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不安
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月末の夜・・
「金が入った。」
仕事を終えた空はいつものように私の家まで着くと、その分厚い封筒を見せた。
中にどのくらいのお金は入っているかはわかんない。
でも、その厚みから見て桁外れな金額だとわかる。
「あいつに連絡もとった。」
「・・・・」」
「明日、会うことにしたから。」
「・・・・」
「・・金渡して、縁切ってくる。」
「・・・・」
「美未香?」
「え?」
「・・聞いてたか?」
「あ・・うん。」
「昼に学校抜け出して行ってくるつもりなんだけど。」
「お昼・・ご飯は?」 なんの心配してるんだかわかんなかったけどそんな事言ってた。
その時点で実はひどく動揺していたんだと思う
「ああ
・・どっかで軽く済ましてく。」
「・・・・」
「・・ん?」
「・・また、学校には戻ってくる?」」
「んー、話がまとまればすぐ帰ってくんよ。」
「・・まとまらなければ・・?」 なぜかしつこいくらい食いついた。
「・・そん時は、連絡入れる。」
「・・・・」
「美未香」
「ん?」
「・・いや、なんでもね。」 そう言った空は言葉を発せず代わりに金色の髪を掻き揚げる。
その時の空はずっと苦しそうな顔してたのを私は見逃してた。
次の日の朝
いつも通り、空は迎えに来てくれていつも通り学校へと向かう。
いつもよりは、言葉が少ないのが気になったけど、
それはこれからのコトを考えるとしょうがない事だと察しはついたから
あえてそのことには触れなかった。
時間ばかり気になる。
1時間目・・
2時間目
3時間目
だんだんその時が近づいてくる。
そして
キーンコーン~♪
お昼になった。
私たちは何も言い合わせてないのに自然と玄関へ足を向け、そこで
空だけ下履きに履き替える。
私は後ろでその姿を見続けた。
なんかおかし・・
これが最後じゃないのに。
終わればすぐに会えるのに。
なんだか、これじゃ、今生の別れみたいじゃん?
そんなことを思っていると
スッと空が後ろを向いて
「じゃ、行ってくる。」と笑顔を見せた。
空じゃなくて、相馬くんの格好でのその笑顔は、あまり見慣れてないせいか少し笑えた。
「なに笑ってやがる。」
「はぅ!」 しまった中身は鬼畜のままだったっ!!
「帰ったらおぼえとけよ。」
そんな捨て台詞を言って空は校舎から出て行ってしまった。
いつもだったらそんな言葉も怖くて固まっちゃうのに、今日は違う。
帰ったら・・って言葉が嬉しかった。
そん時は好きにしていいよっ!って思いながらも内心少しヒヤヒヤしている。
マジ、フルボッコにされたらたまんねぇ
そんな事を思いながら、教室に戻ると、珍しくお弁当を持ってきてるりかちゃんと目が合った。
「あれ?美未香、ダ~リンは?一緒じゃないの?」
「あー・・うん、今日はちょっとね。」
「ふ~ん」
「それより、りかちゃんがお弁当なんて久しぶりに見たよ、もう食べたの?」
「うん♪今日はシェフの手作り~♪まだこれから食べるんだけど美未香は?」
「私もまだ♪一緒に食べよっか♪」
「うん♪裏庭行く?それともここで食べる?」
「んー」 あまり動く気力がでない
から
「ここで食べよ♪」
そう言うと、りかちゃんはにっこり笑って椅子に座りなおした。
教室での昼食を食べ始めたとき
ふいにりかちゃんから「何かあった?」と聞かれたが、
ううんと首を横に振ってなんとかごまかす。
でも、わかりやすい私の表情をりかちゃんは見逃すハズがない。
それ以上聞いてこないのはりかちゃんの優しさだ。
その証拠に、お弁当を食べ終えてたわいない話の後、
「なんかあったらいつでも相談して。」 とだけ言って自分の席に戻っていったから。
ありがとね・・りかちゃん
すべてが終わったら、笑顔に戻るから。
ああ・・それにしても時間が長い・・
空が出て行ってからまだ1時間もたってないのに・・
もう何日も待ってる気がする。
それは少し大げさだと思うかもしれないけど、その時は本当にそう感じた。
早く
早く帰ってきて。
無事に帰ってきて。
祈る気持ちでいた
結局、学校が終わっても空が帰ってくる事はなく
放課後になって部活動をする生徒たちの声がグランド中に響いてる。
そのまま、家に帰る気にもなれず、教室の窓からボーッとその光景を眺めていると
教室に誰かが入ってきた気配がした。
私はてっきりそれが空だと思って
「!――っそ・・らっ?」
声に出してしまった。
「え?」
その私の声に、こっちに向けたその顔は空ではなくて
相馬くんでもなくて。
同じクラスの男子だった。
「あ・・」 間違えたとはいえ、この名前を発してしまった
「そら?」
「え?あっ!、え~~と、そ、空が・・そのキレイだな~って」
なんとかそんなふうにごまかすと
その男子は私の横に来て窓の外に顔を出し、
「あーホントだね。」
と返答をしてくれた。
ホッ・・
と、したのもつかの間、
「鈴木ってさぁ、マジで相馬と付き合ってんの?」
「はふ??」
って!変な声を出してしまった!それくらい意表をついた質問をされた!
「なっ?///え?どうして?」
そんな事を聞くのっ?って続けるつもりが途中で止まってしまった!。
それは、私の言葉の途中でいきなり手を握られたから
「へっ?」
完璧動揺している私に構わず、その男子くんはまっすぐに見つめてくる
「あっ、あの!」
「どうして?」
「え?」
「相馬なの?」
「は?」
「鈴木は、あいつのどこが好きなの?」
「!」
あきらかに私の名前を知っているこの男子くん。
でも、私は顔しか知らない。名前も知らないただのクラスメートぐらいにしか思ってなかった人で。
その人からのその質問は非常に驚いた!
なんでこの人にこんな事を聞かれるんだろう?
なんでこの人にそんな事をこたえなきゃならないんだろう?
わたしは答えに困って黙り込んだ。
それよりなにより、その掴んでいる手を離してほしい。
じっと、その手の方を見ている私に気付いたのか、
男子くんはやっと掴んでいた手を離してくれた。
ふぅ
「もし・・」
「え?」
「もし、相馬と別れたら、俺と付き合ってくんない?」
「・・・・へ・・?」
現れたのもいきなりだったが、そんな事もいきなり言われて!
一瞬、何を言われたかわかんなくて、ポカンと口を開けてると
「そん時にでも返事ちょーだい♪」
軽く笑いながらそう付け足し、じゃあなっ!と言って教室から出ていってしまった。
・・・い・・
一体・・
今のはなんだったんだろう?????????????
ゆ、夢かっ?幻かっ????
あまりに一瞬の出来事で、でもその内容はとっても強烈で
何がなんだかわかんなかったから今頃になって胸がドクンドクンと鳴っている。
わた・・し、今
告られ・・た???もしかして??
――――――つか!誰??!!←そこかっ!
顔はわかる!同じ教室で見る顔だもん
でも、名前は??
ン~~~~~~~~~~~~~~?????
明日、りかちゃんに聞いてみよっ!←やっぱりわかんねぇのかよ!
ハッ!今の衝撃で空の事、忘れるとこだったよっ!
こんな時間に学校へはもう来ないと思うし。
あ!もしかして麗騎士に行ってるのかも!!
そうだよ!!きっと!!
そう思いついた私は速攻ダッシュで教室から出た。
お店に着くと、そこは相変わらず華やかで1人で入ろうとするには、やっぱりまだま勇気がいる。
でも、そんな事は言ってられない!
よし!と思って1歩を踏み出したところで
「美未香お嬢様?」
と、後ろから声をかけられた。
その声に聞き覚えのあった私はすぐに振り向き
「りくさん」と名を呼ぶ。
のと同時に、
「今日は空いないですよ?」と、やっぱりそこに居たのはりくさんで。
「え?」 それよりも、今言われた言葉に反応する。
「?」
「あ・・の、休むって連絡でもはいったのでしょうか?」
どうも、リクさん相手だと、私の言葉もキレイになってしまう
「はい。お店に連絡がはいったみたいですよ?本人からじゃなかったみたいですが。」
「え?」
「どうかされましたか?」
「あ、いえ・・」
連絡・・お店には入れてるんだ。
私のとこには何もきてないのに。
・・・でも、本人からじゃないってドーユー事?
「あの、本人、その、空が直接連絡したんじゃなかったら、誰からの連絡だったのでしょうか?」
「え?・・私が受けたわけではございませんので、なんとも言えないのですが多分ご家族のどなたかでは?」
「・・・・」
家族・・
空はそんな家族なんていないって言ってた。
ううん、もしかしたらホントは家族も居て家もあるのかもしれない。
下を向いて考え込んでる私を見て
「どうかされたんですか?」
と聞いてきた。
それは、どっちの事を聞いているんだろう。
私?
それとも空?
目の前には穏やかに笑う上品でキレイなリクさんの顔。
この人に相談してみようか。
そんな事を一瞬考えてしまった。
あー・・っ!!ダメダメ
このことを相談するって事は
空が誰にも言えずに悩んでたことを言うようなもの
私が勝手に言っちゃいけないコトだ
またしてもリクさんからの問いかけに答えスにいると、
「その状況が明日も変わらないようでしたら、すぐに教えてくださいね。」
「・・・え?」
顔を上げた時はもうリクさんは私に背を向けお店に入るところだった。
もっ、
もしかして!また私、顔に出してしまってたんじゃないかっ??
そんな心配がよぎる。
空にはもちろんりかちゃんにまで読まれるほどのこの正直な顔を、あの勘の鋭どいリクさんが気付かないわけがない!!
現にハピバン時、私の変装をすぐに見破ったくらいの人だしー!
な、内容は言ってないからセーフだよね??
何かあったんだな?くらいにしか思われてないよね??
うん!絶対にそうだ!
そういうことにしておこう!←おい
これ以上、リクさんに会ってボロが出ちゃまずいと思った私は
とりあえず家へと帰ることにした。
どっちみちあそこに居ても空に会えそうにないし。
さっき、言ってた家族っていうのが本当にあるなら、今日はそこに泊まるだろうから
あの部屋にも帰ってこないだろうし。
でもさ・・
メールでもいいからさ
ちょっとでもいいからさ
連絡くれたっていいんじゃね?
空の方から、連絡するって言ったくせに
うそつき。
夜も眠らず待ってた。
空からの連絡がいつくるかわかんないから眠れない。
もしかして?って思う気持ちが私の脳をぐるぐる駆け巡って更に眠気を飛ばしている。
おかげで、今朝はちょー寝不足。
一睡もできなかった私は目の下にクマをつくったまま学校へと向かう。
学校で会えると思ってた。
昨日は連絡よこさず悪ぃって笑う空に何か文句の10や100ぐらい言ってやんなきゃと思って眠たい目を体を無理やり動かし学校に行った。
でも
学校に着いても廊下を歩いても教室にはいっても空の姿はなくて。
それは学校が始まっても同じで。
スマホを何度見直しても空からの着歴はない。
なんだか嫌な予感が頭をよぎる。
1時間目が終わった時点で、もうたまらくなった私は教務室へ向かい担任に「相馬くんは休みなんですか?」
と、なんでお前が聞く?みたいな事を勇気を出し聞いてみた。
すると、担任の口から
「あーなんか、風邪をひいたらしくしばらく休むって家の人から連絡が来てたぞ。」
と意外にすんなり教えてくれる。
「はぁ・・風邪ですか。」 ここにも出てくる家族の存在。
やっぱりちゃんと家族いたんだ?空。
「なんだ?鈴木、直接彼氏に聞いてないのか?」ニシッ♪と笑われ、
「なっ!///、なんでそんな事を先生が知ってんの?!」
と驚いた!
「そりゃ、学校1の秀才のことはチェックしておくだろ~
でも、驚いたなぁ、まさか、お前とはな~、じゃ、今度の期末はさぞかしいい点数とるん・・」
「し・つ・れ・い・します!」
話の途中でそう言い、教務室を出た。
あ~~も~~(怒
余計なこと言い過ぎ!あのクソ担任!
それにしても!
学校に休むって連絡入ってた。
お店にも連絡は来ているのに
唯一、私のところにはメール1つ届いていない
家の人から電話っていうのがどうも引っかかってしょーがない
家族と居るなら、私のとこにメールなりなんなりできるんじゃない?
それを出来ないってことは・・
かけられない状態にあるってこと。
ドクン。
今、私・・なにを思った?
心臓が大きく鳴る。
ど、どうしよ・・
空は私との約束は破らない。
そんな事、わかってたじゃない
どうしよ。
そんな当たり前なことを忘れてたの?
ど、どうしよっ!
「その状況が明日も変わらないようでしたら、すぐに教えてくださいね。」
!!
昨日のリクさんの言葉がリンクした。
り、リクさんに
パッと廊下の先にりかちゃんの姿が見えた。
り、
りかちゃんりかちゃんりかちゃん
「た、助けてーーーーーーーっっっ!!!」
私はもう目の前が定まらなくて、りかちゃんの元へ早く行かなきゃって思っているのに足が言う事をきいてくれなくて、焦る気持ちが声になって出てしまってた。
その声に廊下に出ていた人達も教室に入ってる人達も顔を出してすごく驚いた顔をこっちに向けてくる。
でも、その中でも一番驚いた顔をした、りかちゃんがすぐに私の元に駆けつけてきて
フラつく私の体を抱きかかえてくれ
「み、美未香!どうしたの???」
キレイな顔を顔面蒼白にしてそう聞いてくる。
「りかちゃ・・ごめ・・リクさんとこに行きたい、連れ、連れていって」
途切れ途切れにそう言うと、すぐにりかちゃんは頷きスマホを取り出す。
どこかに連絡を入れながら、私の体を支え歩き出した。
「歩ける?」 という心配そうな声をかけて。
そんな格好で向った先は学校の近くにあるカフェ。
店の前までなんとか辿り着くと、入口まん前には白いセダンの車が停まっていた。
その車から降りてきたのは
私服姿のリクさん!
リクさんは私達を見るなり、すぐに駆け寄ってきて「車へ。」と言い、
りかちゃんの反対側から私の体を支えてくれた。
車に向って、軽く首を上げるリクさんに?した私はその方向を見る。
すると、運転席のほうから男の人が降りてきて後部座席に回りこむとそのドアを開けてくれた。
その仕草は麗騎士の執事様たちとは違ってた。
なにが違うって、その・・雰囲気かな。
そんな事を思いながら後部座席に乗り込む私と隣にはりかちゃん。
それを確認してドアを閉め運転席に乗りこむ男の人に、
助手席に乗り込んだリクさんが「出せ。」 とだけ言った。
・・なんか、いつもとイメージが違うリクさんにまたまた??だったけど、
今はそれどころじゃない!
車の中で、私は取りあえず今日までの事を簡単に話した。
昨日のお昼に出ていったっきり空がかえってこないこと。
その空が向った先が元カノんとこって事。
そして、連絡がないこと
言ってて不安と心配がもっともっと大きくなってきた。
早く早くどうにかしなきゃ!
「すぐに着く。」
そんな私の気持ちを知ってか、リクさんが短くそう告げる。
やっぱりいつものリクさんとはなんか違う。
その言葉通り、すぐに車は停車した。
外を見るとなんとなく見覚えがあるような無いような・・
「麗騎士関係者の入口だ。」
また短くそう言うリクさんは、サッと車から降りると、そこに立つ。
それよりも早く車を降りて後部座席のドアを開けてくれている運転手の人にお礼をいいながら車を降りると、その体をリクさんとりかちゃんがまた支えてくれた。
なんか、捕まえられた宇宙人のような格好で、通用口と呼ばれる通路を歩いていくと
鉄の柵のような門が現れる。
少し寂れてて重そうな感じ。
柵状になってるから、奥にもう1つ扉があるのが見える。
リクさんはまずその鉄の門を開け中へと私達を入れた、
その先にある門には、小さな機械が付いててそこになにやら数字を打ってる。
ピッと音がしたと同時にその戸がフッと開いた。
からくり屋敷かっつ??!って思ったけど、
あえてそこはスルーして、その奥へと進む。
ここが麗騎士であることは間違いない。
でも、こんな隠し部屋みたいなとこがあったなんて知らなかった。
ここは一体・・っ
黒い壁に黒い扉が何個かあって、その一番奥のど真ん中に君臨しているこれまた真っ黒な扉に近づくと、
「俺。」と一言。
―――って! えっ??お、俺??リクさんが俺??
目を白黒させてる私にはお構いなしでその扉を開け先に入り込むリクさんの後ろ姿を見て、なんでか心臓がドキドキした。
いままで隣に居た人は本当にリクさんだったんだろうか??
もしやッ双子の兄か弟なんではっ!!それっくらいリクさんの変貌ぶりに驚いた。
りかちゃんもさぞかし驚いてると思いきや、
え??お、驚いてない??全然平静な顔してる???
もしかしてりかちゃんはこーゆーリクさんも知ってる????
思いっきり眼見している私に気付いたりかちゃんがこっちを向いてペロッって舌だした!
そ、それは知ってたんだっ!!ってわからせてくれるのには一番手っ取り早く。
でも、一応、かくにんのためこっそりとりかちゃんに聞いた。
「リクさんの兄弟じゃぁないよね。」
「うん。リクだよ。」
どうやら本物であるらしい・・。私は1人、ガックしと肩をおとした
そんな話をコソコソと扉のトコでしていたら、
「早く入れ。」 と静か~に威嚇された。
言われたとおり部屋へ入ると、チラッと上を向いて陸さんの顔を見る。
照明のせいか、その氷上はいつもの上品できれいな顔じゃない!
いや!きれいはかわんないんだけどもっ!!
そのっ、上品と言うよりはっ、鬼?!!
き、鬼畜ヤロー空といい、リクさんといい!!
ここは鬼の宝庫かよっ!!
鬼ケ島かよっっ!!!
入らされたその部屋もやはり黒い壁で、でも良く見るとソレはすべて大理石だということに気付く。
床もそう。
ぴかぴか上品な光が室内の間接照明によって見て取れる。
革張りの大きい長ソファ←これもやっぱり黒
奥にはこれまた大きくて重厚なデスクが見えた。
そのまん前に誰か・・いる。
デスク用のチェアーにふんぞり返った姿勢で誰か座ってる。
「あ・・のっ・・」
「オーナー。」
私の不安げな声を遮る様にしてリクさんの声が発せられた。。
え??
――――――おっ、オーナー???
今、リクさん!オーナーって言った?????
?は?じゃ、あそこに座ってるお方がウワサのオーナー?????
嘘!マジ??え?なんで??オーナーのとこへ??
パニくり寸前の私に、ゆっくりとした口調で
「あんたから空にかけたのか?」
低い声がそう部屋に響く。
「え?」
その声はデスクに座るオーナーのもので、灯りが当ってないから顔は良く見えないけど、リクさんの声ではないコトはわかる。
「あ、いえ・・」その質問に小さい声でそう答えると
「あんたのスマホ少しかりるぞ。」
その言葉が耳に届き、側にいるリクさんの手が私に伸びてきた。
「ひっ!」
は、反射的についそんな声をあげてしまった!
もう私の中でのリクさん像は壊れてて、新たにインプットされるのは鬼リクさんでしかない。
な、何をされるんだろう!って恐怖が声に出てしまってた。
すると、隣で、りかちゃんがクスクス笑い
「大丈夫よ、美未香。スマホをリクに渡して」
と言った。
りかちゃんのかわらないしゃべり方に少し安心した私はポケットからスマホを取り出しリクさんへ渡す。
それをオーナーといわれる人の元へと持っていき手渡すと
わたしたちに向って
「ここに来てろ。」
と長ソファを指差した。
りかちゃんは当たり前のようにその長ソファに座る。
体を支えられている私は必然的にりかちゃんの隣に腰を降ろす形になってしまう
見事な革の質感についお尻を軽くあげてしまう。←どうせ庶民だいっ!
私のスマホを手にしたらしいオーナーさまは、画面を開いて、なにやら確認されてるご様子。
あんまり見ないでほしいなぁ・・
その一応、個人情報だしね~
と、ぶつぶつ小声で言ってると、
ピッ。
「んっ?」
私のスマホでどこかにかけた??は??
その行動がイミわかんなくて口をパクパクしていると、
プッ
て!え?誰かに繋がったっ??
つか!どこかけたの???
オタオタしている私に、隣でりかちゃんが
「しっ!」
と空と同じように口元に人差し指をあて黙るように言われた。
――――――――――――
部屋の中が静まり返る。
その静寂の中に聞こえてきた
「・・・誰?」
って言う女の人の声。
!??だ、誰??誰ってこっちが誰?だよ???
ピッ!
「えっっっっ????!!」
いきなりその電話を切ったのはオーナーで。
その後、すぐに
「リク、GPS.」とだけ言って私のスマホをリクさんに渡す。
リクさんはそれを返してくれると、今度は自分のスマホを開き始めた。
え??は??なに??なんなの??
りかちゃんの方を向くと、そこにりかちゃんは居なくて、奥のカウンターらしきとこで何かしている。
あ~~~~~~~~もう!!
この状況読めてないのは私1人だけかいっ!
そんなん我慢できないしっ!なにより、こんなとこで悠長に座ってる場合じゃないしっ!
「あっ、あのっ!」 思い切ってオーナーに向って声を出した。
「ん?」少し顔を上げたらしい、影が揺れた。
「い、今、どこにかけたんですか??私は空の事が心配でリクさんとこに行ったのに
な、なんなんですか??」
あああっ、もうムチャクチャだぁぁぁ
この文章になってない言葉を吐き出した後、緊張もあったせいかゼェゼェと息をきらしてた。
「だから、空んトコにかけたんじゃねぇか。」
横からリクさんの低~~~い声が響く。
「へっ?」
「ウチからの固定電話からかけても、番号わかってるから出ない可能性があった。
だから、あんたのスマホを借りた。ただそれだけだ。」
前からオーナーの声も低く響いた。
はぁ・・え?
「って事は、今、空のところにかけたんですか?」
「そう言ってる」
「ひぃっ!」
横からくるリクさんの低い声にマジビビッた!!
「ちょっと、リク、地出過ぎ!美未香怖がってるじゃん。」
りかちゃんからの救いの言葉に
「ちっ!」
と舌打ちするりくさん。
地??コレがリクさんの本当のお姿って事???
マジかぁぁぁぁぁ
ガラガラと私の中で持ち続けていたリクさん像が見事に全て砕け散っていく音がした。
「で。」
は?で? 続くオーナーの言葉で前を見直すと、
「・・案の定だった。」
案・・の定??
あ、そうだ!電話口から聞こえてきたのは・・女の人の声。お母さんにしては若い
お姉ぇさん・・?
「ありゃ、間違いなく、絵里子の声だ、」
「は?」え・・りこ?
「空の・・元カノ」
「――――――――――――!!!!」
オーナーのその言葉に全く疑惑を持って居なかったと言えば嘘になる頭が動き出す。
電話口からの女の人の声って、やっぱり・・
お母さんとかお姉ぇちゃんかもって思ったのはただの私の望みであって、
ホントはホントは――・・
「空は絵里子んとこへ行くって出ていったんだろ?」
オーナーの言葉に、リクさんとりかちゃんが私の方を向く。
このことはまだ・・2人には言ってないこと。
今回の事は空と私の中で決めたことだし。
空の過去の事をベラベラしゃべるわけにもいかないじゃん・・
「空と絵里子の事なら俺もリクも知っている。りかは・・」
「少し」 ぽそっとりかちゃんが答える。
え?あ、まぁ、オーナーは知ってるよねそれで色々と面倒してくれたって言ってたもんね空。
でも、まさか、リクさんやりかちゃんまでもが少なからず知っていたなんて。
そのコトにまず驚いた。
「りかはともかく、俺とリクと空は昔からのツレだからな。」
「へっ?」
次に驚かされたのはこの一言で!
い、いきなりなんのカミングアウトですかっつ!!??っつーぐらい驚いた!
「・・まぁ、この話はいい。空のスマホのGPS機能で居場所を特定してっから、安心しろ。」
そういうと、オーナーはぐるっと椅子を回して私達に背を向けた。
この話はいい・・って、ちょー気になるんですけどっ!!
その椅子に向って、む~~~~~っと念を送っている時、後ろでりかちゃんがリクさんを呼んだ。
「?」
「コレでしょ。」
「ああ、だな。」
「データ送るね。」
「頼む。」
そんな会話。
「??」
すると、今度は前から
カチャと音が鳴った。
いつこっち向いたかわかんないオーナーが、目の前にあるPCを開いた音のようだ。
そのPCの画面を眺めはじめるオーナー。
そして口にする。
「出るぞ。」
と。
それと同時に頷き、部屋を出て行くリクさん。
「あ、え?あの??」
「あんたも一緒に来るか?」
デスクからやっと立ち上がったらしいオーナーの声が頭の上から聞こえる。
「う、はい!」
その言葉にフッと軽く笑い音を立てたオーナーは私の横を通り過ぎるのと同時に背中を優しく押し
「来い。」
と、ニッコリ微笑んだ。
「―――――/////!!!」
っえっ?!照明が丁度照らしたオーナーの顔は
空と瞳がそっくりで!空をもっとオトナっぽくしたカンジで!
一瞬、空かと思ったくらい!!
ドキマギしながら少し前を走らせてくれているオーナーから
フッ って笑う声が聞こえた。
え?なんで??また笑われたっ!?
それはそれで気になったけど、今は問い詰めてる余裕なんてない
少しでも早く空のトコへ行きたい
少しでも早く空に会いたい!
空の顔が見たいよっ!!!
「金が入った。」
仕事を終えた空はいつものように私の家まで着くと、その分厚い封筒を見せた。
中にどのくらいのお金は入っているかはわかんない。
でも、その厚みから見て桁外れな金額だとわかる。
「あいつに連絡もとった。」
「・・・・」」
「明日、会うことにしたから。」
「・・・・」
「・・金渡して、縁切ってくる。」
「・・・・」
「美未香?」
「え?」
「・・聞いてたか?」
「あ・・うん。」
「昼に学校抜け出して行ってくるつもりなんだけど。」
「お昼・・ご飯は?」 なんの心配してるんだかわかんなかったけどそんな事言ってた。
その時点で実はひどく動揺していたんだと思う
「ああ
・・どっかで軽く済ましてく。」
「・・・・」
「・・ん?」
「・・また、学校には戻ってくる?」」
「んー、話がまとまればすぐ帰ってくんよ。」
「・・まとまらなければ・・?」 なぜかしつこいくらい食いついた。
「・・そん時は、連絡入れる。」
「・・・・」
「美未香」
「ん?」
「・・いや、なんでもね。」 そう言った空は言葉を発せず代わりに金色の髪を掻き揚げる。
その時の空はずっと苦しそうな顔してたのを私は見逃してた。
次の日の朝
いつも通り、空は迎えに来てくれていつも通り学校へと向かう。
いつもよりは、言葉が少ないのが気になったけど、
それはこれからのコトを考えるとしょうがない事だと察しはついたから
あえてそのことには触れなかった。
時間ばかり気になる。
1時間目・・
2時間目
3時間目
だんだんその時が近づいてくる。
そして
キーンコーン~♪
お昼になった。
私たちは何も言い合わせてないのに自然と玄関へ足を向け、そこで
空だけ下履きに履き替える。
私は後ろでその姿を見続けた。
なんかおかし・・
これが最後じゃないのに。
終わればすぐに会えるのに。
なんだか、これじゃ、今生の別れみたいじゃん?
そんなことを思っていると
スッと空が後ろを向いて
「じゃ、行ってくる。」と笑顔を見せた。
空じゃなくて、相馬くんの格好でのその笑顔は、あまり見慣れてないせいか少し笑えた。
「なに笑ってやがる。」
「はぅ!」 しまった中身は鬼畜のままだったっ!!
「帰ったらおぼえとけよ。」
そんな捨て台詞を言って空は校舎から出て行ってしまった。
いつもだったらそんな言葉も怖くて固まっちゃうのに、今日は違う。
帰ったら・・って言葉が嬉しかった。
そん時は好きにしていいよっ!って思いながらも内心少しヒヤヒヤしている。
マジ、フルボッコにされたらたまんねぇ
そんな事を思いながら、教室に戻ると、珍しくお弁当を持ってきてるりかちゃんと目が合った。
「あれ?美未香、ダ~リンは?一緒じゃないの?」
「あー・・うん、今日はちょっとね。」
「ふ~ん」
「それより、りかちゃんがお弁当なんて久しぶりに見たよ、もう食べたの?」
「うん♪今日はシェフの手作り~♪まだこれから食べるんだけど美未香は?」
「私もまだ♪一緒に食べよっか♪」
「うん♪裏庭行く?それともここで食べる?」
「んー」 あまり動く気力がでない
から
「ここで食べよ♪」
そう言うと、りかちゃんはにっこり笑って椅子に座りなおした。
教室での昼食を食べ始めたとき
ふいにりかちゃんから「何かあった?」と聞かれたが、
ううんと首を横に振ってなんとかごまかす。
でも、わかりやすい私の表情をりかちゃんは見逃すハズがない。
それ以上聞いてこないのはりかちゃんの優しさだ。
その証拠に、お弁当を食べ終えてたわいない話の後、
「なんかあったらいつでも相談して。」 とだけ言って自分の席に戻っていったから。
ありがとね・・りかちゃん
すべてが終わったら、笑顔に戻るから。
ああ・・それにしても時間が長い・・
空が出て行ってからまだ1時間もたってないのに・・
もう何日も待ってる気がする。
それは少し大げさだと思うかもしれないけど、その時は本当にそう感じた。
早く
早く帰ってきて。
無事に帰ってきて。
祈る気持ちでいた
結局、学校が終わっても空が帰ってくる事はなく
放課後になって部活動をする生徒たちの声がグランド中に響いてる。
そのまま、家に帰る気にもなれず、教室の窓からボーッとその光景を眺めていると
教室に誰かが入ってきた気配がした。
私はてっきりそれが空だと思って
「!――っそ・・らっ?」
声に出してしまった。
「え?」
その私の声に、こっちに向けたその顔は空ではなくて
相馬くんでもなくて。
同じクラスの男子だった。
「あ・・」 間違えたとはいえ、この名前を発してしまった
「そら?」
「え?あっ!、え~~と、そ、空が・・そのキレイだな~って」
なんとかそんなふうにごまかすと
その男子は私の横に来て窓の外に顔を出し、
「あーホントだね。」
と返答をしてくれた。
ホッ・・
と、したのもつかの間、
「鈴木ってさぁ、マジで相馬と付き合ってんの?」
「はふ??」
って!変な声を出してしまった!それくらい意表をついた質問をされた!
「なっ?///え?どうして?」
そんな事を聞くのっ?って続けるつもりが途中で止まってしまった!。
それは、私の言葉の途中でいきなり手を握られたから
「へっ?」
完璧動揺している私に構わず、その男子くんはまっすぐに見つめてくる
「あっ、あの!」
「どうして?」
「え?」
「相馬なの?」
「は?」
「鈴木は、あいつのどこが好きなの?」
「!」
あきらかに私の名前を知っているこの男子くん。
でも、私は顔しか知らない。名前も知らないただのクラスメートぐらいにしか思ってなかった人で。
その人からのその質問は非常に驚いた!
なんでこの人にこんな事を聞かれるんだろう?
なんでこの人にそんな事をこたえなきゃならないんだろう?
わたしは答えに困って黙り込んだ。
それよりなにより、その掴んでいる手を離してほしい。
じっと、その手の方を見ている私に気付いたのか、
男子くんはやっと掴んでいた手を離してくれた。
ふぅ
「もし・・」
「え?」
「もし、相馬と別れたら、俺と付き合ってくんない?」
「・・・・へ・・?」
現れたのもいきなりだったが、そんな事もいきなり言われて!
一瞬、何を言われたかわかんなくて、ポカンと口を開けてると
「そん時にでも返事ちょーだい♪」
軽く笑いながらそう付け足し、じゃあなっ!と言って教室から出ていってしまった。
・・・い・・
一体・・
今のはなんだったんだろう?????????????
ゆ、夢かっ?幻かっ????
あまりに一瞬の出来事で、でもその内容はとっても強烈で
何がなんだかわかんなかったから今頃になって胸がドクンドクンと鳴っている。
わた・・し、今
告られ・・た???もしかして??
――――――つか!誰??!!←そこかっ!
顔はわかる!同じ教室で見る顔だもん
でも、名前は??
ン~~~~~~~~~~~~~~?????
明日、りかちゃんに聞いてみよっ!←やっぱりわかんねぇのかよ!
ハッ!今の衝撃で空の事、忘れるとこだったよっ!
こんな時間に学校へはもう来ないと思うし。
あ!もしかして麗騎士に行ってるのかも!!
そうだよ!!きっと!!
そう思いついた私は速攻ダッシュで教室から出た。
お店に着くと、そこは相変わらず華やかで1人で入ろうとするには、やっぱりまだま勇気がいる。
でも、そんな事は言ってられない!
よし!と思って1歩を踏み出したところで
「美未香お嬢様?」
と、後ろから声をかけられた。
その声に聞き覚えのあった私はすぐに振り向き
「りくさん」と名を呼ぶ。
のと同時に、
「今日は空いないですよ?」と、やっぱりそこに居たのはりくさんで。
「え?」 それよりも、今言われた言葉に反応する。
「?」
「あ・・の、休むって連絡でもはいったのでしょうか?」
どうも、リクさん相手だと、私の言葉もキレイになってしまう
「はい。お店に連絡がはいったみたいですよ?本人からじゃなかったみたいですが。」
「え?」
「どうかされましたか?」
「あ、いえ・・」
連絡・・お店には入れてるんだ。
私のとこには何もきてないのに。
・・・でも、本人からじゃないってドーユー事?
「あの、本人、その、空が直接連絡したんじゃなかったら、誰からの連絡だったのでしょうか?」
「え?・・私が受けたわけではございませんので、なんとも言えないのですが多分ご家族のどなたかでは?」
「・・・・」
家族・・
空はそんな家族なんていないって言ってた。
ううん、もしかしたらホントは家族も居て家もあるのかもしれない。
下を向いて考え込んでる私を見て
「どうかされたんですか?」
と聞いてきた。
それは、どっちの事を聞いているんだろう。
私?
それとも空?
目の前には穏やかに笑う上品でキレイなリクさんの顔。
この人に相談してみようか。
そんな事を一瞬考えてしまった。
あー・・っ!!ダメダメ
このことを相談するって事は
空が誰にも言えずに悩んでたことを言うようなもの
私が勝手に言っちゃいけないコトだ
またしてもリクさんからの問いかけに答えスにいると、
「その状況が明日も変わらないようでしたら、すぐに教えてくださいね。」
「・・・え?」
顔を上げた時はもうリクさんは私に背を向けお店に入るところだった。
もっ、
もしかして!また私、顔に出してしまってたんじゃないかっ??
そんな心配がよぎる。
空にはもちろんりかちゃんにまで読まれるほどのこの正直な顔を、あの勘の鋭どいリクさんが気付かないわけがない!!
現にハピバン時、私の変装をすぐに見破ったくらいの人だしー!
な、内容は言ってないからセーフだよね??
何かあったんだな?くらいにしか思われてないよね??
うん!絶対にそうだ!
そういうことにしておこう!←おい
これ以上、リクさんに会ってボロが出ちゃまずいと思った私は
とりあえず家へと帰ることにした。
どっちみちあそこに居ても空に会えそうにないし。
さっき、言ってた家族っていうのが本当にあるなら、今日はそこに泊まるだろうから
あの部屋にも帰ってこないだろうし。
でもさ・・
メールでもいいからさ
ちょっとでもいいからさ
連絡くれたっていいんじゃね?
空の方から、連絡するって言ったくせに
うそつき。
夜も眠らず待ってた。
空からの連絡がいつくるかわかんないから眠れない。
もしかして?って思う気持ちが私の脳をぐるぐる駆け巡って更に眠気を飛ばしている。
おかげで、今朝はちょー寝不足。
一睡もできなかった私は目の下にクマをつくったまま学校へと向かう。
学校で会えると思ってた。
昨日は連絡よこさず悪ぃって笑う空に何か文句の10や100ぐらい言ってやんなきゃと思って眠たい目を体を無理やり動かし学校に行った。
でも
学校に着いても廊下を歩いても教室にはいっても空の姿はなくて。
それは学校が始まっても同じで。
スマホを何度見直しても空からの着歴はない。
なんだか嫌な予感が頭をよぎる。
1時間目が終わった時点で、もうたまらくなった私は教務室へ向かい担任に「相馬くんは休みなんですか?」
と、なんでお前が聞く?みたいな事を勇気を出し聞いてみた。
すると、担任の口から
「あーなんか、風邪をひいたらしくしばらく休むって家の人から連絡が来てたぞ。」
と意外にすんなり教えてくれる。
「はぁ・・風邪ですか。」 ここにも出てくる家族の存在。
やっぱりちゃんと家族いたんだ?空。
「なんだ?鈴木、直接彼氏に聞いてないのか?」ニシッ♪と笑われ、
「なっ!///、なんでそんな事を先生が知ってんの?!」
と驚いた!
「そりゃ、学校1の秀才のことはチェックしておくだろ~
でも、驚いたなぁ、まさか、お前とはな~、じゃ、今度の期末はさぞかしいい点数とるん・・」
「し・つ・れ・い・します!」
話の途中でそう言い、教務室を出た。
あ~~も~~(怒
余計なこと言い過ぎ!あのクソ担任!
それにしても!
学校に休むって連絡入ってた。
お店にも連絡は来ているのに
唯一、私のところにはメール1つ届いていない
家の人から電話っていうのがどうも引っかかってしょーがない
家族と居るなら、私のとこにメールなりなんなりできるんじゃない?
それを出来ないってことは・・
かけられない状態にあるってこと。
ドクン。
今、私・・なにを思った?
心臓が大きく鳴る。
ど、どうしよ・・
空は私との約束は破らない。
そんな事、わかってたじゃない
どうしよ。
そんな当たり前なことを忘れてたの?
ど、どうしよっ!
「その状況が明日も変わらないようでしたら、すぐに教えてくださいね。」
!!
昨日のリクさんの言葉がリンクした。
り、リクさんに
パッと廊下の先にりかちゃんの姿が見えた。
り、
りかちゃんりかちゃんりかちゃん
「た、助けてーーーーーーーっっっ!!!」
私はもう目の前が定まらなくて、りかちゃんの元へ早く行かなきゃって思っているのに足が言う事をきいてくれなくて、焦る気持ちが声になって出てしまってた。
その声に廊下に出ていた人達も教室に入ってる人達も顔を出してすごく驚いた顔をこっちに向けてくる。
でも、その中でも一番驚いた顔をした、りかちゃんがすぐに私の元に駆けつけてきて
フラつく私の体を抱きかかえてくれ
「み、美未香!どうしたの???」
キレイな顔を顔面蒼白にしてそう聞いてくる。
「りかちゃ・・ごめ・・リクさんとこに行きたい、連れ、連れていって」
途切れ途切れにそう言うと、すぐにりかちゃんは頷きスマホを取り出す。
どこかに連絡を入れながら、私の体を支え歩き出した。
「歩ける?」 という心配そうな声をかけて。
そんな格好で向った先は学校の近くにあるカフェ。
店の前までなんとか辿り着くと、入口まん前には白いセダンの車が停まっていた。
その車から降りてきたのは
私服姿のリクさん!
リクさんは私達を見るなり、すぐに駆け寄ってきて「車へ。」と言い、
りかちゃんの反対側から私の体を支えてくれた。
車に向って、軽く首を上げるリクさんに?した私はその方向を見る。
すると、運転席のほうから男の人が降りてきて後部座席に回りこむとそのドアを開けてくれた。
その仕草は麗騎士の執事様たちとは違ってた。
なにが違うって、その・・雰囲気かな。
そんな事を思いながら後部座席に乗り込む私と隣にはりかちゃん。
それを確認してドアを閉め運転席に乗りこむ男の人に、
助手席に乗り込んだリクさんが「出せ。」 とだけ言った。
・・なんか、いつもとイメージが違うリクさんにまたまた??だったけど、
今はそれどころじゃない!
車の中で、私は取りあえず今日までの事を簡単に話した。
昨日のお昼に出ていったっきり空がかえってこないこと。
その空が向った先が元カノんとこって事。
そして、連絡がないこと
言ってて不安と心配がもっともっと大きくなってきた。
早く早くどうにかしなきゃ!
「すぐに着く。」
そんな私の気持ちを知ってか、リクさんが短くそう告げる。
やっぱりいつものリクさんとはなんか違う。
その言葉通り、すぐに車は停車した。
外を見るとなんとなく見覚えがあるような無いような・・
「麗騎士関係者の入口だ。」
また短くそう言うリクさんは、サッと車から降りると、そこに立つ。
それよりも早く車を降りて後部座席のドアを開けてくれている運転手の人にお礼をいいながら車を降りると、その体をリクさんとりかちゃんがまた支えてくれた。
なんか、捕まえられた宇宙人のような格好で、通用口と呼ばれる通路を歩いていくと
鉄の柵のような門が現れる。
少し寂れてて重そうな感じ。
柵状になってるから、奥にもう1つ扉があるのが見える。
リクさんはまずその鉄の門を開け中へと私達を入れた、
その先にある門には、小さな機械が付いててそこになにやら数字を打ってる。
ピッと音がしたと同時にその戸がフッと開いた。
からくり屋敷かっつ??!って思ったけど、
あえてそこはスルーして、その奥へと進む。
ここが麗騎士であることは間違いない。
でも、こんな隠し部屋みたいなとこがあったなんて知らなかった。
ここは一体・・っ
黒い壁に黒い扉が何個かあって、その一番奥のど真ん中に君臨しているこれまた真っ黒な扉に近づくと、
「俺。」と一言。
―――って! えっ??お、俺??リクさんが俺??
目を白黒させてる私にはお構いなしでその扉を開け先に入り込むリクさんの後ろ姿を見て、なんでか心臓がドキドキした。
いままで隣に居た人は本当にリクさんだったんだろうか??
もしやッ双子の兄か弟なんではっ!!それっくらいリクさんの変貌ぶりに驚いた。
りかちゃんもさぞかし驚いてると思いきや、
え??お、驚いてない??全然平静な顔してる???
もしかしてりかちゃんはこーゆーリクさんも知ってる????
思いっきり眼見している私に気付いたりかちゃんがこっちを向いてペロッって舌だした!
そ、それは知ってたんだっ!!ってわからせてくれるのには一番手っ取り早く。
でも、一応、かくにんのためこっそりとりかちゃんに聞いた。
「リクさんの兄弟じゃぁないよね。」
「うん。リクだよ。」
どうやら本物であるらしい・・。私は1人、ガックしと肩をおとした
そんな話をコソコソと扉のトコでしていたら、
「早く入れ。」 と静か~に威嚇された。
言われたとおり部屋へ入ると、チラッと上を向いて陸さんの顔を見る。
照明のせいか、その氷上はいつもの上品できれいな顔じゃない!
いや!きれいはかわんないんだけどもっ!!
そのっ、上品と言うよりはっ、鬼?!!
き、鬼畜ヤロー空といい、リクさんといい!!
ここは鬼の宝庫かよっ!!
鬼ケ島かよっっ!!!
入らされたその部屋もやはり黒い壁で、でも良く見るとソレはすべて大理石だということに気付く。
床もそう。
ぴかぴか上品な光が室内の間接照明によって見て取れる。
革張りの大きい長ソファ←これもやっぱり黒
奥にはこれまた大きくて重厚なデスクが見えた。
そのまん前に誰か・・いる。
デスク用のチェアーにふんぞり返った姿勢で誰か座ってる。
「あ・・のっ・・」
「オーナー。」
私の不安げな声を遮る様にしてリクさんの声が発せられた。。
え??
――――――おっ、オーナー???
今、リクさん!オーナーって言った?????
?は?じゃ、あそこに座ってるお方がウワサのオーナー?????
嘘!マジ??え?なんで??オーナーのとこへ??
パニくり寸前の私に、ゆっくりとした口調で
「あんたから空にかけたのか?」
低い声がそう部屋に響く。
「え?」
その声はデスクに座るオーナーのもので、灯りが当ってないから顔は良く見えないけど、リクさんの声ではないコトはわかる。
「あ、いえ・・」その質問に小さい声でそう答えると
「あんたのスマホ少しかりるぞ。」
その言葉が耳に届き、側にいるリクさんの手が私に伸びてきた。
「ひっ!」
は、反射的についそんな声をあげてしまった!
もう私の中でのリクさん像は壊れてて、新たにインプットされるのは鬼リクさんでしかない。
な、何をされるんだろう!って恐怖が声に出てしまってた。
すると、隣で、りかちゃんがクスクス笑い
「大丈夫よ、美未香。スマホをリクに渡して」
と言った。
りかちゃんのかわらないしゃべり方に少し安心した私はポケットからスマホを取り出しリクさんへ渡す。
それをオーナーといわれる人の元へと持っていき手渡すと
わたしたちに向って
「ここに来てろ。」
と長ソファを指差した。
りかちゃんは当たり前のようにその長ソファに座る。
体を支えられている私は必然的にりかちゃんの隣に腰を降ろす形になってしまう
見事な革の質感についお尻を軽くあげてしまう。←どうせ庶民だいっ!
私のスマホを手にしたらしいオーナーさまは、画面を開いて、なにやら確認されてるご様子。
あんまり見ないでほしいなぁ・・
その一応、個人情報だしね~
と、ぶつぶつ小声で言ってると、
ピッ。
「んっ?」
私のスマホでどこかにかけた??は??
その行動がイミわかんなくて口をパクパクしていると、
プッ
て!え?誰かに繋がったっ??
つか!どこかけたの???
オタオタしている私に、隣でりかちゃんが
「しっ!」
と空と同じように口元に人差し指をあて黙るように言われた。
――――――――――――
部屋の中が静まり返る。
その静寂の中に聞こえてきた
「・・・誰?」
って言う女の人の声。
!??だ、誰??誰ってこっちが誰?だよ???
ピッ!
「えっっっっ????!!」
いきなりその電話を切ったのはオーナーで。
その後、すぐに
「リク、GPS.」とだけ言って私のスマホをリクさんに渡す。
リクさんはそれを返してくれると、今度は自分のスマホを開き始めた。
え??は??なに??なんなの??
りかちゃんの方を向くと、そこにりかちゃんは居なくて、奥のカウンターらしきとこで何かしている。
あ~~~~~~~~もう!!
この状況読めてないのは私1人だけかいっ!
そんなん我慢できないしっ!なにより、こんなとこで悠長に座ってる場合じゃないしっ!
「あっ、あのっ!」 思い切ってオーナーに向って声を出した。
「ん?」少し顔を上げたらしい、影が揺れた。
「い、今、どこにかけたんですか??私は空の事が心配でリクさんとこに行ったのに
な、なんなんですか??」
あああっ、もうムチャクチャだぁぁぁ
この文章になってない言葉を吐き出した後、緊張もあったせいかゼェゼェと息をきらしてた。
「だから、空んトコにかけたんじゃねぇか。」
横からリクさんの低~~~い声が響く。
「へっ?」
「ウチからの固定電話からかけても、番号わかってるから出ない可能性があった。
だから、あんたのスマホを借りた。ただそれだけだ。」
前からオーナーの声も低く響いた。
はぁ・・え?
「って事は、今、空のところにかけたんですか?」
「そう言ってる」
「ひぃっ!」
横からくるリクさんの低い声にマジビビッた!!
「ちょっと、リク、地出過ぎ!美未香怖がってるじゃん。」
りかちゃんからの救いの言葉に
「ちっ!」
と舌打ちするりくさん。
地??コレがリクさんの本当のお姿って事???
マジかぁぁぁぁぁ
ガラガラと私の中で持ち続けていたリクさん像が見事に全て砕け散っていく音がした。
「で。」
は?で? 続くオーナーの言葉で前を見直すと、
「・・案の定だった。」
案・・の定??
あ、そうだ!電話口から聞こえてきたのは・・女の人の声。お母さんにしては若い
お姉ぇさん・・?
「ありゃ、間違いなく、絵里子の声だ、」
「は?」え・・りこ?
「空の・・元カノ」
「――――――――――――!!!!」
オーナーのその言葉に全く疑惑を持って居なかったと言えば嘘になる頭が動き出す。
電話口からの女の人の声って、やっぱり・・
お母さんとかお姉ぇちゃんかもって思ったのはただの私の望みであって、
ホントはホントは――・・
「空は絵里子んとこへ行くって出ていったんだろ?」
オーナーの言葉に、リクさんとりかちゃんが私の方を向く。
このことはまだ・・2人には言ってないこと。
今回の事は空と私の中で決めたことだし。
空の過去の事をベラベラしゃべるわけにもいかないじゃん・・
「空と絵里子の事なら俺もリクも知っている。りかは・・」
「少し」 ぽそっとりかちゃんが答える。
え?あ、まぁ、オーナーは知ってるよねそれで色々と面倒してくれたって言ってたもんね空。
でも、まさか、リクさんやりかちゃんまでもが少なからず知っていたなんて。
そのコトにまず驚いた。
「りかはともかく、俺とリクと空は昔からのツレだからな。」
「へっ?」
次に驚かされたのはこの一言で!
い、いきなりなんのカミングアウトですかっつ!!??っつーぐらい驚いた!
「・・まぁ、この話はいい。空のスマホのGPS機能で居場所を特定してっから、安心しろ。」
そういうと、オーナーはぐるっと椅子を回して私達に背を向けた。
この話はいい・・って、ちょー気になるんですけどっ!!
その椅子に向って、む~~~~~っと念を送っている時、後ろでりかちゃんがリクさんを呼んだ。
「?」
「コレでしょ。」
「ああ、だな。」
「データ送るね。」
「頼む。」
そんな会話。
「??」
すると、今度は前から
カチャと音が鳴った。
いつこっち向いたかわかんないオーナーが、目の前にあるPCを開いた音のようだ。
そのPCの画面を眺めはじめるオーナー。
そして口にする。
「出るぞ。」
と。
それと同時に頷き、部屋を出て行くリクさん。
「あ、え?あの??」
「あんたも一緒に来るか?」
デスクからやっと立ち上がったらしいオーナーの声が頭の上から聞こえる。
「う、はい!」
その言葉にフッと軽く笑い音を立てたオーナーは私の横を通り過ぎるのと同時に背中を優しく押し
「来い。」
と、ニッコリ微笑んだ。
「―――――/////!!!」
っえっ?!照明が丁度照らしたオーナーの顔は
空と瞳がそっくりで!空をもっとオトナっぽくしたカンジで!
一瞬、空かと思ったくらい!!
ドキマギしながら少し前を走らせてくれているオーナーから
フッ って笑う声が聞こえた。
え?なんで??また笑われたっ!?
それはそれで気になったけど、今は問い詰めてる余裕なんてない
少しでも早く空のトコへ行きたい
少しでも早く空に会いたい!
空の顔が見たいよっ!!!
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