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思い込みで絶望するのはちょっと違う
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いい匂いがする。
あぁ、そうか、黒舌さんのところで寝ちゃったのか。
「おはよう、Tさん」
竜蛇の黒舌さんは器用だなと思う。
俺は黒舌さんのひんやりとした胴を枕にしてた、体は長いので、上半身で炊事をしてたようだ。
「豚汁とご飯ですが食べるかい?」
「食べる、食べる、いい匂いですね」
「近所の商店街では三日になると豚汁を毎年振る舞っていたのだが、ほら数年前になくなったからさ」
「あれでも今年は~」
「前と作る人が変わったみたいなんだよね」
そういうと味見して。
「ご飯も炊き上がっているよ」
「わ~い」
ただいま食事中。
「今日はこれからどうするんですか?」
「ちょっと事件があってね、関係社宅に訪問しに行かなきゃならないんだ」
「そのままのお姿で?」
「さすがに化けるよ」
「じゃあ僕も行きます」
「そうかい」
ブロロロ~
バスから降りてきたのは老婦人と孫のお嬢さんなのだが、その訪問については非常に暗い話を説明しなければならないので、省略をしよう。
この老婦人は黒舌さんで、孫のお嬢さんはTさん。
バスはその訪問先から乗ってきたもので、降りて、角を曲がるタイミングで元の姿に戻る。
「ご家族は…大変そうでした」
「うん、そうだね。私はあなたについてきてもらうのはどうかなって思ったんだ、でも一緒に来てくれてよかったよ」
「あなたは、苦しみを自分だけで背負っちゃうからいけないんです」
「それはわかっているんだけどもね」
「手を繋いで帰りましょう」
「そんなに子供に見えるかな」
「いいんです、いいんです、今日ぐらいはね」
ちょっと困ったような顔を黒舌さんはしてた。
「黒舌さんって、あんまり自分が好きじゃないの?」
「そういうところはあると思うよ、もっと力があったらなって」
「黒舌さんは頑張っていると思うよ」
「頑張っているだけじゃ上手く行かないことっていうのはあるんだよ」
「それはわかるけどもさ」
Tさんの住むとされるマンションの敷地内、そこで自宅の部屋まで向かって、そこから黒舌さんの寝床に作られた居住空間に戻ってくる。
「なんかもうこっちが落ち着く」
「まあ、この辺でこの広さはなかなかないよね」
「荷物も置かせてもらっているから、助かってるよ。本とか買いたくても置場所がなくて」
「本は読むのかい?」
「昔は、地元の本屋も少なくなったから、本屋の中を歩くだけでも好きです、背表紙を読んでいるだけでおもしろくて」
「末はなんとやらに君はなるんじゃないかな」
「そうですかね」
「そうだよ、頭がいいのならばそれを活かした方がいいよ」
「…そうですね」
黒舌さんは竜蛇のこたつサイズになってた。
「正直今日の出来事は、私だけだったら、落ち込んでいただろうなって思うよ。あっ、お茶飲むかい?」
「俺も手伝いますよ」
食器棚には、お客さんのものも揃っているが、Tさんは部屋から自分のものを持ってきてた。
「お茶はこれでいい?」
「お願いします」
お湯をわかして、もうこたつからしばらくでないぞというつもりで、こたつの上や周囲に準備をした。
「そういえば体の方はどうだい?」
「その~なんでも若いですね、徹夜もいけるんじゃないかって」
「その気持ちはわからなくもないけども、それを繰り返すと体にはあんまりよくないから」
「はい、気を付けます」
「せっかくそうなったんだから、人生をちょっと良い方向に変えてみればいいよ」
「黒舌さんは、異類婚とか興味はありますか?」
「異類…まあ、私と同類がそもそもいるんかい?っていう話だから、結婚するのならばみんな異類婚になるんじゃないの」
「そうですか、ちょっと興味で聞きました」
「興味ね」
「腰痛とか体の疲れとかに悩まされなくなったから、その分頑張って資格を取ろうかなって」
コンコン
その時ノックの音がした。
「これはお供えですね」
「お供え」
「ちょっと行ってきます」
ニョロニョロっと黒舌さんが、そうだ、この居住空間は基本的に、俺の部屋に繋げてあるけども、裏口から戻ってきてるから…いまのは玄関じゃないか?
こたつから出て、廊下に、人間の住居に似せた作りなのはTさんがいるからであって。
「みかん持ってきたんで」
箱をチラッと見せると。
「みかん!みかん!」
竜蛇は喜んでいる。
そこでTさんはみかん持ってきた男性と目があった。
「誰!」
「おおっと、こちらはTさんもう少しで犠牲者になるところを助けました」
「それはまた良かったですな」
「Tさんこちらは、数少ない私にお供えしてくれる人、商店街の青年部の人ですね」
「酒屋やってます」
「あっ、ということはあの杉玉が飾ってある?」
「そうです、そうです、お酒を御入り用でしたら、ぜひ当店へ」
営業トークをした後にそのまま帰っていった。
「地域に根差している」
「ありがたいことだよ、きちんと生きてきたお陰だね」
「引きこもりなのに?」
「引きこもりだけどもさ、頑張ってるんだ」
「そこまで頑張らなくてもいいのに、思い詰めた顔をしてたら、上手く行くものだっていかないよ」
「そうなんだけどもね」
「みかんさ、食べようよ」
「そうだね」
Tさんはみかんの箱を持ち上げた。
「これちょっと高いみかんだよ」
選ばれし果実とか書いてある。
「う~ん申し訳ない、ちょこっと加護を増やしておくか」
「そんな事ができるんですね」
「ただ最初からできているわけではなくて、使える加護も労働した分だけ使える、分けれるって感じなんだよな」
「世知辛いシステムなんですね」
「それでも私は結構蓄えているし、減らないように回復させているから、そこまで今後は困らないとは思うんだけども、一回に出せる力が弱いんだよな」
だから連打します。
「連打…」
「連打は可能なんで」
その代わり体力が先に尽きるので、その改善がない限りは、体力ゲージ依存となってる。
「正直うちらって、親から力の使い方習うってわけではないんだよ、だから力の使い方を自分で覚えなきゃいけないんだ」
「他に教えてもらえるあてとかは?」
「そもそも個体としてオリジナル過ぎるんだよ、だからさっきもいったじゃん、私と同じ種族はおそらくいないから、結婚するということは異類婚になるってやつ」
「あ~」
「力の使い方の追及っていうのかな、この気持ちがあるかどうかでその後の伸び方が違うんだよね」
「黒舌さんはどんな感じなんですか?」
「人と生活圏を共にする、近いのだから、上手くやっていきたいと思ってるよ」
「そうなんだ」
「そうだよ、人間は私のことはあんまり好きではなくてもね」
「好きでしょうよ、だから大丈夫ですよ」
「そうだろうか?でもね、愛されているとかは思わない方がいいんだよ、そういうのおごるというのは怖いことだから」
「黒舌さんなら大丈夫、そんなに言うなら、僕もお供えとかしますから」
「いいよ、無理しなくても」
「えっ、でも黒舌さんにはお世話になってますし」
「みんなが元気で暮らしてくれればいいと思うよ」
「僕は黒舌さんが助けてくれなかったら、あのマンションの犠牲者になってたと思いますし」
「あのマンションな、本当にどうにかしろよ~」
「住人は後○人ってカウントあった方がいいんじゃないですかね」
「ホラー映画じゃん」
「ですね、でもホラー映画よりも、僕にとっては身近なホラーって感じですがね」
「呑気だな、あのタイプは犠牲者を出すとその分パワーアップしますってやつで、最終的には私か、私のような存在を狙ってるんだよな」
「それはどうして?」
「得られるものが違うから、人よりは滋養があるって感じなので」
「黒舌さんが狙われないようにするには?」
「それこそ、他の神等が狙われるとかじゃないかな、ようはあそこの六階の部屋から出ても勝てるような強さがほしいので」
「あ~」
「ただまあ、その瞬間、目をつけられるだろうね」
えっ?何?こいつ気に入らない。
「殺伐としているな」
「してるよ、人がいるから、喧嘩しないだけであって、人を害するようになったら、周囲は敵だらけ、今は雑魚扱いだから見逃してもらっているんだけどもね、それがわかってないんだよ」
「頭はいいんですね」
「たぶんね、だからマンションから引っ越しする人が出るたびに、インターホン鳴らして、出てくれないかなって」
「あれって意味はあるんですか?」
「あるよ、出た瞬間、それこそ、その目をつけられる、目をつけてくる奴等の目に止まるから、そうじゃなくても、あいつはインターホン鳴らしても出てこない卑怯もの扱いになってるから、地味に好感度下がってるし、私が歌っているのも知ってるからな」
黒舌さんは破滅の歌を六階のその部屋に住んでいる、人ではないものに歌ってる。
「緩く、逃げ場がないようにはしている、Tさんにとっては手ぬるいって思われそうだが」
「そんなことは、だって人間じゃあれはどうしようもないでしょ?」
「あれは元は人間だろうけどもね、もはや名前を知るものはいないぐらいになってる」
「それはまた」
「元は人間だったから、その時を模倣しているんだよ、その模倣の仕方がさ…」
「悪意があると」
「あれは悪意しかないよ、その手で襲って、命を食らおうとしている。Tさんもさ、こっちの世界に片足をズボッとしているから忠告はしておくよ、ああいう味を覚えてはいけない」
その言い方にゾクッとする。
「ヨモツヘグイですか」
「あぁ、それかな、他の世界の食べ物を口にしてはいけないって」
「今、食事をしているときにする話ではないですがね」
「これはスーパーで気になった新製品だからセーフ!」
「この時期のイチゴフェアはちょっと弱いですよね」
「わかる!」
話を戻して。
「よく知られている伝承などに詳しいのはいいことだと思うよ」
「子供の時図書館通ってて良かった」
「ヨモツヘグイの話が出たけども、最近だと吸血鬼のなり方も、昔のように首筋を噛む以外でもなるそうだから」
「えっ?なんです?感染症みたいに血を媒介してとか?」
「ええっと人様のお金を奪った人を経済用語で吸血鬼みたいな表現をするから、そこからなる場合がある、それもヨモツヘグイの一種だね、人が本来味わってはいけないものを、味わってしまったからっていう」
「これから吸血鬼増えそうじゃありませんか?」
「そうなんだよな、好きなものを食べて、好きなように生きる、人はそういう体の作りはしてないから、長期間そんな生活はできないんだが…変異しちゃう場合はあるんだよ」
最近、朝とかダルいから夜まで寝ちゃうを
なんか飯食うのとかかったるから、酒ばっか、ワインとかうめーって飲んでるよ。
「でもまあ、人であるうちは、人として扱われるんだけどもさ、変異した瞬間に怖い人たちがやって来るものさ」
どーも、君がいつなるのかなって、見かけたときから目をつけてました。
「サナギから羽化した時は羽根が柔らかいから、そこを狙ってくるんだよ」
いや~助かったよ、帰省ラッシュにぶつからないでくれてさ、年始年末にそうなったらどうしようかと思ってました!
「世知辛い」
「だけども、そこを狙うのが手っ取り早いんだよ、逃げようがないから」
「サナギの中では、どんな夢を見ているですかね?」
「きっとろくでもない夢だよ、衝動的に生きるというか、嘘がつけなくなるとも言うんだよね」
「嘘ですか?」
「人からそうなった場合って、もう我慢しなくていいんだなって気づくらしいんだよ」
「あぁ、それはすごくわかる」
「わかっちゃダメだよ、それに染まれば君でさえ、例外では無くなってしまうよ」
「僕の場合は、黒舌さんにもう若い状態に戻されている、疲労の予防ができてますからね、この二つがあると、それこそ世界がクリアに見える」
「クリアに見えたら、どうするの?」
「ちょっと恋でもしてみようかなって思ってて」
「それはいいことだと思うよ」
「!…ですよね」
「あなたは人なんだよ」
「けどもね、人というのは結構現状維持に甘んじないところはあるんですよね」
「それは…わかる」
「でしょ?」
「蛇というのは再生を期待するところがあるから、悪いところがよくなりますように、そういう祈りが来るからさ。そういうのが来てからかな、人間と言うのは怪我をしたら治らない場所も多いんだなって」
そういう体の違いから地味に黒舌さんはショックを受けたのだという。
「私はやはり人とは遠い存在なんだなって」
「でももう少しじゃないですかね」
「もう少し?」
「ほら」
そういって端末から情報を見せてくれた。
「今日も研究している人がいるんです、一日でも早く患者さんを治したいって思ってる人がね。確かにその人たちに任せっきりにするのもちもっと違うけど、思い込みで絶望するのはちょっと違うかな」
「うん、そうだね、私頑張るね」
「心が折れそうになったら、僕を呼んでくださいよ」
「それはお仕事の時もあるからちょっと無理かもしれないね」
「え~」
「でも代わりにTさんを思い出すことにするよ」
それならいいかなと思いながらも。
「それでも出来れば聞いてください」
「えっ、はい」
距離をどんどんつめていく。
あぁ、そうか、黒舌さんのところで寝ちゃったのか。
「おはよう、Tさん」
竜蛇の黒舌さんは器用だなと思う。
俺は黒舌さんのひんやりとした胴を枕にしてた、体は長いので、上半身で炊事をしてたようだ。
「豚汁とご飯ですが食べるかい?」
「食べる、食べる、いい匂いですね」
「近所の商店街では三日になると豚汁を毎年振る舞っていたのだが、ほら数年前になくなったからさ」
「あれでも今年は~」
「前と作る人が変わったみたいなんだよね」
そういうと味見して。
「ご飯も炊き上がっているよ」
「わ~い」
ただいま食事中。
「今日はこれからどうするんですか?」
「ちょっと事件があってね、関係社宅に訪問しに行かなきゃならないんだ」
「そのままのお姿で?」
「さすがに化けるよ」
「じゃあ僕も行きます」
「そうかい」
ブロロロ~
バスから降りてきたのは老婦人と孫のお嬢さんなのだが、その訪問については非常に暗い話を説明しなければならないので、省略をしよう。
この老婦人は黒舌さんで、孫のお嬢さんはTさん。
バスはその訪問先から乗ってきたもので、降りて、角を曲がるタイミングで元の姿に戻る。
「ご家族は…大変そうでした」
「うん、そうだね。私はあなたについてきてもらうのはどうかなって思ったんだ、でも一緒に来てくれてよかったよ」
「あなたは、苦しみを自分だけで背負っちゃうからいけないんです」
「それはわかっているんだけどもね」
「手を繋いで帰りましょう」
「そんなに子供に見えるかな」
「いいんです、いいんです、今日ぐらいはね」
ちょっと困ったような顔を黒舌さんはしてた。
「黒舌さんって、あんまり自分が好きじゃないの?」
「そういうところはあると思うよ、もっと力があったらなって」
「黒舌さんは頑張っていると思うよ」
「頑張っているだけじゃ上手く行かないことっていうのはあるんだよ」
「それはわかるけどもさ」
Tさんの住むとされるマンションの敷地内、そこで自宅の部屋まで向かって、そこから黒舌さんの寝床に作られた居住空間に戻ってくる。
「なんかもうこっちが落ち着く」
「まあ、この辺でこの広さはなかなかないよね」
「荷物も置かせてもらっているから、助かってるよ。本とか買いたくても置場所がなくて」
「本は読むのかい?」
「昔は、地元の本屋も少なくなったから、本屋の中を歩くだけでも好きです、背表紙を読んでいるだけでおもしろくて」
「末はなんとやらに君はなるんじゃないかな」
「そうですかね」
「そうだよ、頭がいいのならばそれを活かした方がいいよ」
「…そうですね」
黒舌さんは竜蛇のこたつサイズになってた。
「正直今日の出来事は、私だけだったら、落ち込んでいただろうなって思うよ。あっ、お茶飲むかい?」
「俺も手伝いますよ」
食器棚には、お客さんのものも揃っているが、Tさんは部屋から自分のものを持ってきてた。
「お茶はこれでいい?」
「お願いします」
お湯をわかして、もうこたつからしばらくでないぞというつもりで、こたつの上や周囲に準備をした。
「そういえば体の方はどうだい?」
「その~なんでも若いですね、徹夜もいけるんじゃないかって」
「その気持ちはわからなくもないけども、それを繰り返すと体にはあんまりよくないから」
「はい、気を付けます」
「せっかくそうなったんだから、人生をちょっと良い方向に変えてみればいいよ」
「黒舌さんは、異類婚とか興味はありますか?」
「異類…まあ、私と同類がそもそもいるんかい?っていう話だから、結婚するのならばみんな異類婚になるんじゃないの」
「そうですか、ちょっと興味で聞きました」
「興味ね」
「腰痛とか体の疲れとかに悩まされなくなったから、その分頑張って資格を取ろうかなって」
コンコン
その時ノックの音がした。
「これはお供えですね」
「お供え」
「ちょっと行ってきます」
ニョロニョロっと黒舌さんが、そうだ、この居住空間は基本的に、俺の部屋に繋げてあるけども、裏口から戻ってきてるから…いまのは玄関じゃないか?
こたつから出て、廊下に、人間の住居に似せた作りなのはTさんがいるからであって。
「みかん持ってきたんで」
箱をチラッと見せると。
「みかん!みかん!」
竜蛇は喜んでいる。
そこでTさんはみかん持ってきた男性と目があった。
「誰!」
「おおっと、こちらはTさんもう少しで犠牲者になるところを助けました」
「それはまた良かったですな」
「Tさんこちらは、数少ない私にお供えしてくれる人、商店街の青年部の人ですね」
「酒屋やってます」
「あっ、ということはあの杉玉が飾ってある?」
「そうです、そうです、お酒を御入り用でしたら、ぜひ当店へ」
営業トークをした後にそのまま帰っていった。
「地域に根差している」
「ありがたいことだよ、きちんと生きてきたお陰だね」
「引きこもりなのに?」
「引きこもりだけどもさ、頑張ってるんだ」
「そこまで頑張らなくてもいいのに、思い詰めた顔をしてたら、上手く行くものだっていかないよ」
「そうなんだけどもね」
「みかんさ、食べようよ」
「そうだね」
Tさんはみかんの箱を持ち上げた。
「これちょっと高いみかんだよ」
選ばれし果実とか書いてある。
「う~ん申し訳ない、ちょこっと加護を増やしておくか」
「そんな事ができるんですね」
「ただ最初からできているわけではなくて、使える加護も労働した分だけ使える、分けれるって感じなんだよな」
「世知辛いシステムなんですね」
「それでも私は結構蓄えているし、減らないように回復させているから、そこまで今後は困らないとは思うんだけども、一回に出せる力が弱いんだよな」
だから連打します。
「連打…」
「連打は可能なんで」
その代わり体力が先に尽きるので、その改善がない限りは、体力ゲージ依存となってる。
「正直うちらって、親から力の使い方習うってわけではないんだよ、だから力の使い方を自分で覚えなきゃいけないんだ」
「他に教えてもらえるあてとかは?」
「そもそも個体としてオリジナル過ぎるんだよ、だからさっきもいったじゃん、私と同じ種族はおそらくいないから、結婚するということは異類婚になるってやつ」
「あ~」
「力の使い方の追及っていうのかな、この気持ちがあるかどうかでその後の伸び方が違うんだよね」
「黒舌さんはどんな感じなんですか?」
「人と生活圏を共にする、近いのだから、上手くやっていきたいと思ってるよ」
「そうなんだ」
「そうだよ、人間は私のことはあんまり好きではなくてもね」
「好きでしょうよ、だから大丈夫ですよ」
「そうだろうか?でもね、愛されているとかは思わない方がいいんだよ、そういうのおごるというのは怖いことだから」
「黒舌さんなら大丈夫、そんなに言うなら、僕もお供えとかしますから」
「いいよ、無理しなくても」
「えっ、でも黒舌さんにはお世話になってますし」
「みんなが元気で暮らしてくれればいいと思うよ」
「僕は黒舌さんが助けてくれなかったら、あのマンションの犠牲者になってたと思いますし」
「あのマンションな、本当にどうにかしろよ~」
「住人は後○人ってカウントあった方がいいんじゃないですかね」
「ホラー映画じゃん」
「ですね、でもホラー映画よりも、僕にとっては身近なホラーって感じですがね」
「呑気だな、あのタイプは犠牲者を出すとその分パワーアップしますってやつで、最終的には私か、私のような存在を狙ってるんだよな」
「それはどうして?」
「得られるものが違うから、人よりは滋養があるって感じなので」
「黒舌さんが狙われないようにするには?」
「それこそ、他の神等が狙われるとかじゃないかな、ようはあそこの六階の部屋から出ても勝てるような強さがほしいので」
「あ~」
「ただまあ、その瞬間、目をつけられるだろうね」
えっ?何?こいつ気に入らない。
「殺伐としているな」
「してるよ、人がいるから、喧嘩しないだけであって、人を害するようになったら、周囲は敵だらけ、今は雑魚扱いだから見逃してもらっているんだけどもね、それがわかってないんだよ」
「頭はいいんですね」
「たぶんね、だからマンションから引っ越しする人が出るたびに、インターホン鳴らして、出てくれないかなって」
「あれって意味はあるんですか?」
「あるよ、出た瞬間、それこそ、その目をつけられる、目をつけてくる奴等の目に止まるから、そうじゃなくても、あいつはインターホン鳴らしても出てこない卑怯もの扱いになってるから、地味に好感度下がってるし、私が歌っているのも知ってるからな」
黒舌さんは破滅の歌を六階のその部屋に住んでいる、人ではないものに歌ってる。
「緩く、逃げ場がないようにはしている、Tさんにとっては手ぬるいって思われそうだが」
「そんなことは、だって人間じゃあれはどうしようもないでしょ?」
「あれは元は人間だろうけどもね、もはや名前を知るものはいないぐらいになってる」
「それはまた」
「元は人間だったから、その時を模倣しているんだよ、その模倣の仕方がさ…」
「悪意があると」
「あれは悪意しかないよ、その手で襲って、命を食らおうとしている。Tさんもさ、こっちの世界に片足をズボッとしているから忠告はしておくよ、ああいう味を覚えてはいけない」
その言い方にゾクッとする。
「ヨモツヘグイですか」
「あぁ、それかな、他の世界の食べ物を口にしてはいけないって」
「今、食事をしているときにする話ではないですがね」
「これはスーパーで気になった新製品だからセーフ!」
「この時期のイチゴフェアはちょっと弱いですよね」
「わかる!」
話を戻して。
「よく知られている伝承などに詳しいのはいいことだと思うよ」
「子供の時図書館通ってて良かった」
「ヨモツヘグイの話が出たけども、最近だと吸血鬼のなり方も、昔のように首筋を噛む以外でもなるそうだから」
「えっ?なんです?感染症みたいに血を媒介してとか?」
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「これから吸血鬼増えそうじゃありませんか?」
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最近、朝とかダルいから夜まで寝ちゃうを
なんか飯食うのとかかったるから、酒ばっか、ワインとかうめーって飲んでるよ。
「でもまあ、人であるうちは、人として扱われるんだけどもさ、変異した瞬間に怖い人たちがやって来るものさ」
どーも、君がいつなるのかなって、見かけたときから目をつけてました。
「サナギから羽化した時は羽根が柔らかいから、そこを狙ってくるんだよ」
いや~助かったよ、帰省ラッシュにぶつからないでくれてさ、年始年末にそうなったらどうしようかと思ってました!
「世知辛い」
「だけども、そこを狙うのが手っ取り早いんだよ、逃げようがないから」
「サナギの中では、どんな夢を見ているですかね?」
「きっとろくでもない夢だよ、衝動的に生きるというか、嘘がつけなくなるとも言うんだよね」
「嘘ですか?」
「人からそうなった場合って、もう我慢しなくていいんだなって気づくらしいんだよ」
「あぁ、それはすごくわかる」
「わかっちゃダメだよ、それに染まれば君でさえ、例外では無くなってしまうよ」
「僕の場合は、黒舌さんにもう若い状態に戻されている、疲労の予防ができてますからね、この二つがあると、それこそ世界がクリアに見える」
「クリアに見えたら、どうするの?」
「ちょっと恋でもしてみようかなって思ってて」
「それはいいことだと思うよ」
「!…ですよね」
「あなたは人なんだよ」
「けどもね、人というのは結構現状維持に甘んじないところはあるんですよね」
「それは…わかる」
「でしょ?」
「蛇というのは再生を期待するところがあるから、悪いところがよくなりますように、そういう祈りが来るからさ。そういうのが来てからかな、人間と言うのは怪我をしたら治らない場所も多いんだなって」
そういう体の違いから地味に黒舌さんはショックを受けたのだという。
「私はやはり人とは遠い存在なんだなって」
「でももう少しじゃないですかね」
「もう少し?」
「ほら」
そういって端末から情報を見せてくれた。
「今日も研究している人がいるんです、一日でも早く患者さんを治したいって思ってる人がね。確かにその人たちに任せっきりにするのもちもっと違うけど、思い込みで絶望するのはちょっと違うかな」
「うん、そうだね、私頑張るね」
「心が折れそうになったら、僕を呼んでくださいよ」
「それはお仕事の時もあるからちょっと無理かもしれないね」
「え~」
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