浜薔薇の耳掃除

花一輪

四人がけのテーブルセット、テーブルの上には花瓶が置いてある。
そこに男が一人現れ、まずはテーブルの上に本を一冊置いてから、イスに座る。
イスの位置を合わせてから、男はその本を手に取り読み始めた。
内容は一組の男女の話、ただ内容というのは近々長い別れがやってくるというもので、それを読んでいくうちに、読んでいる男の顔は、悲しそうになった。
でもたまに明るくなったと思ったら、とても寂しい顔をしていた。
そして本の中の女への男との言葉を読み上げた後に、すぐ花瓶を見た。
表情を戻してから、残された男はどうなったかを語り出す、時は流れども男は女を忘れてはいないようで…その下りで、テーブルの上にある花瓶に、女の手で一輪の花が飾られた。
全てが読み終わると、本はその飾られた。花に向かって。
「恋をするというのは辛いもんだね」
と言葉をかけるのだった。