熱い瞳で僕だけを見ていて

福ノ内 六森

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入学式1

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 アパートに帰り、荷解きの続きを始める。
 大方荷解きは終わっていたため、残りの段ボール3つを開けて物しまえば終わりである。

 1つ目の段ボールを開けながら未だに思い出せていない初恋のあの子の名前を思い出そうとするが、なかなか出てこない。
 2つ目の段ボールを開けたところで捨てるに捨てられずにずっととっておいていた、その子に宛てた手紙とおもちゃの指輪や集めていたストラップなどが入った缶が出てきたため懐かしいと思い、見ていくことにした。

 手紙にはけいちゃんへとヘタクソな大きな文字から始まり、俺の名前の川口史騎からのあだ名でしーくんと書かれている。
 中身まで見るのは少し気恥ずかしいのでやめておくが、その手紙を見て思い出した。

 2人でけーちゃん、しーくんと呼び合っていたのだ。
 けーちゃんだから景子とかそのまま圭って名前だったのかなーと懐かしくなってくる。

 そこまで思い出すと、今どんな女性になったのか気になってくるがそれを知ることができないのが残念に思えてくる。
 だけど、あの頃のままのけーちゃんでいてほしいと思う。
 人見知りだけど仲良くなってきた人に対してはマイペースで、思いやりのある華奢で守りたい感じのけーちゃんでいてくれているはずだと切に願う。

 名前も分かり、色々なことを思い出せたので先程よりもすっきりとした気持ちで残り1つになった段ボールの中身を整頓していく。
 
 部屋の整理が終わる頃には22:00を回っていたため、買っておいたカップラーメンを食べることにした。
 今日は無理だったが、これからなるべく自炊してご飯を食べていきたいと思う。
 まだ、揃っていない生活用品もあるため明日はショッピングセンターに行こうと思っていたが、できたら食材や調味料も買ってこようと頭の片隅にメモする。


 朝、目を覚まし見慣れない天井に少し驚いたが今日の予定を思い出し準備を始める。

 ショッピングセンターにつくと、引っ越して生活用品を買いに来たのか同世代くらいの人達が多かった。
 食器やバスタオル、掃除用具などを見て気に入ったものをカートに入れていく。

 同じくらいのタイミングで店に入ったからか、後ろに背の高い男がずっといたような気がするが 今はもういないため気のせいだったようだ。

 一通り生活用品が揃ったので一度アパートに戻り、荷物を置いてから食材や調味料を買いにもう一度出かけ近くのスーパーへ行ってきた。
 
 そこから入学式の日までなかなか忙しく過ごしていたため、元彼女のこともすっかり忘れていた。
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