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ティアSIDE
出会いまでティア5
しおりを挟む部屋に戻り、荷物をまとめる。
兄にはああ言ったがお金を渡す気なんてさらさらない。
明日、兄達が旅立つその前に僕が旅立つ。
誰も気付かないだろうから急いで隣街に行く。
「そこで新しい生活だ!」
そう考えるとワクワクする気がする。
明日のために早く寝ようと思いはやめに布団に入ったがやはり全然寝付けない。
どうしても眠れないまま出発の時間になった。
音を立てないようにこっそり玄関に向かう。
父と母の部屋を通った時だった。
「ああ、あの子達の出発が今日だと思ったらもう目が覚めてしまったわ」
「そうだな、ちゃんとやっていけるか心配だな」
「旅立ちといえば、あの子はまだ出ていかないのかしら」
「ほんとだよ、何よりも早くいなくなって欲しいのに」
「そうよね、名前だってあの忌々しい色がなくなるように『星に願いを』の花言葉のアトランティス?だったかしら?」
「いや、アトランタだろ?あれ?ああ。アトランティアだ、確か」
そんな会話が聞こえてきたが、特になんとも思わなかった。
父と母が自分の存在を忌み嫌っていたのはわかっていたし、もうこの家を捨てるものとしたらどうでもいい雑談にすぎない。
バレないように念入りに音を消して歩くこと数分で玄関にたどり着いた。
いつも開けていた玄関だったが、新しいところに行くと思うと冒険の始まりの扉のように思えて、ドキドキする。
扉に触れるとあっけなく開いたがそれはそれで良い。
音がしないように扉を閉めて、とりあえず隣街へ向かった。
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