熱い瞳で僕だけを見ていて

福ノ内 六森

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初恋1

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「だいすき。けっこんして、だいじにするから」


 俺が5歳の頃に一番言っていたであろう言葉だ。
 あの頃の俺は必死だった。

 今でも覚えている。

 最初のきっかけはストラップだった気がする。
 俺が欲しかったヒーローの物でお菓子にランダムでついてくるため、そのお菓子を食べまくっていた。
 当たることはなかったが偶然それをカバンにつけている子を見つけたのだ。
 どんな子が持っているのか気になり、その子を見た。

 風が吹き、なぜかその子と目があった。
 初めてみたその女の子に胸がいっぱいになった。

 あの感覚は今でも忘れられない。
 きっと一目惚れだったんだろう。
 そこからの俺はその子とずっと一緒にいたいと思い、絵本で覚えたての結婚や告白をしまくった。

 「ごめんなさい」

 毎回返ってくる言葉はこれだった。
 伺うようにこちらを見るその子が可愛くて次こそは!!と意気込んでいた。
 その子を見つけると、走って行って告白し断られ日が暮れて親が迎えに来るまで一緒に遊ぶ。
 これが5歳の頃の俺のルーティーンだった。


_____

 どうしていきなりこんなことを思い出したかと言うと、その思い出の公園のベンチに座り彼女に別れ話を切り出されているからである。
 初恋のあの子ではなく、高校で付き合い始めた彼女だったが別れたいらしい。

 
 彼女の話を要約すると、大学で俺よりも好きな人ができたらしくその人は人気な人だからアプローチかけるには俺が邪魔なようだ。

 まあ、他人との繋がりなんて切ろうと思えば簡単に切れるし、切ろうと思っていなくても毎日会わなくなって関わりが薄くなっってくると無くなっているものだ。
 だから別に別れることに感しては全然いいのだが、大学で好きな人ができたって。

 聞き間違いかと思った。
 でも彼女の話の内容的に聞き間違いではないようだ。
 
 不思議すぎる。
 俺たちは同じ大学に進学することになっていたはずだ。
 俺の大学の入学式は明後日のはずなんだが、どういうことなのだろうか?

 まあいい、告白されたから付き合ってみたもののクラスメイトだった時との好きと何が変わったのかわからないままだったし、きっともう関わることもないだろうから

 そんなことより早く返って荷解きをしないと。
 そう思い、彼女いや元彼女か、にさよならを告げて先日引っ越したばかりの家へ歩き出す。

 歩きながら、初恋の女の子の名前はなんだったかなと思い出そうとしているうちにアパートについた。
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