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肝ソースの野菜炒めとエゾアワビのバター炊き込みご飯おにぎり
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「いらっしゃい」
「いや~やっぱり休みになったんだな、電車ガラガラだった」
「年始年末ですからね」
常連さんはカウンター席に座った。
「甥や姪も大きくなったし、それでもオジさんの仕事はしなきゃならないが、便利になったよ」
お金とメッセージを送るぐらいだが、仲は良好らしい。
それでは今日のメニューをと、お品書きをみてみると、ピタッと止まる。
「何にしますか?」
「…今日の日替わりは頑張ったね」
「そうなんですよな」
『日替わり エゾアワビ煮定食』
「アワビって高いんだよね」
「それが奥さんが見つけてくれましてね」
「…」
見つけたとき奥さんも止まってた。
「?」
になったところを大将が話しかけると、奥さんの視線の先にはエゾアワビがこんにちわしてた。
日替わりなどは市場などに買い出しに行ったさいに、いいものが見つかると、それであれを作ろうかとなるのであるが、もちろん予算はある。
「むしろ予算がないと、お店がダメになるでしょうよ」
「そうなんですけどもね、でも俺が一人で行くと目移りしちまって、奥さんいないとダメなんです」
いると、あっ、もう俺は一人じゃないんだな、家族のことも考えなくちゃダメなんだなになる。
「仲良くて何より」
「でも俺より前にうちの奥さんとは顔見知りですよね」
常連さんと奥さんは取引先同士だったので顔は知ってた。
「仕事はとんでもなく出来る人だって、担当者の同僚はいってたからな」
「さすがはうちの奥さん、今も形を変えて職場から信頼されているだけはある」
その会社の会議室などでお弁当、こちらが必要になるときの発注を引き受けている
「最初にお話持ってきてくれたときは嬉しかったけどもね」
ただ言われたのは、チャンスは渡せます、だけども物になるかはあなた次第ですと言われていた。
しかし大将はそのチャンスを見事に物にして見せ、今ではこの値段ではこのクオリティでは食べれないから、出来ればずっと引き受けてほしいと言われるまでになってた。
「そりゃあこの店の食事が、昼に食べれたら幸せよ」
「え~そんなこと言ってくれるんですか?嬉しいな。あっ、定食お待たせしました」
「あんがとさん」
「そういえば夜はどうしますか?」
「夜ね、せっかく休みになったんだし、積んでおいたものを片付けようかなって」
「そうですか?それならお持ち帰りしませんか?」
「あ~それでもいいな」
「炊き込みご飯でおにぎり握りますよ」
「そう?じゃあ、お任せで」
「はいはい」
帰宅すると、さっそく自分の楽しみに専念するために準備を始めた。
甥と姪からグループメッセージが届いている。
「おじさん、ありがとう」
「無駄遣いはするなよ」
「これで資格試験のテキスト買える」
そう言われると悪い気がしないのだが、それならばもうちょっと渡せばいいかなとも思うのである。
「おじさん、お祖母ちゃんから、長い休みだからって食事は適当にするなって言ってるよ」
そう言われたので、大将が作ってくれた持ちかえりの写真を送ってやれという気持ちになった。
袋の中には、メニュー名の載っているメモが貼り付けられていた。温めてから撮影したら、写真がくもるがそれはご愛敬だ。
『肝ソースの野菜炒めとエゾアワビのバター炊き込みご飯おにぎり』
「名前だけで凄い旨そうなんだけども」
「ふっふっふっ、旨い」
「おじさんが作ったの?」
「まさか、会社の近くにある、いつも昼御飯食べているお店が、凄い美味しいんだ、そこの」
そういって以前大将の店が紹介された、『飯食べる飯作る』の動画をリンクすると、返信がしばらくなく。
おそらく動画を見てからだろう。
「今度作れていってください」
と土下座のスタンプが甥から来た。
「あの値段で、あんなに美味しそうなものが食べれるのならば、近所に、毎日通いたいです」
「俺はほぼ毎日通っている」
「くっ、おじさんが羨ましい」
甥が本気で悔しそうなのである。
「それなら私も行きたい」
姪も話に乗ってくる。
「こっちに遊びに来るとき、連れていってやるよ」
「わーい」
「わーい」
甥と姪からすると年の離れたお兄ちゃん感覚のようだ。
「そしたらさっそく甥の方が遊びに来るってさ」
「はっはっはっ、その時は事前に言ってくれたら、サービスしますよ」
「そうしてくれる?いいおじさんでいたいから助かるわ」
そういう話を本気にするのが大将なのである。
「何がいいかな、せっかくだし、忘れられない物にしてあげたいな」
キャキャし始めた。
「旬のものを食べさせてあげたいし、う~ん考えるだけで楽しい!」
こういうとき、やっぱり大将の扱いが上手いのは奥さんである。
「しょうがないわね」
そういって大将の気分が上がりすぎる食材を確保してくれた。
「いらっしゃい」
次の日も常連さんはやってきてくれる。
「今日は何します?」
「なんか大将がいつもよりウキウキしている気がする」
「わかりますか!」
「なんかいいことあったの?」
「甥っこさんをね、連れてきてくれるって話あったじゃないですか」
「そう、正月すぎぐらいかな、一回遊びに来るって話をしててさ」
「その時、お出しするもの、決まってて」
「早い、気が早くない?」
話してすぐに動いたしか思えない早さである。
「いや~善は急げっていうじゃないですか?」
「そうだけどもね、で、何が出るの?」
「トキシラズ」
「?」
「半身をね、その時に合わせてお出ししたいなって、お持ち帰りようにおにぎりも出すんで、甥っこさんにお腹すかせてきてもらってくださいね」
「伝えておく」
「お願いします」
食事後に甥にメッセージを送ると。
「そちらのお店にお伺いいたします時には、一週間は身を清め、地元の銘菓と共にお伺いします」
「そこまで畏まらなくていいから」
「だって、おじさん、そのぐらいしないと俺の気がすまないよ」
遠方の地にいる甥の心を、いや胃袋はがっちりと大将はつかんだようである。
「いや~やっぱり休みになったんだな、電車ガラガラだった」
「年始年末ですからね」
常連さんはカウンター席に座った。
「甥や姪も大きくなったし、それでもオジさんの仕事はしなきゃならないが、便利になったよ」
お金とメッセージを送るぐらいだが、仲は良好らしい。
それでは今日のメニューをと、お品書きをみてみると、ピタッと止まる。
「何にしますか?」
「…今日の日替わりは頑張ったね」
「そうなんですよな」
『日替わり エゾアワビ煮定食』
「アワビって高いんだよね」
「それが奥さんが見つけてくれましてね」
「…」
見つけたとき奥さんも止まってた。
「?」
になったところを大将が話しかけると、奥さんの視線の先にはエゾアワビがこんにちわしてた。
日替わりなどは市場などに買い出しに行ったさいに、いいものが見つかると、それであれを作ろうかとなるのであるが、もちろん予算はある。
「むしろ予算がないと、お店がダメになるでしょうよ」
「そうなんですけどもね、でも俺が一人で行くと目移りしちまって、奥さんいないとダメなんです」
いると、あっ、もう俺は一人じゃないんだな、家族のことも考えなくちゃダメなんだなになる。
「仲良くて何より」
「でも俺より前にうちの奥さんとは顔見知りですよね」
常連さんと奥さんは取引先同士だったので顔は知ってた。
「仕事はとんでもなく出来る人だって、担当者の同僚はいってたからな」
「さすがはうちの奥さん、今も形を変えて職場から信頼されているだけはある」
その会社の会議室などでお弁当、こちらが必要になるときの発注を引き受けている
「最初にお話持ってきてくれたときは嬉しかったけどもね」
ただ言われたのは、チャンスは渡せます、だけども物になるかはあなた次第ですと言われていた。
しかし大将はそのチャンスを見事に物にして見せ、今ではこの値段ではこのクオリティでは食べれないから、出来ればずっと引き受けてほしいと言われるまでになってた。
「そりゃあこの店の食事が、昼に食べれたら幸せよ」
「え~そんなこと言ってくれるんですか?嬉しいな。あっ、定食お待たせしました」
「あんがとさん」
「そういえば夜はどうしますか?」
「夜ね、せっかく休みになったんだし、積んでおいたものを片付けようかなって」
「そうですか?それならお持ち帰りしませんか?」
「あ~それでもいいな」
「炊き込みご飯でおにぎり握りますよ」
「そう?じゃあ、お任せで」
「はいはい」
帰宅すると、さっそく自分の楽しみに専念するために準備を始めた。
甥と姪からグループメッセージが届いている。
「おじさん、ありがとう」
「無駄遣いはするなよ」
「これで資格試験のテキスト買える」
そう言われると悪い気がしないのだが、それならばもうちょっと渡せばいいかなとも思うのである。
「おじさん、お祖母ちゃんから、長い休みだからって食事は適当にするなって言ってるよ」
そう言われたので、大将が作ってくれた持ちかえりの写真を送ってやれという気持ちになった。
袋の中には、メニュー名の載っているメモが貼り付けられていた。温めてから撮影したら、写真がくもるがそれはご愛敬だ。
『肝ソースの野菜炒めとエゾアワビのバター炊き込みご飯おにぎり』
「名前だけで凄い旨そうなんだけども」
「ふっふっふっ、旨い」
「おじさんが作ったの?」
「まさか、会社の近くにある、いつも昼御飯食べているお店が、凄い美味しいんだ、そこの」
そういって以前大将の店が紹介された、『飯食べる飯作る』の動画をリンクすると、返信がしばらくなく。
おそらく動画を見てからだろう。
「今度作れていってください」
と土下座のスタンプが甥から来た。
「あの値段で、あんなに美味しそうなものが食べれるのならば、近所に、毎日通いたいです」
「俺はほぼ毎日通っている」
「くっ、おじさんが羨ましい」
甥が本気で悔しそうなのである。
「それなら私も行きたい」
姪も話に乗ってくる。
「こっちに遊びに来るとき、連れていってやるよ」
「わーい」
「わーい」
甥と姪からすると年の離れたお兄ちゃん感覚のようだ。
「そしたらさっそく甥の方が遊びに来るってさ」
「はっはっはっ、その時は事前に言ってくれたら、サービスしますよ」
「そうしてくれる?いいおじさんでいたいから助かるわ」
そういう話を本気にするのが大将なのである。
「何がいいかな、せっかくだし、忘れられない物にしてあげたいな」
キャキャし始めた。
「旬のものを食べさせてあげたいし、う~ん考えるだけで楽しい!」
こういうとき、やっぱり大将の扱いが上手いのは奥さんである。
「しょうがないわね」
そういって大将の気分が上がりすぎる食材を確保してくれた。
「いらっしゃい」
次の日も常連さんはやってきてくれる。
「今日は何します?」
「なんか大将がいつもよりウキウキしている気がする」
「わかりますか!」
「なんかいいことあったの?」
「甥っこさんをね、連れてきてくれるって話あったじゃないですか」
「そう、正月すぎぐらいかな、一回遊びに来るって話をしててさ」
「その時、お出しするもの、決まってて」
「早い、気が早くない?」
話してすぐに動いたしか思えない早さである。
「いや~善は急げっていうじゃないですか?」
「そうだけどもね、で、何が出るの?」
「トキシラズ」
「?」
「半身をね、その時に合わせてお出ししたいなって、お持ち帰りようにおにぎりも出すんで、甥っこさんにお腹すかせてきてもらってくださいね」
「伝えておく」
「お願いします」
食事後に甥にメッセージを送ると。
「そちらのお店にお伺いいたします時には、一週間は身を清め、地元の銘菓と共にお伺いします」
「そこまで畏まらなくていいから」
「だって、おじさん、そのぐらいしないと俺の気がすまないよ」
遠方の地にいる甥の心を、いや胃袋はがっちりと大将はつかんだようである。
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