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諦めて幸せになってくれませんかね
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「それでは…」
「行ってらっしゃい、ちゃんと帰ってくるんですよ」
親御さんとか、ご家族の方、そうじゃないとたぶん泣いちゃうと思うから。
そういう意味で言ったのだが。
「はい、必ず…」
そう答えて、嬉しそうにした。そして傭兵の彼は戦場に赴く。
「もうそれは嫁だろう」
茶を飲んでいるときに言われた。
「ごほっ、何をいってるのさ」
「何って…嫁さんもらったみたいだなって思っただけだが」
「まだそういう仲じゃないよ」
「そうなの?もうてっきり、お前、そんなに奥手だったっけ?」
「いやいや、何いってんだよ」
そんな奥手と評した相手に対して、他の仲間が。
「お前が早すぎるんだよ」
「えっ?でもさ、見たらわからない?」
「お前はまたそういうことをいって…」
呆れているのは、過去の恋愛遍歴を知っている、そして全然関係ないのに、同胞というだけで似たような奴らと扱われたからだ。
「俺は忘れないからな、お前と飯食っていたら、勘違いした、いや、させた女性が近づいてきたときのことを…」
こんなところにいたの?
「あれは悪かったって」
「あれから俺はお前と飯を食うことはやめたの」
そんな彼が近づいてきたということは…
「仕事だ」
そういった瞬間、その場にいた同胞たちの目は代わり、立ち上がる、準備をするなど行動に移り始める。
「景気いいところもあるもんですね、ここにいる全員に声がかかるなんて」
「そりゃあ、今回の件は打算があるみてえだからな」
「あぁ、そういうやつ、まっ、いつもの仕事をするまでっすよ」
「そうだ、余計なことはするな、持ち場を守れ、生き残れ、欠けることなく故郷に帰るぞ」
傭兵の里というのはこうした人材をあちこちに派遣することで生計を得ている、元々は寒村だったとはいうが、今ではその傭兵が働きに出たことで、古今東西さまざまな物が持ち帰られ、今では土地にあった薬用植物も見つかり、それらも順調に栽培できているという。
「その中でも戦況を変える一発を任される人っていうのは、相当な腕なんですよ」
「へぇ~そうなの」
「最近ここで顔を見る傭兵さんってね、その役目を任されている人なんですよ」
「ずいぶんと詳しいわね」
「だって格好いいじゃないですか」
キラキラした目で見るのは、お使いにきた少年である。
「ただ者じゃないとは思ってたんですよね。ほら、眼光が鋭い人を寄せ付けないタイプが、わかりやすい強さだと思うんですが、僕はね、ああいうタイプの方が怖いかなって」
「まあ、そうね~みんなが緊張するような時に、自分のペースを出せるっていうのは、それだけで強いかな」
そんなわけでよくお使いに来てくれる少年の方がまず傭兵である彼のすごさを知っていた。むしろ、次はいつ来るのかな、話とか聞けないかなとワクワクドキッしてて。
「いつまでお使いに行ってるのさ」
「あっ、ごめん」
そうやって探されに来るまで話をするのだった。
ポツポツ
そんな風に雨が振りだしてきた。
少し寒さを感じて、一枚羽織ることにしたのだが。
「向こうも寒いのかしらね」
彼女はそう呟いた。
「支払いは確かに」
傭兵は命をかけた職業なので、金払いはしっかりとしている。
むしろ、お金を受け持つ役は、傭兵の中でも腕っぷしはいいほうであった。
「今回は安くしてくれっていうところじゃなくて良かったですね」
「最近はそういう話が多かったからな」
「しかし、また、豪気といいますか…」
「うちの仕事が終わったら、きな臭いものに変わるだろうな」
「あぁ、なるほど」
金の流れから先をある程度読んでいるようだ。
「それで、また手紙は頼むんですか?」
「戻ってきたら持っていってもらう」
「ずいぶんと入れあげてますね」
「そうか?安く済まそうとしているとは思うが」
「安くね~」
「おかしいか?」
「私にはそこまでの先は見えませんから」
「でも実際に問題だろ?」
「そうですね、我々にとって夜目が利く人間というのは、大事な存在ですから」
「そうだ、それが里で生まれなくなったら大問題だ」
寒村でも何とか自然と上手くやっていけたのは、夜目を利く人間がその視力で、山の幸などを見つけていったことが大きかった。
それが傭兵という仕事で財をなしたまでは良かった。
嫁も他の地域から迎えることが出来たり、そこまでは…
夜目は遺伝的なもので、両親が夜目を持っていたとしても、上手く引き継ぐことが出来ないことが途中でわかった。
「理想は夜目持ちの家から嫁を取るということだが、そもそも夜目持ちがうちの里以外にはほとんどいなかったからな」
縁談が来たので結婚しても、特性が引き継がれないので、そうなると、夜目が利く傭兵だからこそ強いのにという話だ。
「たまにいても、そういうところって女性が少ないですからね」
労働力にならないかららしい。
「そういう意味では、あの商いを任せられている彼女の家がそうだって言われたらな、是非ともほしいしな」
「裏取りしたら、本当にそうでしたから、さすがにビックリしました」
「そりゃあな、あれで男兄弟の方も夜目として優秀ならな」
そうあの彼女には男兄弟はいるのだ。
「普通の人とほぼ変わらない夜目だと、意味ないですよ」
男親の特性がそのまま子供の夜目は出てしまうので、彼女の男兄弟だと、傭兵の里は婿にもらうが不可能である。
「ただ彼女の男兄弟に夜目が出ているということは、高い確率で夜目の子供が生まれてくれるから」
男子だったらほぼ父親の夜目を引き継ぐ、女子だと確率は落ちるのだが。
「遠方出身者の血を引いているってだけで、里でモテるの決定ですからね」
血というのは近すぎてもダメ。
「もしもそうでなくても、この間昆布持ってきただろう?」
何持ってるの?
昆布です。
昆布!?
「あの商売の腕を考えたら、お釣りが来るぞ」
「確かにそうですね」
いつもお土産くださるの悪いわ、何かお返しに…
「多少人を寄せ付けないところがあるような女性と聞いてますが、もう諦めて幸せになってくれませんかね」
「それはそうだが、そういう口説き文句がささっと出てくるような奴じゃないからな」
そういう理由もあって、また無事に戻ってきたら手紙を持たせるつもりだ。この時、そのままでいこうものならば、そういうときは贈り物の一つ携えてと苦言を呈するものなのだが。
「すいません、贈り物で、落ち着いた感じの浮かべた微笑みに癒しを感じる女性向けに何かいいものはありませんか?」
ちゃんとそういうのは探してきているので、様子を見守るだけである。
「行ってらっしゃい、ちゃんと帰ってくるんですよ」
親御さんとか、ご家族の方、そうじゃないとたぶん泣いちゃうと思うから。
そういう意味で言ったのだが。
「はい、必ず…」
そう答えて、嬉しそうにした。そして傭兵の彼は戦場に赴く。
「もうそれは嫁だろう」
茶を飲んでいるときに言われた。
「ごほっ、何をいってるのさ」
「何って…嫁さんもらったみたいだなって思っただけだが」
「まだそういう仲じゃないよ」
「そうなの?もうてっきり、お前、そんなに奥手だったっけ?」
「いやいや、何いってんだよ」
そんな奥手と評した相手に対して、他の仲間が。
「お前が早すぎるんだよ」
「えっ?でもさ、見たらわからない?」
「お前はまたそういうことをいって…」
呆れているのは、過去の恋愛遍歴を知っている、そして全然関係ないのに、同胞というだけで似たような奴らと扱われたからだ。
「俺は忘れないからな、お前と飯食っていたら、勘違いした、いや、させた女性が近づいてきたときのことを…」
こんなところにいたの?
「あれは悪かったって」
「あれから俺はお前と飯を食うことはやめたの」
そんな彼が近づいてきたということは…
「仕事だ」
そういった瞬間、その場にいた同胞たちの目は代わり、立ち上がる、準備をするなど行動に移り始める。
「景気いいところもあるもんですね、ここにいる全員に声がかかるなんて」
「そりゃあ、今回の件は打算があるみてえだからな」
「あぁ、そういうやつ、まっ、いつもの仕事をするまでっすよ」
「そうだ、余計なことはするな、持ち場を守れ、生き残れ、欠けることなく故郷に帰るぞ」
傭兵の里というのはこうした人材をあちこちに派遣することで生計を得ている、元々は寒村だったとはいうが、今ではその傭兵が働きに出たことで、古今東西さまざまな物が持ち帰られ、今では土地にあった薬用植物も見つかり、それらも順調に栽培できているという。
「その中でも戦況を変える一発を任される人っていうのは、相当な腕なんですよ」
「へぇ~そうなの」
「最近ここで顔を見る傭兵さんってね、その役目を任されている人なんですよ」
「ずいぶんと詳しいわね」
「だって格好いいじゃないですか」
キラキラした目で見るのは、お使いにきた少年である。
「ただ者じゃないとは思ってたんですよね。ほら、眼光が鋭い人を寄せ付けないタイプが、わかりやすい強さだと思うんですが、僕はね、ああいうタイプの方が怖いかなって」
「まあ、そうね~みんなが緊張するような時に、自分のペースを出せるっていうのは、それだけで強いかな」
そんなわけでよくお使いに来てくれる少年の方がまず傭兵である彼のすごさを知っていた。むしろ、次はいつ来るのかな、話とか聞けないかなとワクワクドキッしてて。
「いつまでお使いに行ってるのさ」
「あっ、ごめん」
そうやって探されに来るまで話をするのだった。
ポツポツ
そんな風に雨が振りだしてきた。
少し寒さを感じて、一枚羽織ることにしたのだが。
「向こうも寒いのかしらね」
彼女はそう呟いた。
「支払いは確かに」
傭兵は命をかけた職業なので、金払いはしっかりとしている。
むしろ、お金を受け持つ役は、傭兵の中でも腕っぷしはいいほうであった。
「今回は安くしてくれっていうところじゃなくて良かったですね」
「最近はそういう話が多かったからな」
「しかし、また、豪気といいますか…」
「うちの仕事が終わったら、きな臭いものに変わるだろうな」
「あぁ、なるほど」
金の流れから先をある程度読んでいるようだ。
「それで、また手紙は頼むんですか?」
「戻ってきたら持っていってもらう」
「ずいぶんと入れあげてますね」
「そうか?安く済まそうとしているとは思うが」
「安くね~」
「おかしいか?」
「私にはそこまでの先は見えませんから」
「でも実際に問題だろ?」
「そうですね、我々にとって夜目が利く人間というのは、大事な存在ですから」
「そうだ、それが里で生まれなくなったら大問題だ」
寒村でも何とか自然と上手くやっていけたのは、夜目を利く人間がその視力で、山の幸などを見つけていったことが大きかった。
それが傭兵という仕事で財をなしたまでは良かった。
嫁も他の地域から迎えることが出来たり、そこまでは…
夜目は遺伝的なもので、両親が夜目を持っていたとしても、上手く引き継ぐことが出来ないことが途中でわかった。
「理想は夜目持ちの家から嫁を取るということだが、そもそも夜目持ちがうちの里以外にはほとんどいなかったからな」
縁談が来たので結婚しても、特性が引き継がれないので、そうなると、夜目が利く傭兵だからこそ強いのにという話だ。
「たまにいても、そういうところって女性が少ないですからね」
労働力にならないかららしい。
「そういう意味では、あの商いを任せられている彼女の家がそうだって言われたらな、是非ともほしいしな」
「裏取りしたら、本当にそうでしたから、さすがにビックリしました」
「そりゃあな、あれで男兄弟の方も夜目として優秀ならな」
そうあの彼女には男兄弟はいるのだ。
「普通の人とほぼ変わらない夜目だと、意味ないですよ」
男親の特性がそのまま子供の夜目は出てしまうので、彼女の男兄弟だと、傭兵の里は婿にもらうが不可能である。
「ただ彼女の男兄弟に夜目が出ているということは、高い確率で夜目の子供が生まれてくれるから」
男子だったらほぼ父親の夜目を引き継ぐ、女子だと確率は落ちるのだが。
「遠方出身者の血を引いているってだけで、里でモテるの決定ですからね」
血というのは近すぎてもダメ。
「もしもそうでなくても、この間昆布持ってきただろう?」
何持ってるの?
昆布です。
昆布!?
「あの商売の腕を考えたら、お釣りが来るぞ」
「確かにそうですね」
いつもお土産くださるの悪いわ、何かお返しに…
「多少人を寄せ付けないところがあるような女性と聞いてますが、もう諦めて幸せになってくれませんかね」
「それはそうだが、そういう口説き文句がささっと出てくるような奴じゃないからな」
そういう理由もあって、また無事に戻ってきたら手紙を持たせるつもりだ。この時、そのままでいこうものならば、そういうときは贈り物の一つ携えてと苦言を呈するものなのだが。
「すいません、贈り物で、落ち着いた感じの浮かべた微笑みに癒しを感じる女性向けに何かいいものはありませんか?」
ちゃんとそういうのは探してきているので、様子を見守るだけである。
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