甘々顔総長様と地味顔女子

三三

文字の大きさ
上 下
1 / 66

1

しおりを挟む

「・・・」



入れない。



塾の帰り。
今日はお母さんの帰りが遅い日。
学校から、直行で、塾に行ったから、お昼から何も食べていない。
お腹が、空いた。夜なのにまだ気温は高い。夏だから仕方無いんだけど、・・暑い。
コンビニに寄っていこう。
塾から家までの距離で最後となるコンビニで買おうと

・・したのが、間違いだった。


だって、そのコンビニの入り口には、
ド――――――ン!
と、5,6人の赤い刺繍が入った黒い服をお揃いで着こんだ男の人達。
ご丁寧にお座りになってる。

ん―――。メンドイけど。お腹もペコペコだけど!私にはこの人達に意見を言えるほどの度胸は無い。
はぁ~。今から戻って、違うコンビニで買うしかないかな。

立ち止まっていた足を後ろに向けて、歩き出そうとした、その時、

「入いんないの?」

へ?
今、後ろの方から声が?
恐る恐る、その方向へ顔だけ向けると、
「俺らジャマしちゃってたね、今、どくから」
そう言った男の人は、1人立ち上がって。、周りにいた同じ服装の人達を散らしはじめた。
「わっ、なんだよ~」「え~メンド。」「ちっ、」
し、舌打ちまでしてる人が居るんですけどっ、
「だ、大丈夫です、あ、の」
「もう入れるよ、ごめんね。」
そう言って笑ったその人は、

「////」
赤面してしまう程、甘い顔付きをしていた。

その言葉を無駄にしてはいけないと思った私は、赤面した顔を見られないよう下を向きながら又、足の向きをコンビニへと向けて歩き出す。
ドアの側まで来たら、まだ甘いマスクの人だけはそこに立ってる。
近づくとわかる身長の高さ。それと
「つ///」
目、目の前に、はだけた胸元がっ!
うっわ、めっちゃ、筋肉質!!!
って、「ひゃぁああ///」
つい、声をあげてしまってた。
「あ?」
「はっ、す、すいませんっ、」慌ててコンビニに入り込んだ。

び、びっくりしたぁ、でも、と、とりあえず。回避できたぁぁ~~。はぁぁ
コンビニに入り、一安心した私は、早々とお弁当コーナーへ向かった。
空腹には勝てないのである。

一通り、選んでレジに向かおうとすると、
「ソレ、あんまおススメしないな。」
は?
「こっちの方がぜってー美味いぜ?」
と?
バッ!
「ぎゃ!」
「ぎゃ、って。俺はバケモンかよ。」
そこにはなぜか、なぜか、なぜかっ、
先ほどの甘々顔の人がっ!!な、、なんですか~~~~
ハッ!もしや、
先ほどの入り口を開けてくれたのは、実は私からたかろうとしてたのではっ!?
「ん?どうした?」そう言ってにっこり甘々な笑顔を向けてる

「わ、私、中学生なんで、お金あまり持ってません!」
そう言って頭をいきおいよく下げた。
「そっかぁ。」
ああ・・お願いします神様、どうか見逃していただけますよーにっ!
「じゃ、貸して。」
「は?」貸して?貸してとは?し、借金させられるって事ですかぁ~~??!!
スッ。
「え?」
私の手から買い物カゴを取り上げた?
ま、まさか、この分のお金はあるとみたのかっ?その分だけでも私からたかろうと??
あああ。私の晩御飯よ、さらばっ
「俺のおススメのにチェンジしとくからな。」
そう言って、私の選んだお弁当とは違うお弁当を入れ替えてる。
てっきり、商品を返品されて、ソレに使われるハズの金額を取られるんだと思ってた。
それがまさか。物でたかられよーとは。

そうですかそうですかわかりましたよ~、財布をポケットから取り出そうとしていると
ん?
え?
なんで? 見ると、甘々顔のその人は普通に私の買い物カゴの中の物を会計している。
「っ、えっ――」??!!
なにがなんやらである。
「ありがとうございましたぁ。」
そうこうしている内に、レジの男の人の元気な声が響く
イミがわかんない。
がっくり、うなだれていると、

「ほい。」
「へ?」ご丁寧にレジ袋まで購入してたらしく、その袋ごと、私の目の前に差し出してきた。
「え――っとぉ。」状況が全くつかめていない私に
「お金持ってないんだろ?」
「へ?あ、」そこで           ぐうううぅぅ
「ふわっ///!」あぁぁっ、///わ、/私のお腹の音がっぁ////
「くは。金ないのにお腹ぺこぺこだな」
「はう///」
その人はお腹を抱えて笑いこんでる。
////恥ずかしくて死にそう。
でも、笑い顔も甘々なんだな、この人.
え、あれ?お金?
もしかして、さっきの私の言葉を勘違いした?私がお金持っていないって思って?

「たかられるんじゃなかったんだ」は!つい声として出してしまったっっ!
「あ?」
いきなり、甘々顔が鋭い目に変わる!?
「ひぃっ!」

「はぁ。中坊からたかるかよ。」
と言って金色の髪の毛を掻き上げた。どんな仕草も絵になる人だなぁ//
って、見とれている場合じゃない!
「えっと、じゃあの、」ビニール袋も少しあげ、コレって目をしてみせた。
すると、

「俺の妹、」
「?え、いえ、私、あなたの妹じゃありませんが?」
「・・」
あれ?返答間違えた?すごい怪訝な顔を見せる甘々な顔の人を見てそう思った。
「はぁ。その制服、俺の妹と同じ。」
「え?」あ、ああ妹って、そっち。
「それだけ」
「え、それだけ?」
「ああ」
そ、それだけって、それだけで、ここまで親切にしてくれたって言うの?

「シスコンなんですか?」
「ああ?」
はぁぁぁっ!!しまったぁ!又、声に出して言ってしまったぁぁ!!!
「なんか、もう説明すんのもメンドくなってきた、じゃあな。」
本当に面倒くさかったんだろう。それだけ言うと、さっさとコンビニから出て行ってしまった。
放心状態だった私が正気に戻ってコンビニから出た時には、もう彼らはそこから居なくなっていた。
結局、コレはいただいてもいいものなんだろうか。
後から、倍にして返せとか言ってこないだろうか。ああ、でも中学生からはたからないって言ってたしー、
う――ん。と考えながらも、家に着いた途端、甘々な顔の人が取り替えたオススメお弁当を食べてしまっている。あ、ホントだ。コレ美味しい
そういえば、
あの甘々な顔の人の妹、私と同じ中学だって言ってた。
せめてその子だけでもわかれば、この代金くらいはお返しできるんだけど、
ああっ、しかしっ、肝心なその妹が誰なのかも、何年生かもわかんないっ!せめて名前ぐらい聞いておけば良かった。今更ながら後悔している。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...