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街
しおりを挟む「もうティアなしで生きていけなさそう、、、」
自分の不甲斐なさにガッカリしながら手を引かれていると、宿への到着が近いからなのか、心なしかルンルンした歩き方になり声を弾ませたティアに話しかけられる。
「もうちょっとで宿に着くからね、大丈夫?足痛くない?」
「大丈夫だよ、ごめんね。全然役に立てなくて」
「大丈夫だよ、ハナはそのままでいてね!!」
そう明るい調子で言われ、この旅の間、何もできない自分に落ち込んでいた気分も少し浮上する。
ティアがいい子すぎる!!
手を繋いで楽しげにルンルン歩いている姿や甘えてくる姿は可愛いし、最近ではいつの間にか大きくなっていたことでふとした瞬間カッコいいのだ。美形強い、、
最近は確実に将来モテるであろうティアをどうやって女の子たちにアピールしていくかが、悩みの種である。
森で暮らしていることもあり出会いが全くないのだ。
だから今回の外出で、できる良い子ティアをアピールすることが私の小さなミッションであったりもする。
「ようこそいらっしゃいました」
考え込みながらティアに手を引かれているうちに宿屋についたようだ
微笑みながら丁寧にお辞儀をしているクルクルとした白い髪の女性が声をかけてきたため慌てて会釈をした。
「当宿を選んでいただきありがとうございます。何泊のご予定でしょうか?」
「とりあえず、3日頼みたい。その後は追って知らせる」
「承知いたしました。お部屋の方をご案内させていただきます。」
この女将さん羊っぽい!!と感激している間にスラスラとやりとりが交わされ、部屋へ案内してくれるらしい。
女将さん、ティア、私の順で階段を登っていき、部屋の前で鍵を渡された。
「当宿では、鍵を返却していただいた時のみ清掃に入らせていただいておりますので、清掃が必要な場合には先ほどの場所で鍵を私どもへお渡しください」
「承知した。ご丁寧にどうもありがとう」
「ごゆっくりお休みください」
そういうと女将さんは立ち去っていった。
ティアの大人のような対応に驚きつつも鍵を開けて扉を開いて待ってくれているティアの方へ向かう。
部屋に入り荷物を置き、部屋の綺麗さに感動する間もなく、さまざまな場所をチェックをし始めたティアの邪魔にならないように移動し見守る。
ベッドの下やゴミ箱の中、トイレ、カーペットの下などそんなとこまで!?と思うほど隅々を調べ上げているのを呆然と見ていた。
「ハナ、僕ちょっと出てくるから、僕が出たら鍵をかけてね。この鍵は僕が持っていくから、何があっても開けたらダメだよ」
「う、うん。気をつけてね、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そう言い、部屋の外に出ていった。
先ほど言われたことで不安もあり、急いで鍵をかけた。
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