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十九話
しおりを挟む外はすっかり暗くなり、
今日は何をしてから寝ようか
頭を捻りながら部屋で考えている時に
コンコンとドアをノックする音が
聞こえてきた
返事をしながら扉を開けると
そこに立っていたのは
表情の暗いナロンだった
「えっ、珍しいね
私の部屋に来るなんて」
「あー、悪い‥
ちょっと話がしたくて」
今日落ち込んでるって言ってたし
話を聞いてあげることにした私は
お茶でも淹れるから待ってて、と
ベッドの横にある椅子に座るよう伝え、
部屋についている水道とポットが
ある場所へ移動した
お茶を入れている間に
ナロンの様子を窺い見ると
椅子には座ったが、ずっと下を向いていた
机にお茶を置き、椅子に座り
どうしたの?と声をかける
「‥今日は本当に悪かった
俺のせいでいろいろ、お前にも
迷惑かけて‥馬も荷物も‥
きちんと謝ってなかったから‥」
座りながら、しかも下を向いたまま
頭を下げたから机がゴンっと音を立てた
その音は部屋中に響き渡ったのではないかと
思うほど大きく感じ
カップに入ったお茶が揺れて
ほんの少し机にこぼれた
「!?
大丈夫!?」
びっくりした私は
頭に手を添え起こす
「私は気にしてないって言ったでしょ?
頑張ってくれたよ、
謝る必要ないって」
ナロンがゆっくりと視線を上げ
私を見つめる
「‥ありがとう」
「うんうん、
これでこの話はおしまいだからね」
満足した私はお茶を一口飲む
「それともう一つ」
ナロンはお茶を一気に全部飲み、
深呼吸してから言葉を繋いだ
「ナツが、なんか前までのナツと
違う人のような感じがする
任務絡みだとそうは思わないんだが
こうやって普通に話してるときは
最近はいつもと違う」
ナロンは私から目を離さない
「何かあったのか?
頼りないかもしれんが
いつだって相談に乗る」
「‥あっ、うん‥」
ナロンには
バレないようにしようと決めたのに
どう返事しようか迷っていたら
少し悲しそうに見える表情で
「今じゃなくても
これから先でも何かあったら
相談に乗るし、俺はお前の味方だ
話したくなったら声をかけてくれよ」
そしていつものように
頭をポンポンとして
少し悲しい表情のまま、笑った
それがとても気になった
「遅くに悪かったな、
お茶もすまんかった、
じゃあおやすみ」
扉が閉まり、足音が遠くなっていく
カップも片付けず
そのままベッドに横になり
天井を見上げた
「明日、ジーナに相談にしよう‥」
好きでいてくれるなら
バレないようにしようと思ってたけど、
好きでいてくれるのなら
尚更言った方がいいんじゃないかなって
考えが変わってしまった
ナロンに言われたことは
普通に嬉しかった
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