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六十一話
しおりを挟む「あのぅ、この近くにあるって
聞いたんですけど、
キャンプ場ってどこか分かりますか?」
夕方、子ども達が帰ったであろう公園は
とても静かで、道も人通りがなかった
いつもの学校からの帰り道、
制服で公園の横の歩道を歩いていたら
大きな白い車が私の少し前に止まる
ドアがゆっくり開いて
そこから出て来た大人の男の人に
道を聞かれた
「キャンプ場はこの辺にはないです
どこかと間違えてると思います」
「あっれー?
この地図見てくれませんか?
ここってこの公園じゃないですか?」
小さめの地図を自分の前で広げたので
私は何の疑いもなく
そちらへ寄り、地図を覗き込んだ
そこからは何が起きたのか
分からないぐらい一瞬だった
その地図を顔に当てられ視界が隠され
何も見えなくなり、驚き固まってしまった時に
二の腕を力任せに引かれ
足を抱え上げられる
地図が落ち、視界がひらけた私は
車の後部座席へ連れ込まれていた
ドアが閉まるまで待たず、車は走り始める
車の上座に頭を押さえつけられた後
両方の手首を頭の上で拘束される
左足は背もたれと男の体に挟まり
右足は膝の上を抑えられていた
男は慣れているのか
私が動けない体制を取っている
口は塞がれていないが
震えていてうまく動かない
怖くて、声が出ない
息もいつものようにちゃんと吸えない
膝の上に置いていた手が太ももを撫で
スカートの中に入ってきた感覚がした
気持ち悪い、触らないで
うまく呼吸が出来なくて苦しいが
必死に何とか力を入れもがく
「暴れるな
悪いことはしないから」
顔が上気し呼吸が荒くなってきた男の
口角が上がり、目は血走っていた
私の顔に男の顔が近づいたので
逃げようと顔を背けると
チッと舌打ちが聞こえてきた
それが
運転席にも聞こえたようで声がかかった
「あっ? おいおい、
俺だって楽しみてーんだから
1人でおっ始めようとすんなよ」
「先に味見させてもらうぜ」
へへっと笑いながら
男は私の手首から手を離し
自分のベルトへ手を伸ばす
私は渾身の力を振り絞り
男の大事なところを右足で蹴飛ばし、
左足を抜くとドアを開けた
どうやら鍵がかかってなかったらしい
私は無我夢中で外に飛び出た
車は走っていたので
道路のアスファルトに叩きつけられ
転がりながらだが脱出できた
なんとか生きていた
よろけながら起き上がり
走り出した時、左側から
ものすごく眩しい光を浴びた
今まで経験したことない衝撃と痛み
体が宙に浮き、
またアスファルトに叩きつけられた
頭を打ち、視界がぼやける
トラックから慌てて駆け寄ってきた男の人が
いっぱい何かを叫んでいたが
「どうか生きてください!」だけ
はっきりと聞こえた
その後、私は意識を手放した
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