浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ヨロシクってよ!

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「お待たせ」
といって現れた彼女を見て…
「あれ?なんか変だった?」
「…変じゃないよ」
「そう?いつもはしないから、こういうのは、変じゃないつもりなんだけども」
そういって、クルっと回ってくれたりする。
(良い)
「いいのよ、本当のこと言って、あんまり似合ってないって」
「似合っているよ、可愛いよ、このままお出かけやめて、お家デートしたいぐらいよ」
「へっ?」
彼女の方が目が点になり、フリーズしているようだ。
「いつもの動きやすい格好もいいんですが、このように色使いからして今の季節に合い、また柔らかいシルエット、今日はなんていい日なんだ、拝んじゃう」
「…はいはい、まずは用事を済ませてしまいましょ」
「うん、わかった」
押し出すように移動し、こんな暑さだ、さっさと片付け、涼しいところにいきたい。
予約した時間に来訪し、少々待って手続きの話し合いで終了。
「お疲れ様でした」
そして、また暑い中、外に出なければならなくなる。
その時に…
「お嬢さん、おデートなどはご興味ありますでしょうか?もしありましたら、どうか私と楽しい時間を過ごしていただけませんでょうか?」
「ヨロシクってよ!」
何を言わせるんだと思いながら、言ってしまった自分に、真顔になりながら、自省した。
(そういうのも可愛らしいのにね)
ほんわかする。
「ねえ、今日みたいな感じの服とかって、今日限定なの?」
「私はこういうのは似合わないからさ」
「そうなの?そんかことないと思うよ、何が駄目なの?」
「こういうのはさ、似合う人が着るものなのよね、なんていうの、私が着ると今日頑張りましたが出ちゃうから」
「そんなものなのか」
「でも誉めてくれてありがとうね」
その笑顔が本当に素敵だった。
本当に君といると、毎日が楽しい…
帰る途中に、ふと見かけたのだが、日傘の中にいる男女がいた。
「今は雨傘じゃなくても一緒に使うのか」
「いいんじゃない?ああいうの」
「えっ?」
「君はさ、暑いの苦手だし、一緒にあんな感じで歩くのはありじゃないですかね」
ええ、もちろん、一つの傘を一緒に使う距離感って最高よね目的です。
「いくらぐらいするんだろ」
「もしも店頭でなかったら通販でいいとは思うけどもね」
カフェで何か食べてから帰ることになり、テナントだったためにトイレは店の外にある。
「私はトイレへ」
そこ間に、早速「大きい」「涼しい」「日傘」で検索してみた。
するとトイレから帰ってきた彼女が。
「トイレに行く途中の雑貨屋さんとかに色々売ってたわよ」
「じゃあ、後で見ようか」
カフェで食事をしたあとに、キャッキャと二人楽しく、日傘を選びまして。
「これでいいんじゃないかな」
鏡の前、俺が傘を持って、彼女との位置を確認する。
「重くない?」
「重くないよ、ただこれだと風の強い日はちょっと怖いけども」
風で煽られて、壊れることは考えられる。
「その時は帽子とか、他のもので工夫しましょうよ」
「ん~そうね」
こうして夏の二人のお出掛けは、日傘を使ってということで、絶妙な距離を維持することが可能となる。
最高じゃない?
暑いだけで、何も役にたたないと思っていたこの夏の、数少ないいいところ、見つけたね!
「大丈夫?」
「えっ?」
「暑い場所にやっぱり居ちゃダメよ、さっ涼しいところに移動しましょう」
そこでお手々繋いでくれました、…もうずっと離さないでほしい。
皆様、この暑い夏をどうお過ごしでしょうか、例えこの地獄であってもいいことはある、私はそう思います。
すいません、ちょっとこれから彼女の手を握り返すので、私はここで失礼します。

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