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メメメおばさまのコレクション
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伽羅磁(きゃらじ)のタイピンに思わず目が止まってしまった。
石を花に見立てて、蝶が止まるデザインである。
メメおばさま、いえ、今はメメメおばさまでしたね。
私からすると、おばさんは大変に気品が溢れる、将来こういうレディになれたらと思う、憧れの存在なのでございますが、私は親戚の中でも少しばかりか気に入られ、メメメおばさまのご自宅に遊びに行くことがございました。
「メッ」
あなたに良いものを見せてあげるわ?
「メッ」
それはなんですの?
そういって案内されたのはおばさまの私室で、ケースに大事そうに仕舞われているものは、色んな地域の工芸品やアクセサリーなどでした。
こちらはメメメおばさまが今もお仕えしているニンゲンさま、ご主人からのものだそうで…
「メッ」
あの方はお仕事であちこちに行って、その間に私がご自宅を守っているのだけども、いつもお土産として贈ってくださるの。
それは見ただけでもわかる、一目見ただけで、そのニンゲンさま、ご主人はおばさまを大切にしていることがわかる、メメメおばさまのコレクション!
「メッ」
あなたも試験に合格したら、私と同じくニンゲンのみなさんと共に生きることになるけども、その人があなたにとって大事な人になりますように。
後、ダメならさっさと別れろということを教えていただきました。
「すいませんが、この辺でお土産を買うならばどこがいいでしょうかね」
「そうですね…」
この質問は出張に聞くと何度も行う質問である、一人が正解を出せるとは限らないからだ。
取引先や、ホテルのフロント、それがダメならば、食事の会計の際にも同様の質問はする。
とりあえず見に行ってみようかという場所のあてがわかったので、移動すると、その日は休日でフリマと骨董市が駐車場で行われて賑やかであった。
たまにはこういうのもいいかもしれないし、お土産を買う余裕がない時の予備を用意しておいても損はないだろう、そんな気分で顔をだし、店を覗いていった。
気になった1つに蝶のアクセサリーがあった、でも花にあたる石がちょっとおとなしいかなと思ったら、タイピンであったので。
(気にはなるけども、メメメの物を優先したいからな)
その場を後にし、良いものは他にないだろうかと回ると。
(おや)
見かけたのは自分と同じくKCJ、ただ支部も所属も違うので、今もそうかはわからない間柄の女性であった。
向こうもこちらの顔を覚えてないので、そのまますれ違うだけ。
(おっ!)
しかも、その後すぐにこれはメメメにピッタリというか、華やかなや可愛いが好きな彼女ならば喜ぶんじゃないか、そういうものを扱っているお店があったのでじっくりと見てしまう。
「こういうのが好きなタイプには何がいいですかね」
今までメメメにあげたら、特に気に入ったものは保存ケースに収納されていた、その写真を見せて…
「それなら…」
こういうのは流行もあれば伝統もある、自分が選んだものと店の人が選んだものを二つ購入したら。
「オマケしておきますね」
「いいんですか?」
「よろしければまたおこしください」
きっちり営業用のチラシまで渡されたが、この店頭での予算ぐらいで出してくれているのならば、悪くない話であった。
今回それで安く買えたので、それならばさっきの蝶のタイピンも、と思い再び赴くも、もう蝶は飛び去ってしまったようである。
その飛び去った蝶が目の前にいる。
それが少しばかりおもしろかった。
「すいません、何か、私の格好がそぐわないとか、おかしいとか、ありましたでしょうか?」
一方伽羅磁の方は不安だ。
場にそぐわない格好をすることは、色んなものをぶち壊しにしてしまうことにも繋がってしまう。
我が身を振り替えって見れども、どこにその理由があるのかわからないのである。
だからこそ聞いてきたのだろう。
「いえね、伽羅磁さんのタイピン、それを一度前に見たことがありましてね」
「えっ?」
そういわれたら、伽羅磁はますます不安な顔をした。
「ご自分でお買い上げになったものではないんですか?」
「はい、贈り物です」
「ああ、そうだったんですか、それは送り主はなかなかに目利きだと思いますよ、私がそのタイピンを見たときも凄くいいと思ってました、ただ私も先に手に入れたいものを購入してからではないと、手が出せなくて。そっちは買えましたが、買った後にタイピンを思い出して見に行くと、もう売れた後だったんですよ。私が言うのはなんですが、どうぞ、それは大事にしてあげてください、名工と呼ばれる職人のものは今ではなかなか見つけることもできませんから…しかし、送った方もなかなかスミにおけませんね」
もちろん、このスミに澄じゃなくて、侮れない方の隅なのだが。
「そ、そ、そうですかね」
伽羅磁は酷く動揺したという。
石を花に見立てて、蝶が止まるデザインである。
メメおばさま、いえ、今はメメメおばさまでしたね。
私からすると、おばさんは大変に気品が溢れる、将来こういうレディになれたらと思う、憧れの存在なのでございますが、私は親戚の中でも少しばかりか気に入られ、メメメおばさまのご自宅に遊びに行くことがございました。
「メッ」
あなたに良いものを見せてあげるわ?
「メッ」
それはなんですの?
そういって案内されたのはおばさまの私室で、ケースに大事そうに仕舞われているものは、色んな地域の工芸品やアクセサリーなどでした。
こちらはメメメおばさまが今もお仕えしているニンゲンさま、ご主人からのものだそうで…
「メッ」
あの方はお仕事であちこちに行って、その間に私がご自宅を守っているのだけども、いつもお土産として贈ってくださるの。
それは見ただけでもわかる、一目見ただけで、そのニンゲンさま、ご主人はおばさまを大切にしていることがわかる、メメメおばさまのコレクション!
「メッ」
あなたも試験に合格したら、私と同じくニンゲンのみなさんと共に生きることになるけども、その人があなたにとって大事な人になりますように。
後、ダメならさっさと別れろということを教えていただきました。
「すいませんが、この辺でお土産を買うならばどこがいいでしょうかね」
「そうですね…」
この質問は出張に聞くと何度も行う質問である、一人が正解を出せるとは限らないからだ。
取引先や、ホテルのフロント、それがダメならば、食事の会計の際にも同様の質問はする。
とりあえず見に行ってみようかという場所のあてがわかったので、移動すると、その日は休日でフリマと骨董市が駐車場で行われて賑やかであった。
たまにはこういうのもいいかもしれないし、お土産を買う余裕がない時の予備を用意しておいても損はないだろう、そんな気分で顔をだし、店を覗いていった。
気になった1つに蝶のアクセサリーがあった、でも花にあたる石がちょっとおとなしいかなと思ったら、タイピンであったので。
(気にはなるけども、メメメの物を優先したいからな)
その場を後にし、良いものは他にないだろうかと回ると。
(おや)
見かけたのは自分と同じくKCJ、ただ支部も所属も違うので、今もそうかはわからない間柄の女性であった。
向こうもこちらの顔を覚えてないので、そのまますれ違うだけ。
(おっ!)
しかも、その後すぐにこれはメメメにピッタリというか、華やかなや可愛いが好きな彼女ならば喜ぶんじゃないか、そういうものを扱っているお店があったのでじっくりと見てしまう。
「こういうのが好きなタイプには何がいいですかね」
今までメメメにあげたら、特に気に入ったものは保存ケースに収納されていた、その写真を見せて…
「それなら…」
こういうのは流行もあれば伝統もある、自分が選んだものと店の人が選んだものを二つ購入したら。
「オマケしておきますね」
「いいんですか?」
「よろしければまたおこしください」
きっちり営業用のチラシまで渡されたが、この店頭での予算ぐらいで出してくれているのならば、悪くない話であった。
今回それで安く買えたので、それならばさっきの蝶のタイピンも、と思い再び赴くも、もう蝶は飛び去ってしまったようである。
その飛び去った蝶が目の前にいる。
それが少しばかりおもしろかった。
「すいません、何か、私の格好がそぐわないとか、おかしいとか、ありましたでしょうか?」
一方伽羅磁の方は不安だ。
場にそぐわない格好をすることは、色んなものをぶち壊しにしてしまうことにも繋がってしまう。
我が身を振り替えって見れども、どこにその理由があるのかわからないのである。
だからこそ聞いてきたのだろう。
「いえね、伽羅磁さんのタイピン、それを一度前に見たことがありましてね」
「えっ?」
そういわれたら、伽羅磁はますます不安な顔をした。
「ご自分でお買い上げになったものではないんですか?」
「はい、贈り物です」
「ああ、そうだったんですか、それは送り主はなかなかに目利きだと思いますよ、私がそのタイピンを見たときも凄くいいと思ってました、ただ私も先に手に入れたいものを購入してからではないと、手が出せなくて。そっちは買えましたが、買った後にタイピンを思い出して見に行くと、もう売れた後だったんですよ。私が言うのはなんですが、どうぞ、それは大事にしてあげてください、名工と呼ばれる職人のものは今ではなかなか見つけることもできませんから…しかし、送った方もなかなかスミにおけませんね」
もちろん、このスミに澄じゃなくて、侮れない方の隅なのだが。
「そ、そ、そうですかね」
伽羅磁は酷く動揺したという。
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