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六十六話
しおりを挟む2人が音のする扉の方を見ると
そこに立っていたのはユナだった
ユナはこちらを見ると
パッと表情が明るくなった
「ここにいたんだ!
シオンのこと探してたんだよ!」
さっきまでの話を知らないユナは
ニコニコしながら
シオンとリクに近づいて行く
「ユナ、ごめんね
今シオンと大事な話してるんだ」
「あっ、そうだったんだ
ごめんね‥」
ユナはしょんぼりした様子で
2人に背中を向けて帰ろうと歩き出す
「‥俺に何か用事?」
少し気になったシオンは
ユナに声をかけて引き留めた
「用事ってほどじゃないよ、
気にしないで」
「おっ、リクじゃないか?」
ユナが振り向きながら笑顔で答えた時、
開けっ放しにしてあった扉の方から
デイスの声が聞こえてきた
「はい、どうかしましたか?」
「この間風邪引いてた時に
俺の講義出られなかっただろう?
リクは救護隊として入ったし、
一応分かっといてほしい範囲だったから
プリント作ったんだよ、
今から俺の部屋まで取りに来れないか?」
「あっ、今ちょっと‥」
「大丈夫だから、行ってこいよ」
最後まで言う前に
シオンはリクの背中を押した
「シオン」
「お前に聞いて欲しいことは話せた
また聞いて欲しい時は頼むからよ」
距離があり、2人のやりとりが
聞こえていないデイスは
無理ならまたでいいぞ、と声をかけ、
歩いて行ってしまった
「それにユナは俺を探してたみたいだし、
リクが行ってる間にユナの話聞いとくわ」
先ほどよりは少し明るく見える表情で
笑っているシオンに
リクは不本意ながらも頷き、
デイスの後を追いかけて行った
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