浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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はんぶんこしましょ!

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「その~さすが奥様というか、う~ん、あれは見事というか」
「父さん、奥様の逸話で今回のことで近いものがありまして…」
「なんだね?」
「奥様って度胸があるじゃないですか」
「あれはどこから来ているんだ」
修羅場でも颯爽と歩くときがある。
「粗野で有名な男性がおられまして、その男性が集まりに現れたときに、独身の頃の奥様が、『ごきげんよう』と挨拶したら、そこで驚いて、すっかりとおとなしくなったというか、なんというか」
「その話はどこから?」
「それこそ、集まりの中心人物ですね。面白そうに話しておりましたよ」


「しばらく顔を見せてないけども、元気なの?」
「はい、奥様は元気にしておられます」
「そうか、うちの奥さんも心配してたんだよね」
「あぁ、それは、それは、そちらも奥様に伝えておきます」
「よろしく。しかし、あの子の人生も二転三転だね~」
「当人は七転び八起きまでは不思議といかないと」
「それはいつも思う。行きそうなのに、そこまで行かないから、それが面白くないのは…いるよね」
「そのお話は私が聞いても?」
「いいんじゃない?ね~」
そこで側に控える向こう側の秘書に聞くと。
「それは…そのご自由にとしか」
「じゃあ、話してもいいかな。後で叱られるのは慣れてるし、でもその時はフォローしてよね」
「それはそれで…まあ、教えていただけるならば、その分ということですね」
「そうだね、そう受け取ってもいいよ~」
退屈そうにいう。
「今は仕事ができるやつはどうしても確保しておきたいわけ、出自を問わずと俺は思っているが、そうはいかない、あの子は特にそうだ。話の中に入れたいと思っても、そういうところが引っ掛かる。だから代わりに柄の悪いのを入れることになるんだよね、それだと不思議と何も言えないから」
「それは…力押しできる人を選んでいるということですか…」
「そうそう、でもそういう選び方して、あの子がいないとしたら、代わりに来る人間はどういう人間か、まで見えてないんだよね」
「その結果、我々は奥様という人員をゲット出来たわけですし」
「ラッキーだよ、だから大事にしてあげなよ」
「ラッキーですか」
「うん、だってさ、そっちの領主くんも気に入ってるんじゃないかな~」
「それは間違いなく」
「だよね。だって領主くんってさ、腕がない奴嫌いじゃん」
「えっ?」
「あれ?知らない、人当たりはいいけども、実力で来ないというか、ない人間はあまり好きではないというか、態度が実は違うというか、社交辞令の関係を越えないからね」
「そこまで見ますか」
「俺は、そう見たね。そういう意味では大変に面白い人間かなって思う。あれは才能ですよ。だからこそ、まさかあの子が嫁に行くことになるとはな…」
「そういえば前の、その~お話とも関わってましたよね」
「そうね。悪いけども、そっちは力を入れて応援した。まあ、ああなるとは思わなかったけどもね、それは仕方がないのかもしれないが、正直がっかりしたね。あの子も色々とあるじゃん、だから幸せになるならば、幸せになった方がいいんだよ」
「それは誰しも、どんな人間にも通じることではありませんか?」
「面白いね、君。今の返し、ちょっと好き」
そういった笑っている。
「それはどうもありがとうございます」
「外交、特使とか勤める人間でも、君と同年代ならば頭一つ飛び抜けているんじゃないかなって感じ、ほら、うちにも色々とね、来るから、その中でもいいね、ピカ一とは言わないが、2か3、4まではいかない」
「比べられている相手が誰か、その言い方だとすぐにわかりますね」
「あっ、やっぱりわかっちゃう、そりゃあそうだよね。切磋琢磨って大事だしさ」
「同窓ではありませんが、同じ年だと、そこは切っては切り離せませんから」
「一つのポストを狙って、いがみ合ったりはしたのかな?」
「私は故郷に戻りましたので…」
「へぇ~でも向こうはどうなのかな?は気にならないの?」
「なりませんね」
「あぁ、なるほど、うん、ただまあ、そっちでなんかあったら、耳に入れてくれる?そしたら代わりに面白い話もできるかもしれないし」
「おや、よろしいんで?」
「うん、いいよ。そのぐらいはね。領主くんとあの子への結婚祝いみたいなもんだし」
「でも…」
「なんでしょうか?」
「他にも理由がありそうな気がする」
「教えないけどもあるよ」
「そうですか」
「うん、その教えないけどもあるよ。この理由のために彼女は重宝されている部分はある、少なくとも代えがたい役割があるんだよね。領主くんが俺らとも上手くやってて良かったねってことで」
「意味深だな」
「意味深でしょ?」
こういうのを食えぬ人というのだろうか。
「こういった世界に生きているから、どうしてもこういうしゃべりになるんですよね。直接的じゃなくてごめんね」
「構いませんよ」
「やっぱり俺らみたいなのと話慣れている人間と話すのは楽しいな、イエスマンばかりだとつまらないんだ」
「それなら友達にでもなりますか?」
「いいの!」
「旦那様!」
「ああ、ごめん、これ以上は叱られちゃうね。まっ、また来てよ、次は別の秘書の時に来てね」


「お前、ずいぶん気に入られたものだな」
「ですよね」
「出来るだけ情報を渡してくれる…破格だな」
のらりくらりとしゃべってはいるから、どこが重要なのかはわかりづらいので、とりあえずしゃべるから後はそっちで裏付けしておけというスタイル。
「結婚の祝いというよりは、お前個人へのに近いし」
「あの御方は、孤独なのでしょうか?」
「孤独だろうな」
「あぁ、それでですか、なんかこう…独特の何かがありましたので」
「そういうのに同情はしないように」
「はい」
「それでいい、ああいった立場の方に同情するとしたら、己の全てを失ってもいいと思う時だから」
「私はそこまではないですね」
「本当か?」
「ないな~どう考えても、私の何を見て、そうおっしゃられたのかもわからない」
「宇宙人とでも思っておけ」
「わかりました、牛を拐われないようにはしておきます」


「仕事が終わった、終わった」
ウキウキルンルルル!
さっ、私室に帰ろう!
最近の領主はこんな感じ。
「旦那様」
「あれ?どうしたの?」
「迎えに来ました」
「!?」
執務室から私室は結構離れているし、廊下は寒い。
「終わってなかったら、ちょっと待とうかなって思っていたんですけど」
「ううん、今、終わったところだから」
急いで、デスクの周囲を片付ける。
「忘れ物はないな」
「上着もお持ちしましたので」
夜は冷えることもあり、外套を持ってきてくれた。 
「ありがとう」
よく見ると領主の妻も厚めの一枚を羽織っている。
「寒かったんじゃないの?」
「着込んでますから」
よく見るとモコモコ、しかし、かなり薄手のものを重ねているようだ。
「やはり寒い時期は大きめのサイズに限ると思います」
これで中に着込める。
「でも重ね着しているって感じでもないよね」
「こちらに着てから痩せましたからね」
「!?」
「?」
「や、痩せるって、いや、でも、そこまで不健康では…」
領主は苦労させた、心労で痩せたのかと思い、心当たりがないか、執務よりも頭の中を高速回転させた。
「ええっと、旦那様のお食事を直すために、私も付き合って食べているので痩せただけですが」
「!」
「だって、旦那様がいつも食べているものを、オヤツとか、はんぶんこして食べているじゃないですか」
そうなのである。
前までは自分と同じものを、同量を妻にも用意していたのだが、わりと初期ぐらいに、「旦那様、これからはんぶんこしましょ!」といったら、ちょっと嬉しくて領主の方も「うん!」といった。
「あれは、なんかこう、嬉しくてさ、一つのものを分け合う、半分にして、分かち合うというのっていいよねになったんだけどもね」
「おそらく旦那様も数値改善していると思いますね。しっかり調べないとわからないところはありますけど、前の半分しかオヤツ時は食べてないし、あの量ならば体に無理なく消化できるので、糖分も脂質も体に残らないかなって、まあ、それでも残っているならば、別の手かな」
「策士じゃん」
「なんですか?どこぞの罠ですか?」
「さすがにこれがそうとは…いや、しかし、僕は全然気づかなかったよ。これでもしも、本当に数値が改善したのならば」
ネタバレ、前の検査よりもガラッとよくなってますね。
「あれ?僕はどうなるの?」
「健康で長生きをすればいいんじゃないですかね」
「え~」
「太く短く生きられても困りますよ」
「そりゃあ、そうだけどもね。僕は本当に気づかなかったよ、そういうの関係なしに…君という人間が悪意とか持って行動しなくて良かったと思う、これさ、逆もやれなくもないってことじゃん」
「甘いものや脂っこいものは美味しいよ!」
「そうだけどもさ」
「検査、数値は何のためにあるのかっていったら、危険を予見してってことですからね。それに引っ掛からないなら、楽しめばいいのでは」
「そうですけど、そうですけどもね。この短期間に変えられるものなの」
「変えちゃいましたね」
「責任を取ってください」
「責任を取ったから、数値改善してみたんですが」
「気持ちが追い付かないよ。あ~とりあえず戻ろう」
「わかりました」
消灯をし、本当にさりげなく領主は妻の手を握った。
「!?」
「寒いからさ」
「わ、わかりした」
わかりましたじゃなく、わかりしたが、動揺の証。
「でもさ」
「なんです?」
「一人で健康で長生きしてもな~は、ちょっとある」
「旦那様、寂しいのお嫌いですもんね」
「嫌いだね」
「趣味を持てばよろしいかと」
「その延長で、美食とかお酒に言ってしまったんだよ」
「食べるもので、ストレスを解消してはあけませんよ」
「そうなんだけどもね。君みたいにバランス取ってくれる人がいないとなると、美味しいって感じることがどうしても楽しみになってしまうんだ」
「それは本当に悪い癖だ」
「おすすめの改善方法って何かあるの?」
「友達を作ったらどうですか?」
「結構交遊関係は多いよ」
「そうですか…」
「それだからこうなったというか」
「なるほど」
「逆に君はどうしてきたのさ」
「お金がなくて、苦労してきたならば、食べ物の知識は上がるものですよ」
「それは真似できない…苦学生も経験したけどもさ、そことはどう違うの?」
「調理はできますか?イエスか、ノーか」
「イエス」
「何を食べれば体を壊さないかわかりませか?」
「ノーかな」
「そこじゃないですかね、問題は」
「あ~なるほど」
「ただ苦学生の食事は、話には聞きますが、体にはあまりよろしくないなっては思いますね。教育機関に通うことになって親元を離れることになった我が子に向けての、食べ物については、家庭によっては月に一回食べるもの、調理済みのものを冷凍して送ったほうがいいとかは教えてもらいましたね」
「それはちょっと羨ましいかも」
「結婚するまでは送ってあげることとか、そういう妻として、母としての話は、書面でまとまることはあまりないので、それこそ、婦人会でこういうときは…みたいな経験則のお話になります」
「婦人会ってそんな話しているの?」
「私はこちらの婦人会ではありませんけどもね」
「こっちはあんまりそういうのはないんだよな」
「うちの実家の方は、色んな所から嫁いでくるのですが、勝手が違いすぎるもんですからね」
「嫁いびりとかいう奴?」
「私はそれは知らないんですよね。ただ、子供ができないと認められない、結婚してから何年以内に生むことのか、なんか決まってるところはあるとは聞きますが、やっぱり奥さん方の実家が強いと、違うのかなって思いますね」
妻側の実家と上手くやれなかったら困るからこそ、気を使いまくる。
「こっちに嫁に来てもらっているっていう感覚が旦那さん側にあると、やっぱり大事にするのかな。逆に同郷同士の場合は、ろくなことにはならないというか、婿を迎えたら、財産狙いだったとか、低く見るとか、そういうのはあったなと」
そして婦人会で話になると、それは許せないわになる。
「互助会って感じだね」
「それはあると思いますよ」 
私室につくと、暖房はついているが、暗いので、明かりをつける。
「ただいま」
領主は妻を後ろから抱き締めた。
「甘えん坊ですか」
「そうなの、僕は甘えん坊なの」
「僕ちゃん、今日もすごかったでしゅね」
「くっ、そんな誘惑に負けそうな俺がいる」
「くっくっ、墜ちますか?堕ちてしまいますか!」
「負けないんだから!」
「頑張れ!」
「頑張る!」
「疲れてますね」
「疲れているときほど、ふざけるのが止まらねえぜ」
「温かいもの用意しますね」
「一緒に準備しようぜ」
「何飲みます?」
「そうだな…」
飲み物準備し終わり。
「今日も本当な疲れたよ」
しんどかったと。
「仕事は気を抜けばひたすら増えるものですから」
「本当だよ、こっちは頑張ってついていってるんだぜ」
「努力でそこを補うのは、限界がありますよ。旦那様はもうちょっと一つの物事に時間をかけた方がいい気がするな」
「その心は?」
「その心は?今の時間で足りてます?」
「ううん、無理」
「でしょ?元々短時間で何かするのは向いてないのに、出来ちゃうからそうなるんですよ」
「そうかな」
「だって時間がきちんとある時の旦那様って、迷わないでこれだなって、さっさっとやっちゃうから、今でオーバーワーク気味なのかなっては思います」
「君に俺の手綱握ってもらった方がいい気がする」
「自分の人生は自分で決めた方がいいですよ。確かに一人では無理だなっていう時はありますがね」
「それはどんな時?」
「う~ん、ひたすらこっちを下に、下げてくる相手に改心とは言わないけども、そういうのをやめてくださいっていって、やめさせる時とか」
「またずいぶん具体例が来たね」
「それぐらい人の心を変えるのは大変なんですよ。人の心を変えないで、状況を変える方がまだマシだ」
「こういうときさ、人間としての君が出るよね」
「そうですかね、まあ、砕けた話し方にはなるのかなって」
「君は元々丁寧な話し方をすると思われる」
「そうでしょうか?」
「そうだよ。もしかしたら裏がある?あるのかもしれないが、そのさ、さっきの迎えに来てくれるのもそうだけども、あれって別にしなくてもいいわけじゃん。なんというか、結婚してから豹変はわかる、でも君はそういうきっかけは特になく、むしろ丁寧な印象すら最近は持つ」
「丁寧な対応したら、こいつチョロいなっていうような態度を取られたりするような、育ちなんで」
「それは…とんでもないところだね」
「ええ、そんな相手と仲良くしろって言われても嫌じゃありませんか?」
「嫌だね。何?君のご家族、僕にとっては義理の家族になるタイプだけども、それを強いたの?」
「強いたこともありますね。私はそれは嫌だったな、大人になってから考えると、あれは治安が悪かったとしか思えなくて」
「それは正解だろう」
「婦人会って独身の人ってあまりいないんですよ。というか、地元出身なの私しかいなかったのか、まあ、地元の人間と話が合わないからこそ、心地よかったのでしょう」
「それは…」
「そういうこともありました」
「無理やり話を切らなくても、過去にしなくてもいいんだよ。それとも僕が頼りない?」
「いつか気持ち悪く感じて…嫌悪感を持たれるのかなっては思ってますから」
「そうなの?」
「私が嫌悪感を持ってるからなのかもしれません、私の身に起こってはいるけども、私ではないと否定したくなるような話といいますかね」
「君はもうちょっと自分を許してあげるといいと思うんだ」
「許す…難しいかな」
「そうなんだ」
「そうですよ。何とかしてほしい時に何とかならなかった、そういうのは、ずっと尾を引く」
「そんなことをありながらも、人に優しくする君がわからない」
「同じですよ、同じような目にはあってほしくないとか、そんなんです」
「君は共に苦労するということに喜びを感じたりはするの?」
「喜びですか?」
「今こうして、オーバーワークに付き合ってるからさ、そこで無上の喜びを感じてるとかは?」
「ないですね。早く終われ、さっさと終われって感じ、でも手を抜かないというか、こう…あるじゃないですか、やってるといきなり終わる時が、そこまでやるって感じですかね」
「誰かに終わりと告げられるわけではなく、あぁここで終わるのだなって感じる、あれかな」
「そう、それです。何かしらの目標をこなしてきた人ならばわかる、それですよ。あそこまではやるべきだと、そこには次の道がある。なんか旦那様と会えたのもそれが効いている気がするんですよ」
「それなら嬉しいね」
「何でですか?」
「本来会うはずがなかったものが、引き合ったというかですね…嬉しいことだよ」
「私は…」
「こんな俺じゃイヤ?」
「まさか…何をいってるんですか?」
目線の高さも合わせてそういってくるものだから、驚いてしまうのだ。
「君は僕を拒絶するから」
「あなたは魅力的な人ですよ」
「そうかな?」
「そうですよ、そこは自信を持ってくださいな」
「好きな子がいるんだよね。その子は、一緒にいると、すごく元気をもらえる、頑張ろうって気になるんだよ」
「それは良い恋ですね。羨ましいです」
「なんで他人事みたいにいうのさ」
「いいじゃありませんか、そんな恋」
「んっもう!」
「牛がいますね」
「君のその急に他人事になる癖は何なのさ、いい感じになっても、逃げるというか、冷静になるというかさ」
「ムードは台無しですよね」
「それも君がいうの?」
「いいますね、言っちゃいますよ。というか、旦那様は、私と長く話して、飽きませんか?」
「飽きないけど、なんで?」
「そうですか?」
「なに嫌なことあったの?」
「私と話したいという奇特な人がいるもんだなって」
「君の話はおもしろいけどもね、ずっと話していたくなるところがある」
「その感性自体がわりと謎というか」
「君の良さをわかる俺でありたい」
「あなたがいなくなったら、そういう人は次に現れることはあるのだろうか」
「いないだろうね」
「そうですか」
「いるんだろうが、いてほしくないという、俺の願望ですがね」
「つまりはわからないってこと」
「そこは難しいよ、いるのかもしれないが、本当にいてほしくない、これは俺と君との時間だからさ、それを誰かと君の時間として、君に思い出してほしくもないんだよね」
「誰に嫉妬してるんですか?」
「誰にだろうね、君に関しては俺は結構そうなんだ、誰かに口説かれたとしても、全部ごめんなさいって断ってくれるのならばいいんだけども、誰かを選ぶ?誰よ、その女!みたいな気持ちになる」
心情がその言葉が一番あってるそうです。
「私じゃダメなの?ダメなところあったら、直すからさが続いちゃう感じなんだよね」
「旦那様ってそんな人なんだ」
「自分でもビックリだよ。いや~恋というのは恐ろしいものだ、自分が自分でなくなったとしても、相手から嫌われるよりはマシだと思ってしまう力強さがあるんだよ」
「…」
「君はそこんところどうなの?」
「人を好きになることは素晴らしいとは思いますよ」
「そうだね」
「その人のためには何でもしたくなる。でもそうなったら、私は破滅するんだろうなって」
「意外とそういうタイプなの?」
「私は愛しかた凄く下手ですから」
少し遅れて、領主の心にぞくぞくっと来た。
「あら?どうしましたか?」
そう聞かれても、余韻は凄まじく。
「歯を磨いてくる」
いきなり領主はそういって、夫婦のトークタイムは終わった。
片付けをして、洗い終わって、さて、私も歯を磨いて寝るかと思っても、領主は歯を磨き続けている。
そして妻が歯磨きをしてると、なんだかやけに近い、ぴったりしてくるなそう感じるほどだったという。
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