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出会い1

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 風呂から上がり、スマホを開くとまたメッセージが何通か入っていた。
 大地からは大地のスーツ姿と俺の写真を催促する内容だった。

 適当に返信して、明日のサークルと部活紹介に備えて学内のサークルの活動や場所を確認しながら眠りについた。



 ピロン~♪

 通知音で目が覚め、スマホを確認するために手を伸ばすが見当たらない。

「ゔううう~」

 おっさんのような声を出しながらベッドから起き上がり、通知を確認すると大地からだった。


スーツ似合ってんね
今日サークル紹介だっけ?何はいんの?


 昨日送信した入学式に撮った写真の感想だった。
 見てから決めようと思ってる、と返信して大学に行く準備を始める。

 大学内に入るとサークルのビラを配っている人たちが沢山いた。
 ビラを貰いながらなんとか会場になっている建物に進むと、入口の方が一際人口密度が高くなっているのを見てげんなりする。

 進みながらも、何にそんなに群がっているのかとチラっと中心部を見てみると、中心にはモデルのようなスタイルと顔のとても整った男がいた。
 そんな彼を取り囲むように女性やビラ配りの先輩が陣取っていてポツポツと男性もいた。
 チラッと見たときに目があった気もしたが、そんなことよりもその男の近くにいる元彼女に目が離せなくなる。
 ああー、彼だったのかと納得するが、入学式前なのにどうやって出会ったのかは気になる。

 まあ、あれだけ目立つ容姿をしているのだから好きになっても仕方ないか、敵は多いぞ頑張れ!と密かに応援しながらもやっと入り口に辿り着いた。

 人混みのせいでどっと疲れたな、と思いながら空いている席が沢山ある前の方に座る。
 すると、スマホのバイブレーションが鳴ったので確認する。


いつ空いてる~?
せっかく大学も近いんだからあおー


 大地からの連絡にそうだな、と具体的な日時を返信しているとちょうど始まりそうだったのでスマホをしまう。
 人混みに疲れたため、あまり人が選ばない前の方に来たのに何故か前も横も人で溢れていて俺の後ろの方をチラチラ見てざわざわしている。

 みんながそんなに振り向いてみる人がどんな奴なのかも気になりミーハーな気持ちで見てみようと思ったが、その人がいるのが俺の真後ろらしく、自然に見ることは出来なさそうなので諦めた。
 完全に席選びを間違えた。

 サークルと部活紹介では、スポーツ系からスボランティア系まで様々あったが特に興味の持てるものはなかった。
 それに隣の人が話しているのを盗み聞いたがまともに活動しているように見えても飲みサーやヤリサーもあるらしく、面倒なことに巻き込まれないためにはサークルの類は入らない方が無難な気がしてきた。
 バイトに力を入れるのも良いのではないかと思う。

 始まってからもずっとざわざわうるさかったこの席だったがそんな情報を知れたのもこの席のおかげかと終わる頃には考え直した。

 だが、これ以上この人混みにいるのもなかなかキツいので、誰も動き出さないであろう終了と同時に帰ろうと席を立ち出口に向かって進む。
 途中後ろに座った人の顔をチラッと見たら、入口の彼だった。
 またもや目があった気がしたが、気のせいだろうと思い出口に早歩きで向かう。
 

 
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