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よう噛んで飯上がってください
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「…」
説明を聞いたあと、こっちを見られている。
「あ~ええっと、いいですか?」
「うん、どうぞ」
「さっきの説明聞いてわかりました?俺は聞いてもわからなかった」
「大丈夫、あれはわからない」
「ですよね」
「休憩入れよう、もう少しで飯の時間でもあるし」
そこで時間を確認したところ。
「今日の珈琲が、ラテでいいかって?」
「全然いいっすよ」
「北海道産の濃いめの牛乳使ったものだって」
「届けられるのが楽しみですね」
そうはいってたが、心は全く晴れてないようだった。
今日は朝からそばを打つ。
「どのぐらいに注文が来るのか、わからないからちょっとだけね」
ちょっとだけ?ちょっとだけ蕎麦を打つ?
「そういうときは今日来るお客さんに、事前に蕎麦の人だけでも連絡入れてもらってよ」
フル蕎麦なのか、半そばなのかて違う。
昼前に今日は出前なので、サンドイッチにする。
食べやすいサイズのものを、ラップを巻いていく、これならばすぐに食べれて、手も汚れにくいからだ。
これを大家族のオードブルサイズの容器につめて、カフェラテと一緒に。
「じゃあ行ってきます」
「お願いね」
大将の奥さんがすぐそばの会社、その受付まで届けに行くのである。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「年越蕎麦いただきにきましたよ」
「座って、座って、まだ忙しい時間じゃないから、ゆっくりしていって」
そういって大将はお茶と羊羮を出した。
「よう噛んで飯上がってください」
「あっ、はい」
渾身のギャグがわかってもらえなかった。
「お蕎麦は海老天つけてもいい?」
「むしろなんでただのお蕎麦としか書かれてない、お買い得値段のメニューに海老がつくんですか?」
「それは…うちの店だからかな」
「そういわれると、返す言葉が無くなる」
大将は海老天を揚げ始めた。
「すいません~」
お店の名前を告げると、常連さんがお金を持った封筒を片手にやってきて。
「お会計はこれね」
「あっ、お釣りは?」
「いいの、とっておいて、今時こうして宅配してもらっているのに、店内と同じ料金なわけだし」
「でも…」
「大丈夫、この年始年末の出勤、俺らはきちんといい感じに手当てもらっているし、うちの奴等は美味しいご飯でやる気も出てくれているわけだ。というか、これは俺だけじゃなくて、俺らからってことで」
「ではいただきます、またご注文お願いしますね」
「もちろんさ」
そういってサンドイッチとカフェラテのポットを持って、修羅場に戻っていく。
「あっ、ポットは私たちがいなかったら、店の前に置いておいてくださいよ」
そういうと、ポットを少し持ち上げて反応した。
「はい、海老天蕎麦お待たせしました」
「うわ…」
汁の湯気がなんか嬉しくもある。
「天ぷら別盛りなのは意味があるんですか?」
「あぁ、それね、衣に秘密があるから、最初から乗せるよりは、半分ぐらい食べてからのせてもらいたいなって」
でもまずはサクッと食べる。
(?)
普通の天ぷらより海老が濃厚なような、いや、衣も味つきだから、クリーミーな気がするが。
蕎麦と合わせてみる。
(!)
気づいたところで、そのまま一食べ終えることを優先とする。
「これって衣、バターが使われている」
「正確に乳製品を色々ってところだね、だからホワイトソースが隠し味の天ぷらなんで、お汁も単独で食べても合うし、この天ぷらを乗せて、味変も楽しめるって言う作りにしたって感じだね」
「大将、天才」
「その言葉、定期的にお願いするよ」
「大将、天才!」
「とりあえず、考えたんですがね。あの仕様を応えられる人はどこにいるんですか?って話ですよ」
サンドイッチを食べながら、意見交換。
「まずうちじゃ引き受けれないな、担当者になるとしたら、お前さんだし。それがダメとか、わからないとか言葉が出ているのならば、どこにできるやつはいるんだろうねって話だしな」
「時間ギリギリまでは考えますがね」
「そこまで背負わなくてもいいさ、無茶な要求を答える必要はない」
「そうなんですが、もう一つそれを解決してみたいと言う維持もあるんですよね」
「それもわかるがな」
ここで笑いが出てきた。
「今日は仕事終わったらどうするの?」
「何時に終わるかっすね、なんか食べれるもの買えたらいいかって」
「それなら、時間決めて切り上げるか?」
「えっ?」
「そのぐらいの融通ぐらいは利くさ、よければこのポットも返しに行くから、蕎麦でもどうだ?」
「…」
「なんだよ」
「この仕事、ほぼインターンからかな、年越しそばをゆっくりと食べること、無縁だったなっ…」
「あぁ、それならば尚更だ。ここの店、蕎麦の予約しているしさ」
「えっ?当日ですよ」
「ここの店長な、蕎麦を自分で打つんでな、ほらここにも書いている」
本日は年越しそばがあります、店長自ら打ったものです。
注文されるかたは、店に来る前に蕎麦の予約してくれるとお待たせする時間が少なくてすみます。
「前に蕎麦を打つところから見たことあるけども、粉があればなんとかなりますって言ってたからな」
混ぜて→こねて→のばして→切って→茹でて…
「さぁ召し上がってってやつだな」
「じゃあ、ちょっと贅沢しようかな」
年始年末に出勤する人たちは、手当て目的のために、こういうタイプは実は多い。
これからどうなるかわからないからこそ、今を楽しむ、そういうことも大事ではないだろうか。
今年も一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
説明を聞いたあと、こっちを見られている。
「あ~ええっと、いいですか?」
「うん、どうぞ」
「さっきの説明聞いてわかりました?俺は聞いてもわからなかった」
「大丈夫、あれはわからない」
「ですよね」
「休憩入れよう、もう少しで飯の時間でもあるし」
そこで時間を確認したところ。
「今日の珈琲が、ラテでいいかって?」
「全然いいっすよ」
「北海道産の濃いめの牛乳使ったものだって」
「届けられるのが楽しみですね」
そうはいってたが、心は全く晴れてないようだった。
今日は朝からそばを打つ。
「どのぐらいに注文が来るのか、わからないからちょっとだけね」
ちょっとだけ?ちょっとだけ蕎麦を打つ?
「そういうときは今日来るお客さんに、事前に蕎麦の人だけでも連絡入れてもらってよ」
フル蕎麦なのか、半そばなのかて違う。
昼前に今日は出前なので、サンドイッチにする。
食べやすいサイズのものを、ラップを巻いていく、これならばすぐに食べれて、手も汚れにくいからだ。
これを大家族のオードブルサイズの容器につめて、カフェラテと一緒に。
「じゃあ行ってきます」
「お願いね」
大将の奥さんがすぐそばの会社、その受付まで届けに行くのである。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「年越蕎麦いただきにきましたよ」
「座って、座って、まだ忙しい時間じゃないから、ゆっくりしていって」
そういって大将はお茶と羊羮を出した。
「よう噛んで飯上がってください」
「あっ、はい」
渾身のギャグがわかってもらえなかった。
「お蕎麦は海老天つけてもいい?」
「むしろなんでただのお蕎麦としか書かれてない、お買い得値段のメニューに海老がつくんですか?」
「それは…うちの店だからかな」
「そういわれると、返す言葉が無くなる」
大将は海老天を揚げ始めた。
「すいません~」
お店の名前を告げると、常連さんがお金を持った封筒を片手にやってきて。
「お会計はこれね」
「あっ、お釣りは?」
「いいの、とっておいて、今時こうして宅配してもらっているのに、店内と同じ料金なわけだし」
「でも…」
「大丈夫、この年始年末の出勤、俺らはきちんといい感じに手当てもらっているし、うちの奴等は美味しいご飯でやる気も出てくれているわけだ。というか、これは俺だけじゃなくて、俺らからってことで」
「ではいただきます、またご注文お願いしますね」
「もちろんさ」
そういってサンドイッチとカフェラテのポットを持って、修羅場に戻っていく。
「あっ、ポットは私たちがいなかったら、店の前に置いておいてくださいよ」
そういうと、ポットを少し持ち上げて反応した。
「はい、海老天蕎麦お待たせしました」
「うわ…」
汁の湯気がなんか嬉しくもある。
「天ぷら別盛りなのは意味があるんですか?」
「あぁ、それね、衣に秘密があるから、最初から乗せるよりは、半分ぐらい食べてからのせてもらいたいなって」
でもまずはサクッと食べる。
(?)
普通の天ぷらより海老が濃厚なような、いや、衣も味つきだから、クリーミーな気がするが。
蕎麦と合わせてみる。
(!)
気づいたところで、そのまま一食べ終えることを優先とする。
「これって衣、バターが使われている」
「正確に乳製品を色々ってところだね、だからホワイトソースが隠し味の天ぷらなんで、お汁も単独で食べても合うし、この天ぷらを乗せて、味変も楽しめるって言う作りにしたって感じだね」
「大将、天才」
「その言葉、定期的にお願いするよ」
「大将、天才!」
「とりあえず、考えたんですがね。あの仕様を応えられる人はどこにいるんですか?って話ですよ」
サンドイッチを食べながら、意見交換。
「まずうちじゃ引き受けれないな、担当者になるとしたら、お前さんだし。それがダメとか、わからないとか言葉が出ているのならば、どこにできるやつはいるんだろうねって話だしな」
「時間ギリギリまでは考えますがね」
「そこまで背負わなくてもいいさ、無茶な要求を答える必要はない」
「そうなんですが、もう一つそれを解決してみたいと言う維持もあるんですよね」
「それもわかるがな」
ここで笑いが出てきた。
「今日は仕事終わったらどうするの?」
「何時に終わるかっすね、なんか食べれるもの買えたらいいかって」
「それなら、時間決めて切り上げるか?」
「えっ?」
「そのぐらいの融通ぐらいは利くさ、よければこのポットも返しに行くから、蕎麦でもどうだ?」
「…」
「なんだよ」
「この仕事、ほぼインターンからかな、年越しそばをゆっくりと食べること、無縁だったなっ…」
「あぁ、それならば尚更だ。ここの店、蕎麦の予約しているしさ」
「えっ?当日ですよ」
「ここの店長な、蕎麦を自分で打つんでな、ほらここにも書いている」
本日は年越しそばがあります、店長自ら打ったものです。
注文されるかたは、店に来る前に蕎麦の予約してくれるとお待たせする時間が少なくてすみます。
「前に蕎麦を打つところから見たことあるけども、粉があればなんとかなりますって言ってたからな」
混ぜて→こねて→のばして→切って→茹でて…
「さぁ召し上がってってやつだな」
「じゃあ、ちょっと贅沢しようかな」
年始年末に出勤する人たちは、手当て目的のために、こういうタイプは実は多い。
これからどうなるかわからないからこそ、今を楽しむ、そういうことも大事ではないだろうか。
今年も一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
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