新見啓一郎の事件簿~終天の朔~

麻生 凪

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生と死の欲動 9

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 6月10日
「今宵、月夜に想う」(Luna Lups)

 美しく 幻想的な月夜には
 好きな女性に贈りたい歌がある
 エリック・クラプトンの
 'Wonderful tonight'
 夜が更ける頃
 彼女は何を着ようか悩んでいる
 化粧をして 長いブロンドの髪をといて
 僕に尋ねるんだ 
「これで 良いかしら」
 僕は言う 
「ああ 今夜の君は素晴らしいよ」
 .........
 クラプトンが奏でるギター
 優しく 美しく ロマンチックな
 珠玉の一曲

 好きな女性から 贈られたい歌は
 'Fly me to the moon'
 私を月に連れてって
 星たちに囲まれて 遊んでみたいの
 木星や火星に
 どんな春が訪れるか見てみたい
 言いかえると 手を繋いでってこと
 だから つまり... キスしてってこと
 .........
 シナトラやドリス・デイ等が歌い上げ
 ジャズのスタンダードとしても
 愛され続ける一曲

 夏目 漱石が英語教師をしていた時 
 ある生徒が
「I love you」の一文を
「我れ 君を愛す」と直訳したのに対し
「日本人はそんなことは言わない
 月が綺麗ですね とでもしておきなさい」
 と 直した逸話がある
 彼ならば 洒落た
 愛の歌が書けるだろうなぁ

 こんな月夜の晩に
「今夜は 月が綺麗ですね」
 と言える女性が となりにいたら
 そして その女性が
「ずっと 月は綺麗でしたよ」
 と、応えてくれたら……

【コメント】
『そんな恋が出来たら、素敵ですね』(Thanatos)

 ・・・・・・・・

 7月3日
「lace」(Thanatos)

 心地よい風が
 織りなす、まるで
 絹のlaceのように
 薄くうすく 広がる雲

 満つる前の月
 隠しきれない想い
 ため息をついた夜

 次は いつ会える……

【コメント】閉じている

 ・・・・・・・・

 7月30日
「上弦の月」(Luna Lups)

 遠く離れていても
 瞳を閉じれば いつもそこにいる
 風になびく髪にそっと手をおき
 うつむき加減で微笑む横顔
 ゆっくりと腕を伸ばし
 海に映る夕日をみつめて

 この光の小道は太陽に続く
 道誰もが等しく導かれているの
 ほらね
 歩いても歩いても
 ずっとついてくるでしょ

 見慣れた光景が
 鮮やかな色彩をまとい
 僕のこころを 充たしていく
 こんな ことばひとつで
 世界観が変わってしまった

 瞼に映る君は いつも笑顔なんだ
 あんなに ……
 泣いた夜もあったのにね

 この川は広くて深いの……
 わし座とこと座
 天体が回るのって
 ほんとにロマンチック
 観ていて飽きないけど
 七夕に願ったの
 一緒の夜はどうか
 回るのを止めて下さいって
 明日からまた寂しいよ

 今夜の上弦を君は見ているだろうか
 見ていて欲しい同じ夜空を

【コメント】閉じている

 ・・・・・・・・

 8月2日
「鏡花水月」(Thanatos)

 探し さがし辿り着いた
 ここが
 わたしのまほろば

 泣いたのは 月のせい

 こよない月が眩し過ぎたから……

【コメント】閉じている

 ・・・・・・・・

 8月15日
「Me too 」(Luna Lups)

 青い月よ
 独り佇む僕を君は見ていたんだね
 心に抱く夢もなく
 生涯愛する人もいない僕をさ
 青い月よ
 僕が何のためにそこにいたかを 
 君は知っていたんだね
 そして君は僕の願いを
 聞き入れてくれた
 心から愛する人に出会いたい
 という願いを
 そう、あの時
 突然僕の前に現れたんだ
 僕のこの腕で
 一生守りたいと思う唯一の人が
 青い月よ
 もう僕は独りなんかじゃないよ
 心に抱く夢もなく
 生涯愛する人もいない僕なんかじゃ
 Rod Stewart  'Blue Moon' より

【コメント】閉じている

 ・・・・・・・・

 9月2日
「Stella Marius」(Luna Lups)

 君がぼくを導いてくれる
 それはまるで
 旅する者の案内人  聖母《ステラマリス》

 暗やみでの航海のなか道標《みちしるべ》となり
 一筋之光明《インスピレーション》をあたえてくれるんだ

 君のことばに刻が流れ
 そのしぐさに舞を見る
 
 君のひとみに絆されて
 そのえがおに安堵する

 君の鼓動に海神《うみ》を憶え
 君の涙粒《なみだ》に宇宙《そら》を懐《おも》う


 だから 恐れはしない

【コメント】
『カッチーニのアヴェ・マリアに想う』
(Luna Lups)

 ・・・・・・・・
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