浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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年始年末も営業する

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「こんにちは」
「あっ、いらっしゃい、この時間は珍しいね。さっ、どうぞ、今日は寒暖差があるからさ、体に気を付けてね。カウンターでいいかな?」
「ありがとうございます」
見た目から大手のエリートといったサラリーマンの彼は、上着を脱いでから、カウンター席に座った。
「年始年末も営業するんですか?」
「するよ~」
大将はそういって準備したサラダを出してきて。
「アレルギーとかあったっけ?ドレッシングを作ったんだけども」
「アレルギーはないので、そのドレッシングで」
「昨日ね、奥さんとお店の買い物を見に行ったら、さすがは年の瀬って感じだったよ、あっ、カレンダーある?良かったら、カレンダーも持っていってね」
そういって日めくりの小さいカレンダーをちらっと見せた。
「では帰りにいただいていきます」
「俺も忘れていると思うから、お会計の時に言ってね」
特製のドレッシングは甘味のある和風。
「定食ていい?」
「お願いします」
「今日はお魚もちょっと大きめ」
「そうなんですか?」
「そうそう、うちの店はお買い物上手だか「」
クリスマス前にチキンを出すことで、値上がりしている時期を避けていたりする。
「また逆に今の時期にチキンを買ったりしているよ、お菓子の材料も安いから、今ね、ケーキ焼いているの」
もう20分ほどで甘い匂いがしてくるのではないだろうか。
「昨日はラーメン作ったとか」
お店の公式アカウントはもちろんチェックしているエリート社員。
「本当にうちのお店好きだね、チャーシュー作れるって思ったら、ラーメンだったね」
このお店の古参常連がご飯を食べに来たとき、ちょうどチャーシューがいい感じになったので、チャーシュー丼もミニをサービス。
「そういうのも全部、アカウントに更新してくださいよ」
「したいんだけどもね、その時お店が忙しくなっちゃって」
チャーシューは真ん中の形が揃っているところを、ラーメンに乗せるので、端は刻んでマヨネーズと合わせてもツマミとしてサービスしたりもしている。
「帰省する人なんかが実家に持っていきたいってことで、この時期は食べに来る人よりもお持ち帰りの人が多いかもしれない」
うちの実家、年始年末とか長い連休って、お袋がすんごい忙しいんですよね。
それでたまたまこのお店、大将が作ってくれたオードブルを持って帰ったら、自分の母親から、久しぶりに座る時間を作れたと言われて。
「正直、田舎の因習なめてましたわ、そこまで気づけない自分がイヤになりました」
そこから定期的に大将の作ってくれるものを実家に持っていくことになる。
「やっぱり大将の作ってくれたものは旨いので」
最初はなんだこれは、お金の無駄じゃないかと言ってた父親を初めとする親戚陣が、食べてから、美味しいことがわかると、せっかくだから食べてやるとするか、もったいないしなどと、余計なことをいいながら食す。
「スゴいところもあるものですね」
「うん、そう思った、俺もこっちの人じゃないから、故郷から修行に来てとかなんだけどもね、うちの田舎はそういう感じではないから、むしろうちは女性陣が強いし」
「そこは地域が出ますよね」
「そうそう」
「年始年末は帰省しないので、こちらに僕は食事をしに来ると思います」
「あっ、そうなの?じゃあ、お腹いっぱい楽しめるようにするよ」
「お願いします」
するとそこに甘い匂いがしてきた。
「ケーキ焼けてきたみたいだね、時間ある?デザートも出すからさ」
「ではいただきます」
するとそこにお客さんがやってくるが。
「この店はお菓子屋さんなの?」
お子さんと一緒である。
「ここはお菓子も美味しいから、お菓子屋さんでもあるかな」
「テーブル席どうぞ」
「もう少しでケーキも焼けるよ」
「ケーキ、ケーキ!」
「すいませんね、急に注文しちゃって」
どうもこのお客さんの注文なので、ケーキを焼くことになったらしい。
「でも美味しいんでしょ、 私も食べたかったの!」
こう言うとき、お子さまは強い。
「日替わりのデザートのケーキはここが美味しかったって話をしたら、私も食べたいってずっとっての言ってたんですよ」
それで以前聞いてみたところ、そこまで忙しくない時期ならば注文可能ということで、クリスマスが終わったここで注文することになった。
「クリーム系のケーキだと、もっと作れるときが限られてくるんだよね」
準備に三日ぐらいはほしい。
「今年は一回作ったかな」
「クリスマスとかにですか?」
「ううん、奥さんの誕生日」
そこははずせないよね。
「あれ?今日はその奥さんは?」
「出前に出てもらってます」
「このお店、出前もあるの?」
「近所だけですけどもね、鍋でカレーの注文来たんで、鍋ごと運んでもらってます」
「そういう話をすると、近所に引っ越ししたくなります?」
「難しいかもしれないけども、その時は歓迎するよ」
このエリート社員はこの店ガチ勢である、さっそく手元のスマホで、不動産情報を調べる、家賃は悪くないのだが、ネックが通勤までのネックの悪さ、いや、それでもこの店への愛があればとシミュレートするが…
「どうしたの?」
「…なんでもありません」
愛では勝てない結果が出てしまったようだ、表情は暗いまま、デザートのケーキをいただきはじめた。
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