甘々顔総長様と地味顔女子

三三

文字の大きさ
上 下
14 / 66

14

しおりを挟む
耳元で言われた単語が頭の中に残る。

とても強烈で、とても・・っ///は、恥ずかしい単語、
だって私の日常にはそんな単語無かった。そういった話なんて自分には無縁だった。
それなのに・・この人達はこんな簡単にその言葉を出せる、
総長様は・・フツーに何事も無かったように表情一つ変えてない。
ああ本当にこの人達にとってはいつもの日常なんだ。
いつもの・・て、えっと待て待て。いつもと同じ
いつもと・・?
って・・それってぇ、
け、
「ケダモノ!」
「っ!」
「は?」
めちゃくちゃ軽蔑の目つきで放った私の言葉に2人は一瞬、怯んだかに見えた。
が、この2人はそんな事では大人しくならない。

「別に亜弥さんから誘ってんじゃねぇし、亜弥さんと寝たい女は山程いるんだからしょうがないだろ!」
「おい、言い方っ、」
「だ、だからってそんな・・」ショックだった。モテるのはわかるよ、わかるけど!
「わざと、そうなる為に仕掛けてくる女も居たから、面倒で。」
えっ?面倒?たったそれだけの理由で?

「私の事もソレで済まそうって・・」私の事も面倒だった?
「だから、お前にはしてねぇだろ!」
だからそれはつまり
「そうですよね、私なんか対象にもならないもんね、」
「は?だからぁ、」
「すいません、私帰ります!失礼いたしました」
「え、あ、おい」
総長様の呼び止めも無視して私は玄関から外へ飛び出した。

エントランスまで走ってきたところで、さくらちゃんらしき声が聞こえた。
あ、帰ってきたんだ。
でも、ごめん、今立ち止まれない、早くここから遠ざかりたい。

私はそのまま家に駆けこんだ。


「まゆ帰ったの?」
奥からお母さんの声がした。
「うん、ただいま」
「ご飯、もうすぐ出来るからね~」
「わかった、着替えてくる」
これが私の日常。

自分の部屋に入ると、Tシャツとショートパンツに着替えてすぐにキッチンへと向かった。
テーブルには野菜炒めとお味噌汁、肉じゃが・・
そして目の前には化粧っ気の全く無いお母さんの顔。
今までの当たり前の・・平凡な日常。
さっきまでの非日常が嘘みたい。
あそこは疲れる。ここは・・落ち着く。
忘れよう。
私には元々、関わってはいけなかった領域。
そもそもあのコンビニでの出会いが間違っていたんだ、やっぱ、あの時、引き返していれば良かった。

ご飯を食べ終わると、洗い物を済ませて自分の部屋へ戻った。
いつもの日常に引き戻されると、いきなり、さっきまでの出来事は夢だったんじゃないかとさえ思えてきた。
もしかして。と思って、神社で買ってもらったお守りを探した。
たしか制服のポケットの中・・
「・・無い。」
スカートのポケットも探したがそれらしいモノはどこにも無かった。

「ああ・・やっぱ夢だったのかも。」
シンデレラの魔法が消えたみたいに私の中での非日常な出来事はあやふやになっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...