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二十八話
しおりを挟むその後のことはあまり覚えていない
どうやらキトと別れて見回り班に戻り、
見覚えある顔が1人だけいたが
他に仲間はいなさそうだったので
追いかけてたら振り切られたと伝えたそうだ
とりあえずは街に
盗賊が来てることが判明したので、
見回りの強化と
救護用の物資の買取不可を
引き続きお願いをすることになった
私以外の5人はキトの姿を見ていないそうだ
いろいろ考えながら歩いていると、
「ナツさん、見回りお疲れ様です!」
元気な声が聞こえたので振り向くと
リクが立っていた
「あっ、リク
ありがとう」
「疲れてますか?
無理しちゃダメですよ」
考えすぎて表情が暗くなってるのかな?
心配させてしまってはダメだ、と思い
笑顔を見せる
「大丈夫だよ、ありがとう」
そこでふと気づく
「あれ?今日はシオンは一緒じゃないの?」
すると今度はリクの表情が暗くなった
「シオン‥、ちょっと
今多感な時期なんです」
「‥?」
この間、態度が気になったのも
関係あるのかな?
きょとんとしてリクを見つめ続けてると、
この間シオンとトキワが喧嘩して
お互いが殴ってしまったこと、
リクが後ろでシオンを捕まえていた為
避けられなくて真正面から
パンチを受けてしまったこと、を
教えてくれた
「今までだって殴り合いも
普通にあったけどその後は別に普通で‥
僕とも話したりするんですけど
なんか、今回はあまり喋らなくて‥」
殴り合い‥普通なんだ
ちょっと怖くて身震いしてしまった
「ユナが心配してて、
ずっとシオンにくっついてるんです
怪我もそうですけど、
いろいろあるみたいで‥
でもそうすると、僕も
シオンとなかなか話せなくて‥
まぁ、少し様子見るしかないですけどねっ」
私に心配かけまいと
語尾は明るく言ったのだろう
新入隊の中にも
人間関係はいろいろあるんだな
「リクはそのままのいつものリクで
待っててあげてね
きっとシオンが何か伝えたいと思う時、
1番に伝えたいのはリクだから」
そう言って肩に手を乗せ笑顔を見せた
リクは嬉しそうに返事をし去って行った
昨日見たあの怪我は
トキワと喧嘩して殴り合った時の
怪我だったんだな
何もないとか言ってたけど、
何もなくないじゃん
私には言いたくなかったのかな
落ち込んだ私は
いつもの場所へ行くことにした
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