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ティアSIDE

出会いまでティア4

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「なんだあいつ。まあ、明日には機嫌治ってるだろ」

「なんでかあいつ兄ちゃんのこと大好きだもんな」

「嫌われてるのに気づかないのもあんな見た目で生まれるのも二重で可哀想だけどな」

 なんて弟達と兄の会話が聞こえてくる。

 ガラガラと自分の中の何かが崩れていくのが分かる。
 そこまで聞いてやっと自分が兄にとって都合のいい金ズルだったことに気がつく自分にも嫌気がさす。

 今までのこと振り返ってみるとクエストで怪我をした時も風邪をひいてしまった時も心配なんてしてもらったことはなかった。
 それどころか、成長するにつれて兄は僕から触れられるのも触れるのも嫌がり目すら合わせてくれなかった。
 ただ見ないフリをして自分が都合よく兄という存在に縋っていただけだった。



 ああ、もうやめよう。

 誰かに期待するのも、信用するのも。

 どうせ最後には置いていかれる。

 だから、1人で生きていこう。



 そう心に決めると、スッと今までのことがどうでも良くなった。
 出ていこう、この家からも。

 
 そう心に決めて、落ち着いたはずなのに何故か眠れなかった。
 朝になり眠れなかったことに苛立ちながらも、ギルドに向かう。

 何日か眠らなくても平気だが、気分は良くない。
 たくさん動けば今日こそは眠れるだろう考えながら玄関を開けようとすると

「おい。お前、どこに行くんだ」

「ギルドだけど」

「そうか、早く金渡せよ」

 兄が話しかけてきて、適当に答える。
 お金を渡す気なんてさらさらない。

 だけど、いつまでも騒がれても面倒なので適当に流す。
 ああ、イライラする。

 今まで利用されてても気付かないフリをして、機嫌が悪かっただけ。僕、何かしたのかな?なんて自分ばかりをせめていた自分にも、どれだけ突き放されても兄に縋っていた自分にも腹がたつ。

 僕なんかが愛されるはずなんかないのに。


 ギルドに行き、いつも通りクエストを終え家に向かう。

 いつ群れから出るのかを計画しながら歩いていると

「おい、いつまで待たせるんだよ。早く金よこせ」


 誰かの声がして足元を見ていた視線を上げると門に寄り掛かりながらこちらを見ている兄がいた。



「部屋にもまだあるから、整理して明日渡すよ」

「そうかよ。全く、手をかけさせるなよ」

 そんな言葉をかけて去っていった。

 

 


 
 


 
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