の魔術を一人で捌き続けているのだ。よく耐えていると言うべきあろう。
――でも、こんな状態でも油断できないからね、この女は。
ラキは、笑みが強くなるのを感じる。
この、最後の一瞬まで何が起こるか分からないスリルがたまらなく好きだ。彼女との戦いはそれを存分に与えてくれる。
「――世界は光に満ちている」
サクは宙へと消えた。太陽に照らされ、人影は逆光に映し出される。
「そうしていつしか不動となる」
呪文が十の火球を生み出し、時間差で放たれる。逃げ道が無いそれの間を、サクは器用に縫ってラキを見据える。彼女は、まだ諦めていなかった。
だが、そんな希望を爆炎は容易く飲み込んだ。
空は眩しいくらいに光輝き、地上を激しく揺らす。
火球が爆発したのだ。避けたはずの炎が爆風となって襲い来て、サクに逃げる暇を無かった。
やがめ焔は静まり始める。ラキは誰も居ない空から目を離し、相棒の方へと歩き出した。
「――世界は光に満ちている」
「……っ!」
だから、それに対処ができなかった。ラキの周りで起こる竜巻。動く事も声を出す事も許さない強風は地上の岩を砕き、抉り取り、少女へと叩きつける。
『モリグ!』
エルードを飛ばしても、救いの手は届けられない。呪文も動きも封じる風の牢獄で多量の岩石が彼女へと降り注いだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
GM8 Garden Manage 8 Narrative
RHone
ファンタジー
少し作業の隙間が出来たので手直し更新再開
この世の悪が集う庭には大魔王から正義厨まで何でも御座れ。困った厄介者達の説話集。
比較的短編の説話集ですが、内容がかなり際どい事があるのでご了承ください。
八精霊大陸シリーズの8期後半想定、トビラ後の話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
悪女の指南〜媚びるのをやめたら周囲の態度が変わりました
結城芙由奈
恋愛
【何故我慢しなければならないのかしら?】
20歳の子爵家令嬢オリビエは母親の死と引き換えに生まれてきた。そのため父からは疎まれ、実の兄から憎まれている。義母からは無視され、異母妹からは馬鹿にされる日々。頼みの綱である婚約者も冷たい態度を取り、異母妹と惹かれ合っている。オリビエは少しでも受け入れてもらえるように媚を売っていたそんなある日悪女として名高い侯爵令嬢とふとしたことで知りあう。交流を深めていくうちに侯爵令嬢から諭され、自分の置かれた環境に疑問を抱くようになる。そこでオリビエは媚びるのをやめることにした。するとに周囲の環境が変化しはじめ――
※他サイトでも投稿中
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる