この恋は狂暴です

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この恋は狂暴です㉚〈薫side〉

この恋は狂暴です㉚〈薫side〉

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《薫side》

乃野がキレてる。
無理もない。 なんせ乃野が目にしたモノは、エロビ。
桃弥がゲーセンでゲットした代物で、たまにはこーゆうの見ようぜって遊び半分で俺んちに持ってきたけど、内容があまりにもグロいんで、途中で見るのをやめたんだ。
そのまま、放置状態だったから、俺はその存在をすっかり忘れてて・・
でも、 ・・なぁ ・・マジーよな。  はあ。
絶対、刺激が強すぎるし。こいつには。  
ああ・・ なんかすごい軽蔑の目で見られてるし(苦笑)

「なんで男ってこうエロいんだろっ!まったくっ!」
乃野は顔を真っ赤にしながら、枕をボスボス壁に打ち付けてる。

「男にはね、色々あんのよ、 乃・・」俺が隣に座ろうとしたら、
ズザザザザ――――――――――――ッ!!!

「え?」  後ずさりして、俺から離れ・・た?

「ち、近寄らないでっ!変態2人組っ!!」 手でガードもしてる。
「え?俺も変態なの?姫っ!」 桃も近寄る。

ズザザザザ――――――――――――ッ!!!
「も、桃も 、その・・見たんでしょっ?!」

「え? あー、うん見た。でも、あまりにグロいからすぐに見るのやめたよ」 
桃は顔を赤くして弁解している。
「で、でも、見たことにかわりないでしょっ!桃も変態っつ!!」
乃野の言葉にガックリうなだれる桃弥。 かわいそーすぎる

「そんなにこーゆうビデオ、嫌なワケ?」 俺はふぅーとため息をついて聞いた。
「い、嫌に決まってるでしょっ!そんなのっ!」

グイッ!
「ひゃっ!!」
俺は乃野の腕を思いっきり引っ張って、顔を近づけた。
「じゃ、こんなのに頼らないよーにしてよ乃野♪」
「へ? はっ?! なっ!」 意味がわかったらしい乃野は顔をますます真っ赤にして枕を投げつけてきた。
「ばか―――――――っ!!!変態っ!最低っ!!」


くすくす。 ホントからかいがいがある奴(笑)
2人っきりだったら、このまま乃野を押し倒す所だけど、桃弥もいるし、さすがにそれは無理だな 

はぁ ・・・ 残念。





《乃野side》

「ま、冗談はこれくらいにして」 薫が立ち上がって、さっき買い物した袋をゴソゴソし、中から何本かジュースを取り出した。
「じょ、じょーだんって!薫っ! っ」 そう言いかけて目の前に出されたジュースで口を塞がれた。

「アレは今度、一緒に見よーな♪」 にっこり笑う薫。
「!!っ」
いっ、一緒にって?あ、アレをっ? 
「うっ!!」
う~~~~~~~~っ//// 顔から火が出そうなくらい、たぶん私の顔は真っ赤になってる。
薫は平気な顔してジュースを飲み始めてる。
なんでそんなに平気な顔してられるのっ!もう信じられないっ!
薫にとって、こんなこんなのはどうってコトないのかな。 薫、経験豊富そうだし。
だから、

・・ 平気なのかな。





《薫side》

「いつまでもダメージうけてんなよ桃弥!」 俺は桃弥にペットボトルのジュースを投げた。

ボトッ。
ジュースは桃弥の足元へ落ちた。 うまくキャッチできないところを見ると、桃弥のダメージはそうとうなモノだったらしい(笑)

「ああ・・ 悪い。」 そう言って、桃弥はペットボトルを拾い上げ、乃野を見る。

ギッ!! 思いっきり睨まれてる桃弥。
超、 カワイソ―――  (笑)


「そろそろ本題に入ろーぜ。」 俺は乃野と桃弥を促した。
2人とも 「あ!」 って顔をして、すぐテーブルの側へときた。
乃野は少し距離を置いてたケド(苦笑) 
 

「まずは、朝と帰りは俺が乃野を送り迎えするし、もし、俺の都合が悪い時は、桃弥にお願いするな。」
「おう。まかしとけ!」 桃弥はガッツポーズをきめる。

「昼も一緒に食えばいいから安心だけど、それ以外は俺らとクラスが違うから、どうしても隙ができる。」 

「相田さん以外に仲のいい友達とかは?」 桃弥が聞く。

「ん―。 それが、なぜか皆、私の近くに寄ってこないっていうか。美和は気にするなって言ってくれてるんだけど 
・・・ 私、何かした覚えないいんだよね?」
ハテナ顔した乃野を見て、俺はちょっと気になって何か知っていそうな奴を思い浮かべた。

なな・・ たしか、乃野と同じクラスだったよな。

「乃野、ななの電話番号なんて知らないよな?」 と聞いてみた。
すると、
「え?わかるよ。でも、変番してなければだけど。 去年までは皆してフツーに話はしていたから・・。」
少し寂しそうに乃野は言った。

「変番してたらあきらめるけど、まずは、その番号教えて。」

「う、うん」




《乃野side》

私はスマホを取り出して、ななちゃんの名前を探し薫に見せた。
薫はそのスマホを手に取ると、自分のスマホに番号を打ち込んでる。
なんで ・・ 
他の女の子の番号聞くのかな。
ななちゃんて、薫のコトが大好きだし。 

なんか ・・ ヤダな。



《薫side》

~~~~♪~~~~~♪~~~♪
「もしもし~、誰~?」    この甘ったるい声は・・ ビンゴ!!

「なな、俺。」  「!!っえっ?!もしかして、か、薫くんっ?!!」
あきらかに動揺していると思われるななの声。

「そ。」  「えっ?っ?!なんで薫くんがっ??なんで?え?」
たぶん自分でも何を言っているのかわからないのだろう、ななは。

「今から出てこれね?」
俺がそう聞くと、たぶん首を思いっきり縦に振っているのだろう、途切れ途切れの声で、
「うっん!うん!ど、ドコにっ、行けばいい?の?か、薫くんっ」

「俺んちわかるっしょ?」  「う、うん。もちろんっ!」
「じゃ、俺んち来て。」 「えっつ?!!い、いいのっ?!!」
「うん。下に着いたら、この番号にかけて。すぐ向かえに行くから、じゃな。」
俺はそれだけ言うと電話を切った。
ななの返事は聞くまでもないから。

「ん?」 乃野の表情が暗い
「の、乃 ・・」 と話かけようとした瞬間、
~~♪~~~~~♪~~~~♪
「早っ!!」 3人して声をあげた!

案の定、着暦はさっき打った番号。 ななからで、
「もし。」と出ると、
「はぁはぁはぁ ・・ か、薫くんっ!つ、着いたよっ!」 すごく息が乱れてる声。どんだけマッハ?

「今から下へ行くよ。」 そう言って電話を切り、立ち上がった。

ギュ   「?!」
見ると、乃野が俺の袖を引っ張ってる。 顔はうつむいたままだ。 
ふっ。 なんか誤解してやがるな。

ポン! 俺は乃野の頭に手をやると
「大丈夫だよ。乃野が心配するようなことないから。」 と、ニコッと微笑んだ。
それを見て、一応、安心してくれたのか乃野の手は俺の袖からゆっくり放れた。

俺は部屋を出て、エレベーターに乗り下へと向かう。
1階に着いて、セキュリティのかかったドアを開けると、真っ赤な顔をしたななが立っていた。

「悪いな。いきなり呼び出して。」 俺がそう言うと、ななはブンブンと頭を横に振って 
「ぜっ、ぜんぜんっ!私は薫くんの為だけに生きているからっ♪」といつものセリフを言ってのけた。




《乃野side》

私は、さっきの薫とななちゃんの会話に疑問を抱いた。
(俺んちわかるっしょ) (うん、もちろん)

なに?あの会話?

「桃。」  「ん?なに姫?」
「・・ななちゃんて、ココによく来るの ・・ かな?」私は桃に聞いてみた。
「え?まさか! 薫は絶対、女を家にはいれねーよ。」

「え?」
「薫は自分のテリトリー荒らされたくないみたいだから。」
 
え?
じゃ ・・・ 私は?

「ふっ。姫は彼女でしょ?」 微笑む桃を見て少し安心した。

ん? でも
「ねぇ!じゃなんで、ななちゃんは薫の家知ってるの?薫もソレわかってたみたいだし、」

「ななは、薫のファンクラブの親衛隊長だろ?薫のコトならなんでも調査済みってワケ。しかも公認で。」

へぇー・・ななちゃんて、薫の親衛隊長やってたんだー
全然知らなかったなぁ。んーと、公認って事は薫の承諾得てるってコトだよね。

―――・・ えっ!!
っで、でも、今からその、ななちゃんがココへ来るんだよねっ!
薫のコトが大好きで、親衛隊長までやってるななちゃんがっ!
「ねっ!桃っ!じゃ、私がココにいるのヤバくないっ?」
私がそう叫んだ瞬間、

「ばかかっ!お前はっ!」 その声に振り向くと、

「か、薫っ!」

「何、くだらねーコト言ってんだよっ!っつたく!!」 あきらかに機嫌悪そうな薫。





《薫side》

「っつたく!何度言ってもわかんねー奴だなっ!!」
お前は俺の彼女だろーがっ!!

「くすくす。そんな薫くん見るの初めて♪」後ろでななが、そう言った。

「あ―――、まぁ ・・部屋に入って、なな」
「うん♪」 嬉しそうにななは、部屋へと入った。
そして、顔を強張らせている乃野に近づくと、
「なんか、乃野さんて、ウワサと違う ・・ね?」 と言った。
「え?」乃野は意味わからないといった顔をした。

「何?そのウワサって?」 俺はすかさず聞いた。
ななは、う――――――んって困った顔をして、 「えっとぉ?本人目の前にして言いにくい ・・ な。」


「俺、ソレ聞きたくて、ななを呼んだんだけど?」
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