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入れない。
塾の帰り。
今日はお母さんの帰りが遅い日。
学校から、直行で、塾に行ったから、お昼から何も食べていない。
お腹が、空いた。夜なのにまだ気温は高い。夏だから仕方無いんだけど、・・暑い。
コンビニに寄っていこう。
塾から家までの距離で最後となるコンビニで買おうと
・・したのが、間違いだった。
だって、そのコンビニの入り口には、
ド――――――ン!
と、5,6人の赤い刺繍が入った黒い服をお揃いで着こんだ男の人達。
ご丁寧にお座りになってる。
ん―――。メンドイけど。お腹もペコペコだけど!私にはこの人達に意見を言えるほどの度胸は無い。
はぁ~。今から戻って、違うコンビニで買うしかないかな。
立ち止まっていた足を後ろに向けて、歩き出そうとした、その時、
「入いんないの?」
へ?
今、後ろの方から声が?
恐る恐る、その方向へ顔だけ向けると、
「俺らジャマしちゃってたね、今、どくから」
そう言った男の人は、1人立ち上がって。、周りにいた同じ服装の人達を散らしはじめた。
「わっ、なんだよ~」「え~メンド。」「ちっ、」
し、舌打ちまでしてる人が居るんですけどっ、
「だ、大丈夫です、あ、の」
「もう入れるよ、ごめんね。」
そう言って笑ったその人は、
「////」
赤面してしまう程、甘い顔付きをしていた。
その言葉を無駄にしてはいけないと思った私は、赤面した顔を見られないよう下を向きながら又、足の向きをコンビニへと向けて歩き出す。
ドアの側まで来たら、まだ甘いマスクの人だけはそこに立ってる。
近づくとわかる身長の高さ。それと
「つ///」
目、目の前に、はだけた胸元がっ!
うっわ、めっちゃ、筋肉質!!!
って、「ひゃぁああ///」
つい、声をあげてしまってた。
「あ?」
「はっ、す、すいませんっ、」慌ててコンビニに入り込んだ。
び、びっくりしたぁ、でも、と、とりあえず。回避できたぁぁ~~。はぁぁ
コンビニに入り、一安心した私は、早々とお弁当コーナーへ向かった。
空腹には勝てないのである。
一通り、選んでレジに向かおうとすると、
「ソレ、あんまおススメしないな。」
は?
「こっちの方がぜってー美味いぜ?」
と?
バッ!
「ぎゃ!」
「ぎゃ、って。俺はバケモンかよ。」
そこにはなぜか、なぜか、なぜかっ、
先ほどの甘々顔の人がっ!!な、、なんですか~~~~
ハッ!もしや、
先ほどの入り口を開けてくれたのは、実は私からたかろうとしてたのではっ!?
「ん?どうした?」そう言ってにっこり甘々な笑顔を向けてる
「わ、私、中学生なんで、お金あまり持ってません!」
そう言って頭をいきおいよく下げた。
「そっかぁ。」
ああ・・お願いします神様、どうか見逃していただけますよーにっ!
「じゃ、貸して。」
「は?」貸して?貸してとは?し、借金させられるって事ですかぁ~~??!!
スッ。
「え?」
私の手から買い物カゴを取り上げた?
ま、まさか、この分のお金はあるとみたのかっ?その分だけでも私からたかろうと??
あああ。私の晩御飯よ、さらばっ
「俺のおススメのにチェンジしとくからな。」
そう言って、私の選んだお弁当とは違うお弁当を入れ替えてる。
てっきり、商品を返品されて、ソレに使われるハズの金額を取られるんだと思ってた。
それがまさか。物でたかられよーとは。
そうですかそうですかわかりましたよ~、財布をポケットから取り出そうとしていると
ん?
え?
なんで? 見ると、甘々顔のその人は普通に私の買い物カゴの中の物を会計している。
「っ、えっ――」??!!
なにがなんやらである。
「ありがとうございましたぁ。」
そうこうしている内に、レジの男の人の元気な声が響く
イミがわかんない。
がっくり、うなだれていると、
「ほい。」
「へ?」ご丁寧にレジ袋まで購入してたらしく、その袋ごと、私の目の前に差し出してきた。
「え――っとぉ。」状況が全くつかめていない私に
「お金持ってないんだろ?」
「へ?あ、」そこで ぐうううぅぅ
「ふわっ///!」あぁぁっ、///わ、/私のお腹の音がっぁ////
「くは。金ないのにお腹ぺこぺこだな」
「はう///」
その人はお腹を抱えて笑いこんでる。
////恥ずかしくて死にそう。
でも、笑い顔も甘々なんだな、この人.
え、あれ?お金?
もしかして、さっきの私の言葉を勘違いした?私がお金持っていないって思って?
「たかられるんじゃなかったんだ」は!つい声として出してしまったっっ!
「あ?」
いきなり、甘々顔が鋭い目に変わる!?
「ひぃっ!」
「はぁ。中坊からたかるかよ。」
と言って金色の髪の毛を掻き上げた。どんな仕草も絵になる人だなぁ//
って、見とれている場合じゃない!
「えっと、じゃあの、」ビニール袋も少しあげ、コレって目をしてみせた。
すると、
「俺の妹、」
「?え、いえ、私、あなたの妹じゃありませんが?」
「・・」
あれ?返答間違えた?すごい怪訝な顔を見せる甘々な顔の人を見てそう思った。
「はぁ。その制服、俺の妹と同じ。」
「え?」あ、ああ妹って、そっち。
「それだけ」
「え、それだけ?」
「ああ」
そ、それだけって、それだけで、ここまで親切にしてくれたって言うの?
「シスコンなんですか?」
「ああ?」
はぁぁぁっ!!しまったぁ!又、声に出して言ってしまったぁぁ!!!
「なんか、もう説明すんのもメンドくなってきた、じゃあな。」
本当に面倒くさかったんだろう。それだけ言うと、さっさとコンビニから出て行ってしまった。
放心状態だった私が正気に戻ってコンビニから出た時には、もう彼らはそこから居なくなっていた。
結局、コレはいただいてもいいものなんだろうか。
後から、倍にして返せとか言ってこないだろうか。ああ、でも中学生からはたからないって言ってたしー、
う――ん。と考えながらも、家に着いた途端、甘々な顔の人が取り替えたオススメお弁当を食べてしまっている。あ、ホントだ。コレ美味しい
そういえば、
あの甘々な顔の人の妹、私と同じ中学だって言ってた。
せめてその子だけでもわかれば、この代金くらいはお返しできるんだけど、
ああっ、しかしっ、肝心なその妹が誰なのかも、何年生かもわかんないっ!せめて名前ぐらい聞いておけば良かった。今更ながら後悔している。
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