842 / 908
強制的な友達付き合い
しおりを挟む
「秋澄(あきすみ)じゃない!越木(こしぎ)も久しぶり~」
「こんにちは、お邪魔しています」
「あれ?もしかして秋澄はおまけでこっちに来てるの?」
「はい、メインの用事は越木さんなんで」
「あっ、そうなんだ、それなら秋澄借りていい?美味しいお茶とお菓子あるから、たまにはお話しましょうよ」
「秋澄、こっちは時間がかかるから」
「わかりました、ではお言葉に甘えさせていただきます」
「はいはい、美味しいケーキと飲み物は紅茶でいい?」
「ありがとうございます」
「やっとね、お母様の味に近いシフォンケーキが焼けるようになったのよね。すごいわね、こっちの世界のレシピは、さすが魔改造日本」
「でもその中から近い味のレシピ探すのは大変だったんじゃないですか?」
「そこは根性よ、栽培、晴耕雨読生活している人間をなめないでもらいたいわ」
「今はどういうことをやってるんですか?」
「そうね、花を作りながら肥料の研究なのよね、サメがいる浄水センターあるじゃない?あそこは下水から肥料の材料を取り出せる設備がある、数少ない施設なんだけども、あそこで販売した当初から目をつけていたから、今も問題なく買えている。けども、これからに備えてもっと肥料が少ない方法か、何かいい方法はないかしらね」
「サメ…だと、昔は川のサメの力を借りて、肥料を集めていたんですよ」
「その話詳しく」
「海ならば海藻とか、川でも肥料になるものを知っていて、農家と上手くやっていたとかいう話が」
秋澄はその資料を検索してみたが、日本語ではあるが難しい表現が多かったので、その場で簡単な日本語にして渡した。
「歴史を調べるのはいいかもしれないわね」
「それか新しい方法でも井戸水とか、海水を使うとかね、あちこちで研究は進められてはいるんですよね」
「子供たちに勉強方法聞いてみようかしら」
この女性はお子さんが三人います。
「うちの旦那様だと教えるの向いてないのよね」
「お医者さんですからね」
「悪い人ではないけども、言葉が難しいのは、昔からなのよね。秋澄、この話、興味ある?」
「聞いていい話ならば聞きますが」
「秋澄とかKCJ関係の人ならば驚くような話ではないわよ」
秋澄の話相手でもある女性は、元々は異世界の人間である。
「故郷が、国がなくなりそうな時に危ないから、お父様のお友だちである、うちの旦那さんのお父さんの住んでいるここに引っ越し、いえ、逃げてきたのよ」
「確かかなりお若いときに」
「そうそう、そうなのよね。たまたまお義父さまとうちの旦那様が訪ねてきたときに、発砲事件が起きてね、うちのお父様が逃げるんだっていって、でもそのままの格好じゃ危ないから、いつも花を作っていたときの格好に着替えさせてってね」
何を呑気なことをいってるんだ。そんなことをいっている間も少しでも遠くに逃げる!
あんたはバカなの?はっ、じゃあ代わりに八裂きにされなさいよ。
「両親以外の人には結構酷いこと言われたわね。けども…」
俺が付き添いますよ。
「そういって残ってくれたのが、うちの旦那様よ、同じ年で、あの時は身長も同じぐらいだったんだけどもね」
着替えて、ついでに長い髪もそこで切り落として。
「髪は…」
「こんな長くて艶のある髪をしてたら、おかしいと思われるかもしれない、それならばここでさっぱりしていくわ」
結局これが命を救った。
「しかもさ、たまたま雨上がりと、時期だったのかもしれないけども、逃げたときに膝に泥と花粉がついたのも良かったのかもしれないわね。その花粉は一度つくと取れないから、それを知って服につくの嫌がる人もいるからさ。それでこっちまで逃げてきたときに、あの時きれいな格好のまま逃げていったあいつらは、どうも逃げ延びることはできなかったみたいっていうのを知ったわ。本当に些細なことで、人生って変わるのよ」
そして父の友人の地元で、転校という形をとったところ。
「こっちではのんびり暮らさせてもらったわ、学生時代は園芸部とかにいたし」
だが一度、異世界からの追手が来てしまった。
「あの時は焦ったわ、なんか私は知らないんだけども、なんでお前が生き延びているんだっていうことを恨んでいたわ」
いわゆるドレスで逃げた組の関係者だったらしい。
「お父様が生きていたら、どういう人なのかもっとわかるかもしれないけど、あっ、私に逃げろっていったのがお父様を見た最後ね」
軽く言われた。
「この辺も軽くいうから、聞く人が聞くと引かれちゃうのよね。でも役職についたら、そこを全うするものが当然であり、その子である私もそう思っていたから、逃げろ!っていってくれるとは思わなかったわよ。でもこっちに来てから、そういう義務もなくなったから、それはそれで自由とはなんだって思ってしまったわ」
そこで故郷原産の花の栽培に挑んでみた。
「今じゃこの辺の観光資源になったから、恩返しができたと思ってる、本当に良かったわ、この辺は観光になるものがほとんど無くて、今は宿泊施設も、シーズンになると予約が取りづらくなってるわ。あっ、そうそう秋澄って彼氏出来た?」
「いませんよ」
「無理に作るもんじゃないわよ、ああいうのは」
偉い人の娘さんに生まれたからこそ、その苦労があったようだ。
「私はたまたま恋愛結婚できたけども、あの国にいたままだと、たぶんそういうのはなかったと思うし、そうなると子供たちにも会えなかったんだろうなって思うとね。でも私は本来は…が過るのよ」
「これから先、どんどん新しいことをしていけばいいんじゃないですかね」
「そういうものなのかしら」
「そういうものじゃないですかね」
「あなたもそうやって心の穴を埋めているの?」
「かもしれません」
「うちの旦那様も悔しい思いはたくさんしているから、そういうときと似た顔をしているときがあなたもあるわ、だからこうしてお茶しましょって誘うのよ」
「私、そんな顔してました?」
「あなたは意外と出るわよ、そういうのを我慢しないで見せれる人が彼氏になってくれたりすると、おばちゃんは嬉しいわ」
自分でおばちゃんというが、この人はおばちゃんには全く見えない。
(歴史ある美人公女の一族の生まれだから、遺伝子から違うんだろうな)
いつまでも若く、年下の男性から言い寄られるタイプ。
「気分転換にドレスでも来て、1日過ごしてみたら?」
「それは先日招待されたパーティーで来ましたよ」
「えっ?そうなの?どうだった?」
「普段とは違って落ち着かないですね」
「写真は撮影られたりしなかった?」
「スタイリストさんの作品集にするというのだけは撮りました」
「まあ、それぐらいならいいか、気を付けなさいよ、貴女可愛いから、そういう写真を見て求婚されるってね、…あるのよ」
実際にあったようだ。
「あれは本当に嫌なものね、ええっと強引だったからもあるんだけども、嫌がってもなんか、女性の立場を低く見ている人だったんで、私が困っても、断っても、しつこくて」
何をしているんですか?
「その時、バーン!ってやってきたのは、医師にもなっていた旦那様ね、あれ?いつの間に帰ってきたの?って思っていたんだけども」
この辺では名前も知られていたので、相手は退散した。
「それがきっかけで、子供の時みたいに話しはするようになったのよね。でも向こうも忙しいんじゃない?でも時間を作ってくれて、嬉しかったけども、なんでなのかしらね?って思っていたわ」
二人を見ながら、周囲の方から、結婚はしないのかって言われたりもしたが。
「えっ?なんで結婚?ああ、まあ、そういう話も出るものなのかって呑気に思っていたら、ちゃんとあったわ、告白が、内容は教えれないけども、私はちょっとビックリした」
初めて会ったときから好きでしたから。
「子供の頃からの付き合いだと特にね、よくは知っているつもり、だと思ってはいたけども、実は全く知らなかったのねって、そっからは早かったわ」
結婚して、第一子もすぐに!
「こんな私でも、こういう形で家族を持つことが出来たんだから、秋澄も諦めちゃダメよ」
「そんなに諦めているように見えますかね」
「見える、見えるわ、そういうときの負が私には見える!」
「そこまで背負っている気はないのですが」
「真面目なのは大事よ、そういう姿勢でないとやっぱり困るし、私はそんなところをいいと思ってるわ。でも時々は心を許した相手と人生を楽しむことも必要だと思うのよ、おばちゃんからのお節介ではあるけどもさ」
この人は何度も言いますが、おばちゃんには決して見えません。
シワとかシミに縁がない人生らしい。
「彼氏できたら教えてよ、いえ、今は気になる人はいないの?」
「気になる人か…」
少し考えた後に。
「どうなんだろう」
「あなたはもう少し自分に正直になりなさいよ、好きなものに好きと言わないと、好きなのか、なんなのかわからなくなるわ」
「そういうのをいうのが怖くなるときはありません」
「あるわ…あるわね、そういうの、なんかこうもうちょっと空気読んで!みたいな感じになるときが」
「ちなみにそれはなんですか?」
「庭を熱く語るときかしら、ハサミを少し入れすぎてしまった、あそこでもうちょっと遠慮していれば、もしかしたらって思うとね、言葉が溢れてくるんだけども、誰もついてこないわ、旦那様は笑ってくれるけどもね」
園芸大好きすぎて美人が台無しになりかけるお姉さまが、この人の正体である。
「コッシー、秋澄ちゃん返すわ」
「もういいんですか?」
「秋澄成分を今日はたっぷりと吸収させてもらったので、また足りなくなったら頼むわ」
「了解」
「もう勝手に決めて」
「でも正直、秋澄は奥さんと話したあとは、パフォーマンスが上がるんだよな」
「そうなの?」
「そうですよ」
「知らなかった」
本人も知らなかったようです。
「だから体に悪影響がない、そういう精神的な娯楽、支えはもっと取り入れた方がいいんだけどもな」
「う~ん」
「本人こういう性格だから、自分からはなかなか難しいんですよね」
「そういうことならば公式に秋澄とお茶できるわね、決めたわ、秋澄、私と定期的に時間作るのよ!」
「えっ?はい、わかりました」
強制的な友達付き合いは始まるのである。
「こんにちは、お邪魔しています」
「あれ?もしかして秋澄はおまけでこっちに来てるの?」
「はい、メインの用事は越木さんなんで」
「あっ、そうなんだ、それなら秋澄借りていい?美味しいお茶とお菓子あるから、たまにはお話しましょうよ」
「秋澄、こっちは時間がかかるから」
「わかりました、ではお言葉に甘えさせていただきます」
「はいはい、美味しいケーキと飲み物は紅茶でいい?」
「ありがとうございます」
「やっとね、お母様の味に近いシフォンケーキが焼けるようになったのよね。すごいわね、こっちの世界のレシピは、さすが魔改造日本」
「でもその中から近い味のレシピ探すのは大変だったんじゃないですか?」
「そこは根性よ、栽培、晴耕雨読生活している人間をなめないでもらいたいわ」
「今はどういうことをやってるんですか?」
「そうね、花を作りながら肥料の研究なのよね、サメがいる浄水センターあるじゃない?あそこは下水から肥料の材料を取り出せる設備がある、数少ない施設なんだけども、あそこで販売した当初から目をつけていたから、今も問題なく買えている。けども、これからに備えてもっと肥料が少ない方法か、何かいい方法はないかしらね」
「サメ…だと、昔は川のサメの力を借りて、肥料を集めていたんですよ」
「その話詳しく」
「海ならば海藻とか、川でも肥料になるものを知っていて、農家と上手くやっていたとかいう話が」
秋澄はその資料を検索してみたが、日本語ではあるが難しい表現が多かったので、その場で簡単な日本語にして渡した。
「歴史を調べるのはいいかもしれないわね」
「それか新しい方法でも井戸水とか、海水を使うとかね、あちこちで研究は進められてはいるんですよね」
「子供たちに勉強方法聞いてみようかしら」
この女性はお子さんが三人います。
「うちの旦那様だと教えるの向いてないのよね」
「お医者さんですからね」
「悪い人ではないけども、言葉が難しいのは、昔からなのよね。秋澄、この話、興味ある?」
「聞いていい話ならば聞きますが」
「秋澄とかKCJ関係の人ならば驚くような話ではないわよ」
秋澄の話相手でもある女性は、元々は異世界の人間である。
「故郷が、国がなくなりそうな時に危ないから、お父様のお友だちである、うちの旦那さんのお父さんの住んでいるここに引っ越し、いえ、逃げてきたのよ」
「確かかなりお若いときに」
「そうそう、そうなのよね。たまたまお義父さまとうちの旦那様が訪ねてきたときに、発砲事件が起きてね、うちのお父様が逃げるんだっていって、でもそのままの格好じゃ危ないから、いつも花を作っていたときの格好に着替えさせてってね」
何を呑気なことをいってるんだ。そんなことをいっている間も少しでも遠くに逃げる!
あんたはバカなの?はっ、じゃあ代わりに八裂きにされなさいよ。
「両親以外の人には結構酷いこと言われたわね。けども…」
俺が付き添いますよ。
「そういって残ってくれたのが、うちの旦那様よ、同じ年で、あの時は身長も同じぐらいだったんだけどもね」
着替えて、ついでに長い髪もそこで切り落として。
「髪は…」
「こんな長くて艶のある髪をしてたら、おかしいと思われるかもしれない、それならばここでさっぱりしていくわ」
結局これが命を救った。
「しかもさ、たまたま雨上がりと、時期だったのかもしれないけども、逃げたときに膝に泥と花粉がついたのも良かったのかもしれないわね。その花粉は一度つくと取れないから、それを知って服につくの嫌がる人もいるからさ。それでこっちまで逃げてきたときに、あの時きれいな格好のまま逃げていったあいつらは、どうも逃げ延びることはできなかったみたいっていうのを知ったわ。本当に些細なことで、人生って変わるのよ」
そして父の友人の地元で、転校という形をとったところ。
「こっちではのんびり暮らさせてもらったわ、学生時代は園芸部とかにいたし」
だが一度、異世界からの追手が来てしまった。
「あの時は焦ったわ、なんか私は知らないんだけども、なんでお前が生き延びているんだっていうことを恨んでいたわ」
いわゆるドレスで逃げた組の関係者だったらしい。
「お父様が生きていたら、どういう人なのかもっとわかるかもしれないけど、あっ、私に逃げろっていったのがお父様を見た最後ね」
軽く言われた。
「この辺も軽くいうから、聞く人が聞くと引かれちゃうのよね。でも役職についたら、そこを全うするものが当然であり、その子である私もそう思っていたから、逃げろ!っていってくれるとは思わなかったわよ。でもこっちに来てから、そういう義務もなくなったから、それはそれで自由とはなんだって思ってしまったわ」
そこで故郷原産の花の栽培に挑んでみた。
「今じゃこの辺の観光資源になったから、恩返しができたと思ってる、本当に良かったわ、この辺は観光になるものがほとんど無くて、今は宿泊施設も、シーズンになると予約が取りづらくなってるわ。あっ、そうそう秋澄って彼氏出来た?」
「いませんよ」
「無理に作るもんじゃないわよ、ああいうのは」
偉い人の娘さんに生まれたからこそ、その苦労があったようだ。
「私はたまたま恋愛結婚できたけども、あの国にいたままだと、たぶんそういうのはなかったと思うし、そうなると子供たちにも会えなかったんだろうなって思うとね。でも私は本来は…が過るのよ」
「これから先、どんどん新しいことをしていけばいいんじゃないですかね」
「そういうものなのかしら」
「そういうものじゃないですかね」
「あなたもそうやって心の穴を埋めているの?」
「かもしれません」
「うちの旦那様も悔しい思いはたくさんしているから、そういうときと似た顔をしているときがあなたもあるわ、だからこうしてお茶しましょって誘うのよ」
「私、そんな顔してました?」
「あなたは意外と出るわよ、そういうのを我慢しないで見せれる人が彼氏になってくれたりすると、おばちゃんは嬉しいわ」
自分でおばちゃんというが、この人はおばちゃんには全く見えない。
(歴史ある美人公女の一族の生まれだから、遺伝子から違うんだろうな)
いつまでも若く、年下の男性から言い寄られるタイプ。
「気分転換にドレスでも来て、1日過ごしてみたら?」
「それは先日招待されたパーティーで来ましたよ」
「えっ?そうなの?どうだった?」
「普段とは違って落ち着かないですね」
「写真は撮影られたりしなかった?」
「スタイリストさんの作品集にするというのだけは撮りました」
「まあ、それぐらいならいいか、気を付けなさいよ、貴女可愛いから、そういう写真を見て求婚されるってね、…あるのよ」
実際にあったようだ。
「あれは本当に嫌なものね、ええっと強引だったからもあるんだけども、嫌がってもなんか、女性の立場を低く見ている人だったんで、私が困っても、断っても、しつこくて」
何をしているんですか?
「その時、バーン!ってやってきたのは、医師にもなっていた旦那様ね、あれ?いつの間に帰ってきたの?って思っていたんだけども」
この辺では名前も知られていたので、相手は退散した。
「それがきっかけで、子供の時みたいに話しはするようになったのよね。でも向こうも忙しいんじゃない?でも時間を作ってくれて、嬉しかったけども、なんでなのかしらね?って思っていたわ」
二人を見ながら、周囲の方から、結婚はしないのかって言われたりもしたが。
「えっ?なんで結婚?ああ、まあ、そういう話も出るものなのかって呑気に思っていたら、ちゃんとあったわ、告白が、内容は教えれないけども、私はちょっとビックリした」
初めて会ったときから好きでしたから。
「子供の頃からの付き合いだと特にね、よくは知っているつもり、だと思ってはいたけども、実は全く知らなかったのねって、そっからは早かったわ」
結婚して、第一子もすぐに!
「こんな私でも、こういう形で家族を持つことが出来たんだから、秋澄も諦めちゃダメよ」
「そんなに諦めているように見えますかね」
「見える、見えるわ、そういうときの負が私には見える!」
「そこまで背負っている気はないのですが」
「真面目なのは大事よ、そういう姿勢でないとやっぱり困るし、私はそんなところをいいと思ってるわ。でも時々は心を許した相手と人生を楽しむことも必要だと思うのよ、おばちゃんからのお節介ではあるけどもさ」
この人は何度も言いますが、おばちゃんには決して見えません。
シワとかシミに縁がない人生らしい。
「彼氏できたら教えてよ、いえ、今は気になる人はいないの?」
「気になる人か…」
少し考えた後に。
「どうなんだろう」
「あなたはもう少し自分に正直になりなさいよ、好きなものに好きと言わないと、好きなのか、なんなのかわからなくなるわ」
「そういうのをいうのが怖くなるときはありません」
「あるわ…あるわね、そういうの、なんかこうもうちょっと空気読んで!みたいな感じになるときが」
「ちなみにそれはなんですか?」
「庭を熱く語るときかしら、ハサミを少し入れすぎてしまった、あそこでもうちょっと遠慮していれば、もしかしたらって思うとね、言葉が溢れてくるんだけども、誰もついてこないわ、旦那様は笑ってくれるけどもね」
園芸大好きすぎて美人が台無しになりかけるお姉さまが、この人の正体である。
「コッシー、秋澄ちゃん返すわ」
「もういいんですか?」
「秋澄成分を今日はたっぷりと吸収させてもらったので、また足りなくなったら頼むわ」
「了解」
「もう勝手に決めて」
「でも正直、秋澄は奥さんと話したあとは、パフォーマンスが上がるんだよな」
「そうなの?」
「そうですよ」
「知らなかった」
本人も知らなかったようです。
「だから体に悪影響がない、そういう精神的な娯楽、支えはもっと取り入れた方がいいんだけどもな」
「う~ん」
「本人こういう性格だから、自分からはなかなか難しいんですよね」
「そういうことならば公式に秋澄とお茶できるわね、決めたわ、秋澄、私と定期的に時間作るのよ!」
「えっ?はい、わかりました」
強制的な友達付き合いは始まるのである。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる