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婚約破棄という選択肢④
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ちなみにこの一部始終を、シープスキンは見ていた。だから寮の部屋に戻って、茶菓子と上等な紅茶を用意して待ち構えていたのだが……果たして、廊下をダダダダッと走る音がして、ハリエットが部屋に飛び込んできた。
「シープスキン、聞いてくれ、シープスキン!」
「そんな大声出さなくても聞こえるよ。まあ、座れば?」
ハリエットは紅茶のカップをガバッと掴んで中身を呷った。シープスキンが微笑む。
「毒見もせずにまあ……もしも僕がそこに毒でも盛っていたらどうするのさ」
「だって、君はそんなことしないだろ」
「ま、しないけどね、そうじゃなくて、君はもう少し疑うことを覚えた方がいいんじゃないかなって話さ」
シープスキンは侍女を呼んで、護衛兵の分の飲み物も用意させた。全力疾走するハリエットを追いかけて全力疾走した彼らがクタクタなのを哀れに思ったのだ。
「護衛兵まで振り回してさ、何やってんのよ、もう少し落ち着きなよ」
「ううっ、だって……」
「はい、ヘタレモードはそこまで、ここで冷静にならないと、モースリンだけじゃなくて、この国も守れないと思うよ」
ハリエットの表情がキリッと引き締まる。
「この国を守る? どういうことだ?」
そもそもがハリエット、モースリンが絡むと異常にヘタれるが、国を思う次期国王の器としては十分に優秀な人物だ。
そのハリエットが渋い表情で腕を組み、学園始まって以来の天才と称される頭脳で黙考を始めた。やや考えた後で、彼はうなづいた。
「なるほど、確かに、あのカエデという女の挙動はおかしい」
ハリエットも、彼女が『聖女』として異界から召喚された存在だということは聞き及んでいるが、それにしてもあまりにこの世界の常識に疎い。
「誰かが意図的に情報を操作して、カエデ嬢をこの世界の常識から遠ざけていると、そういうことだな」
ようやく王子らしい落ち着きを取り戻したハリエットに、シープスキンは安堵したような表情で答えた。
「僕の調べでは、あの女はこの世界を『ワタシガゼンセイデアソンデイタオトメゲームノセカイ』と言っているらしいよ」
「何だそれは」
「彼女が元いた世界にある娯楽さ。どうやら物語の一種らしいよ。それも女子供が喜んで読むような恋愛小説のようなものらしい」
「なるほど、つまりカエデ嬢はこの世界が恋愛小説の一幕なのだと信じて行動しているんだな」
ハリエットは妙に納得した。いくら王子であっても恋愛小説がどんなものなのか、一冊も読んだことがないわけじゃない。
「その恋愛小説は、王子と恋する話なのだな。だから、彼女は王子である俺が自分に恋するのが当然だと思い込んで行動していると」
「君だけじゃないよ、なんか、僕もコウリャクタイショーとか言われて追い回されているんだ、それだけじゃなくて騎士科のビニロン先輩や、オックス先生なんかも追い回されているらしいよ」
「尻軽女が主人公の小説なのか?」
「特に尻軽ってわけじゃないだろ、女が読む小説って、大抵は主人公がモテモテでさ、言い寄ってくる男たちの中から最後に一人を選ぶってのがセオリーじゃないか」
「や、そんな語れるほど恋愛小説読んでないからわからないけど……そうなのか」
「カエデ嬢は、そういう類の小説と同じことが起きると信じて行動しているわけだね」
「そんなバカな。俺にはモースリンがいるんだから、他の女など…………」
その名を口にした途端、ハリエットの表情が崩れる。どうやら走り去っていった彼女の背中を思い出したようだ。
「モースリン、そうだ、モースリン! ああ、どうしよう、泣いてたよ、あれ、絶対泣いてたって!」
「落ち着け、まだヘタれずに聞け!」
「お、おう」
ハリエットが、もう一度、キリッと表情を引き締めた。シープスキンはそれを確かめたうえで、話を続ける。
「で、カエデ嬢が思い描く物語の中では、モースリンはアクヤクレイジョーという役どころらしいんだ」
「そういえば、そう呼んでいたな。なんなんだ、アクヤクレイジョーって」
「どうやら悪役令嬢……つまり主人公の恋の邪魔をする悪役だね。主人公の身分が低く設定されているから、どうしても高貴な家柄の令嬢がこの役に当てはめられる、そういうことになる、だから悪役令嬢」
「バカな! 高貴な家柄の令嬢ほど目下のものを軽視しないものだ!」
「まあまあ、物語なんてそんなもんだろ、なんの後ろ盾もない庶民が艱難辛苦と身分の差を乗り越えて王子様と結ばれます~とか、いかにも女の子が好きそうじゃないの。フィクションだよ、所詮は」
「まあ、そうだよな」
「ところがカエデ嬢はこのフィクションを現実だと信じて行動している、わかるね」
「つまり、モースリンを悪役令嬢扱いして排除する可能性があると?」
「そういうことだね」
ハリエットはまだ王子モード、その明晰な頭脳はバリバリに働いている。
「なるほど、これは神殿側の陰謀か。カエデ嬢を庇護しているキュプラ猊下であれば、カエデ城がこの世界を物語の中なのだと信じるように仕向けるのも簡単だろう、しかし、それで何の得があると……」
「僕が仕入れた情報によるとね、カエデ嬢は『王子と悪役令嬢は婚約破棄するの~』って吹聴して回っているらしいよ」
「婚約破棄? 婚約解消や、白紙撤回ではなく?」
「そう。まあ、物語ってのは派手な方が面白いからね。穏便に婚約が解消されましたーってよりも、『婚約を破棄する! ババーン!』のほうが盛り上がるでしょ」
「そんなことをしたら王家とカルティエ家の関係は! なるほど、それが狙いか!」
カルティエ家は国内で最も勢力ある家門であり、これが王家に反旗を翻すならば追従しようという者はいくらでもいる。だからこそ王家もカルティエ家をあだや疎かにすることはない。
それが、王家の一員であるハリエットが、自分の不貞というとてつもない大罪を犯した上に『貴様との婚約を破棄する! ババーン!』などしたらどんなことになるのか……
「確かに物語なんかは『こうして二人は幸せに暮らしました、めでたしめでたし』で済むけどさあ、現実はそうはいかないよね」
「わかる、多分俺は王家の誠意として廃嫡されるな。それだけでことが済めばいいが、モースリンを溺愛しているビスコースあたりが挙兵したりしたら……」
「まあ、国内真っ二つに割れての戦争になるよね、それこそがキュプラ猊下の思惑なんだろうけど」
シープスキンはパンと手を打ち鳴らした。
「さて、僕があげられる情報はここまで。僕のここでの立場は『他国の王子』なんだからね、あんまり君の国の内情に首を突っ込むわけにはいかないでしょ」
「ああ……むしろ、なぜここまでしてくれるんだ」
「そりゃあ、君とは友達だし、僕もモースリンのことが大好きだからね、幸せになってもらいたいだけよ」
「幸せに……」
「そ、さっさとプロポーズしてさ、カエデ嬢にここはオトメゲームノナカノセカイじゃないってのを見せつけてやりなよ」
「それくらいで、この企みが潰せるだろうか……」
「さあね、あの神殿主が次の手を考えていないとは思えないけど、少なくともカエデ嬢の目論みは潰せるよね」
「確かに」
そうと決まったら行動は早いほうがいい。ハリエットが腰を上げる。
「わかった、今からプロポーズしてくる」
「えっ、今?」
「そう、今!」
「あ、そ、まあ、頑張りなよ」
「やるぞ、うおおおー!」
威勢のいい叫び声と共に走り去っていくハリエットを見送って、シープスキンが、ポツリとつぶやいた。
「ほんと、さっさとくっついてよね、じゃないと僕だって、初恋を諦めきれないじゃないか……」
小さなため息を一つついて、シープスキンは安楽椅子の中に深く身を投げ出したのだった。
「シープスキン、聞いてくれ、シープスキン!」
「そんな大声出さなくても聞こえるよ。まあ、座れば?」
ハリエットは紅茶のカップをガバッと掴んで中身を呷った。シープスキンが微笑む。
「毒見もせずにまあ……もしも僕がそこに毒でも盛っていたらどうするのさ」
「だって、君はそんなことしないだろ」
「ま、しないけどね、そうじゃなくて、君はもう少し疑うことを覚えた方がいいんじゃないかなって話さ」
シープスキンは侍女を呼んで、護衛兵の分の飲み物も用意させた。全力疾走するハリエットを追いかけて全力疾走した彼らがクタクタなのを哀れに思ったのだ。
「護衛兵まで振り回してさ、何やってんのよ、もう少し落ち着きなよ」
「ううっ、だって……」
「はい、ヘタレモードはそこまで、ここで冷静にならないと、モースリンだけじゃなくて、この国も守れないと思うよ」
ハリエットの表情がキリッと引き締まる。
「この国を守る? どういうことだ?」
そもそもがハリエット、モースリンが絡むと異常にヘタれるが、国を思う次期国王の器としては十分に優秀な人物だ。
そのハリエットが渋い表情で腕を組み、学園始まって以来の天才と称される頭脳で黙考を始めた。やや考えた後で、彼はうなづいた。
「なるほど、確かに、あのカエデという女の挙動はおかしい」
ハリエットも、彼女が『聖女』として異界から召喚された存在だということは聞き及んでいるが、それにしてもあまりにこの世界の常識に疎い。
「誰かが意図的に情報を操作して、カエデ嬢をこの世界の常識から遠ざけていると、そういうことだな」
ようやく王子らしい落ち着きを取り戻したハリエットに、シープスキンは安堵したような表情で答えた。
「僕の調べでは、あの女はこの世界を『ワタシガゼンセイデアソンデイタオトメゲームノセカイ』と言っているらしいよ」
「何だそれは」
「彼女が元いた世界にある娯楽さ。どうやら物語の一種らしいよ。それも女子供が喜んで読むような恋愛小説のようなものらしい」
「なるほど、つまりカエデ嬢はこの世界が恋愛小説の一幕なのだと信じて行動しているんだな」
ハリエットは妙に納得した。いくら王子であっても恋愛小説がどんなものなのか、一冊も読んだことがないわけじゃない。
「その恋愛小説は、王子と恋する話なのだな。だから、彼女は王子である俺が自分に恋するのが当然だと思い込んで行動していると」
「君だけじゃないよ、なんか、僕もコウリャクタイショーとか言われて追い回されているんだ、それだけじゃなくて騎士科のビニロン先輩や、オックス先生なんかも追い回されているらしいよ」
「尻軽女が主人公の小説なのか?」
「特に尻軽ってわけじゃないだろ、女が読む小説って、大抵は主人公がモテモテでさ、言い寄ってくる男たちの中から最後に一人を選ぶってのがセオリーじゃないか」
「や、そんな語れるほど恋愛小説読んでないからわからないけど……そうなのか」
「カエデ嬢は、そういう類の小説と同じことが起きると信じて行動しているわけだね」
「そんなバカな。俺にはモースリンがいるんだから、他の女など…………」
その名を口にした途端、ハリエットの表情が崩れる。どうやら走り去っていった彼女の背中を思い出したようだ。
「モースリン、そうだ、モースリン! ああ、どうしよう、泣いてたよ、あれ、絶対泣いてたって!」
「落ち着け、まだヘタれずに聞け!」
「お、おう」
ハリエットが、もう一度、キリッと表情を引き締めた。シープスキンはそれを確かめたうえで、話を続ける。
「で、カエデ嬢が思い描く物語の中では、モースリンはアクヤクレイジョーという役どころらしいんだ」
「そういえば、そう呼んでいたな。なんなんだ、アクヤクレイジョーって」
「どうやら悪役令嬢……つまり主人公の恋の邪魔をする悪役だね。主人公の身分が低く設定されているから、どうしても高貴な家柄の令嬢がこの役に当てはめられる、そういうことになる、だから悪役令嬢」
「バカな! 高貴な家柄の令嬢ほど目下のものを軽視しないものだ!」
「まあまあ、物語なんてそんなもんだろ、なんの後ろ盾もない庶民が艱難辛苦と身分の差を乗り越えて王子様と結ばれます~とか、いかにも女の子が好きそうじゃないの。フィクションだよ、所詮は」
「まあ、そうだよな」
「ところがカエデ嬢はこのフィクションを現実だと信じて行動している、わかるね」
「つまり、モースリンを悪役令嬢扱いして排除する可能性があると?」
「そういうことだね」
ハリエットはまだ王子モード、その明晰な頭脳はバリバリに働いている。
「なるほど、これは神殿側の陰謀か。カエデ嬢を庇護しているキュプラ猊下であれば、カエデ城がこの世界を物語の中なのだと信じるように仕向けるのも簡単だろう、しかし、それで何の得があると……」
「僕が仕入れた情報によるとね、カエデ嬢は『王子と悪役令嬢は婚約破棄するの~』って吹聴して回っているらしいよ」
「婚約破棄? 婚約解消や、白紙撤回ではなく?」
「そう。まあ、物語ってのは派手な方が面白いからね。穏便に婚約が解消されましたーってよりも、『婚約を破棄する! ババーン!』のほうが盛り上がるでしょ」
「そんなことをしたら王家とカルティエ家の関係は! なるほど、それが狙いか!」
カルティエ家は国内で最も勢力ある家門であり、これが王家に反旗を翻すならば追従しようという者はいくらでもいる。だからこそ王家もカルティエ家をあだや疎かにすることはない。
それが、王家の一員であるハリエットが、自分の不貞というとてつもない大罪を犯した上に『貴様との婚約を破棄する! ババーン!』などしたらどんなことになるのか……
「確かに物語なんかは『こうして二人は幸せに暮らしました、めでたしめでたし』で済むけどさあ、現実はそうはいかないよね」
「わかる、多分俺は王家の誠意として廃嫡されるな。それだけでことが済めばいいが、モースリンを溺愛しているビスコースあたりが挙兵したりしたら……」
「まあ、国内真っ二つに割れての戦争になるよね、それこそがキュプラ猊下の思惑なんだろうけど」
シープスキンはパンと手を打ち鳴らした。
「さて、僕があげられる情報はここまで。僕のここでの立場は『他国の王子』なんだからね、あんまり君の国の内情に首を突っ込むわけにはいかないでしょ」
「ああ……むしろ、なぜここまでしてくれるんだ」
「そりゃあ、君とは友達だし、僕もモースリンのことが大好きだからね、幸せになってもらいたいだけよ」
「幸せに……」
「そ、さっさとプロポーズしてさ、カエデ嬢にここはオトメゲームノナカノセカイじゃないってのを見せつけてやりなよ」
「それくらいで、この企みが潰せるだろうか……」
「さあね、あの神殿主が次の手を考えていないとは思えないけど、少なくともカエデ嬢の目論みは潰せるよね」
「確かに」
そうと決まったら行動は早いほうがいい。ハリエットが腰を上げる。
「わかった、今からプロポーズしてくる」
「えっ、今?」
「そう、今!」
「あ、そ、まあ、頑張りなよ」
「やるぞ、うおおおー!」
威勢のいい叫び声と共に走り去っていくハリエットを見送って、シープスキンが、ポツリとつぶやいた。
「ほんと、さっさとくっついてよね、じゃないと僕だって、初恋を諦めきれないじゃないか……」
小さなため息を一つついて、シープスキンは安楽椅子の中に深く身を投げ出したのだった。
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