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人人鳥鳥
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「何か、少しは食べない?」
「ああ、もうそんな時間か」
「まだそこまでってわけではないけど」
「俺、寝てた?」
「そうね」
「ここは涼しいからな」
「そりゃあ、適温じゃなかれば本なんて守れないわ」
「そうだね、じゃあ、ご相伴に預かろうか」
「シチューよ、まあ、あなたのシチューには敵わないかもしれないけども、人の食事を作るなんて久しぶりだわ」
彼女は女性に見えるが、人ではない。
(人人しているときもいいんだけども、鳥鳥しているときもいいんだよな)
そう彼女は鳥の…本人曰く化け物といってた。
「おいしく出来ているか心配だわ」
「君が作ってくれたのならば美味しいと思うよ」
「あのね、そういうのはね…」
ため息をつきながら、食卓を囲む。
「まずはどうぞ」
「ありがとう…いいんじゃない?美味しいよ」
「そう、そう言われるとホッとする」
「で、どうしたの?俺に言いたいことはあるんじゃないの?」
「あまりいい話ではないから、言うの迷ってる」
「そっか」
「私としてはあなたを守りたいってところね」
「そういってくれるのは…」
「私以外にもいるわ」
「そう…」
「そうよ」
「公言してくれるのは力強いね」
「そこが化け物のいいところよ」
「はっはっはっ、おかわり」
「はいはい、でも食べ過ぎちゃダメよ、野菜もね」
「幸せ」
「そう…」
「心配させてごめんね」
「いいのよ、心配になるようなことをあなたが自分で起こしているわけではないし」
「そっか…」
「うん」
「俺って幸せものだね」
「結構人にしては大変なことが起きていると思うんだけども」
「それでもさ、なんていうの心強いっていうのかな」
「化け物一匹が味方についたぐらいで、幸せを感じるのはやっぱりどうにかしてるよ」
「あ~やっぱりいいね」
「口に少しついているわよ」
「えっ、とってよ」
「甘えないの」
「でも甘えたいな」
たまに彼女がする、この人間は何を言ってるんだろうかという目。
「たまらないね」
「やはり人間はわからない」
「人間同士でもわからないものさ」
「それはそうだろうが」
「わかり会おうとしたこともあったのだけどもね」
「もしも私が人ならばこんないい男は逃さないのだがな」
彼女はグラスから冷水を口にする。
「人じゃなくても遅くはないよ」
ぶはっ
「あ、ごめん」
「いえ、うん、気にしないで」
「困らせた?」
「まあ、そんなところだよ」
ため息をついて。
「あまり政には関わらないつもりだけども、あれはこれから先、大変よ」
「君にわかるぐらいならば確実にそれは起こるんだろうな」
「うん、不満をこぼしている人がいた、それを知っても対応しなかった、これはね、危ない兆候よ」
「ああつまり、知ってて何もしなかった、もしくはそこを危険と判断してないってことか」
「そうね、ああいうのは一気に風向きが変わると終わるわよ」
「…」
「言いがたいのはわかるからしゃべらなくてもいいわ、私が勝手にしゃべるから、とりあえず準備はしておきなさい、事が起きなくても無駄にはならないから」
「わかった、備えてはおく」
「信じるのね」
「そりゃあね、心配してくれるのはわかっているし、陥れようとしているわけじゃないし」
「あなたを騙して、頭からバリバリ食べようとしているのかもよ」
「本当に困ったらそうしてもいいよ」
「…もっと自分を大事にしなさい」
「何さ」
「良いから」
「そういえば逐一に近いぐらいで情報が来てるみたいだけども、あれなの?鳥はみんな私のシモベとか?」
「いえ、SNSよ」
「えっ?」
「今の時代は便利ね、それとちょっと情報協力者を確保させてもらったぜ」
「あらやだ、この子ったら、何を餌にしたの?」
「蔵書の、原本ではなくコピーだよ。スキャンするのがめんどくさかった」
後130枚…
「そうだった、君はこの書庫の鍵を渡されているだった」
「裏口だけどもね」
「しかし、運命っておかしいね」
「そうね」
「助けられるとは思わなかったよ」
「だって、あなたが繁殖期で他の鳥の気が荒くなっている山地にやってくるんだもん」
「君が止めてくれなかったら、俺はどうなっていたかわからなかったよ」
「あなた以前にも忠告は何回か人にはしたことはあるが、止まる人、聞き入れてくれる人はそうそういないわ、逆にそういうのがわかっている人は陥ることなく物事を進めるのに、そろそろ忠告するのにも疲れてきた頃だったのよ」
「そっか、君も色々あるんだね」
「そうね」
「不思議だね、君といると気持ちが落ち着くんだよ、さっきまで不安だったり、これからどうしようかと思っていたものが、どっかにいってしまう」
「あなたはあなたの信じた道でいいとは思うわ、誰かの思いや言葉を踏みにじる人はないから」
ああ、ずっとここに居たい。それが無理なら少しでも長く…
「そんな顔をすると、外の話は無粋に思えるわ」
「えっ?でも聞いておかなくちゃダメなやつじゃない」
「聞いても、問題起こした当人が直さなければまた起きるわよ」
「ああ、そっちか、それはどっちにしろ聞かされることになるし、聞いたときには手遅れになるってことね」
「そうね、それをどうにか出来ると私が思う相手が、目の前にいるので、もう本当にね…そのどうしようもない」
「あ~やっぱり!それなら全力でリフレッシュするわ」
「悪いね、私もあれは手を貸せん」
「君が手を貸して、その綺麗な黒羽をむしられでもしたら、俺は笑顔で呪いをかける」
「はいはい、ありがとうね、後で近所のお湯に行きましょうか」
「おっ、いいね、やっぱり温泉は癒しにつきものだろうしね」
はっはっはっ、ふっふっふっ、と時折声が出るような、楽しい時間は過ぎていった。
「ああ、もうそんな時間か」
「まだそこまでってわけではないけど」
「俺、寝てた?」
「そうね」
「ここは涼しいからな」
「そりゃあ、適温じゃなかれば本なんて守れないわ」
「そうだね、じゃあ、ご相伴に預かろうか」
「シチューよ、まあ、あなたのシチューには敵わないかもしれないけども、人の食事を作るなんて久しぶりだわ」
彼女は女性に見えるが、人ではない。
(人人しているときもいいんだけども、鳥鳥しているときもいいんだよな)
そう彼女は鳥の…本人曰く化け物といってた。
「おいしく出来ているか心配だわ」
「君が作ってくれたのならば美味しいと思うよ」
「あのね、そういうのはね…」
ため息をつきながら、食卓を囲む。
「まずはどうぞ」
「ありがとう…いいんじゃない?美味しいよ」
「そう、そう言われるとホッとする」
「で、どうしたの?俺に言いたいことはあるんじゃないの?」
「あまりいい話ではないから、言うの迷ってる」
「そっか」
「私としてはあなたを守りたいってところね」
「そういってくれるのは…」
「私以外にもいるわ」
「そう…」
「そうよ」
「公言してくれるのは力強いね」
「そこが化け物のいいところよ」
「はっはっはっ、おかわり」
「はいはい、でも食べ過ぎちゃダメよ、野菜もね」
「幸せ」
「そう…」
「心配させてごめんね」
「いいのよ、心配になるようなことをあなたが自分で起こしているわけではないし」
「そっか…」
「うん」
「俺って幸せものだね」
「結構人にしては大変なことが起きていると思うんだけども」
「それでもさ、なんていうの心強いっていうのかな」
「化け物一匹が味方についたぐらいで、幸せを感じるのはやっぱりどうにかしてるよ」
「あ~やっぱりいいね」
「口に少しついているわよ」
「えっ、とってよ」
「甘えないの」
「でも甘えたいな」
たまに彼女がする、この人間は何を言ってるんだろうかという目。
「たまらないね」
「やはり人間はわからない」
「人間同士でもわからないものさ」
「それはそうだろうが」
「わかり会おうとしたこともあったのだけどもね」
「もしも私が人ならばこんないい男は逃さないのだがな」
彼女はグラスから冷水を口にする。
「人じゃなくても遅くはないよ」
ぶはっ
「あ、ごめん」
「いえ、うん、気にしないで」
「困らせた?」
「まあ、そんなところだよ」
ため息をついて。
「あまり政には関わらないつもりだけども、あれはこれから先、大変よ」
「君にわかるぐらいならば確実にそれは起こるんだろうな」
「うん、不満をこぼしている人がいた、それを知っても対応しなかった、これはね、危ない兆候よ」
「ああつまり、知ってて何もしなかった、もしくはそこを危険と判断してないってことか」
「そうね、ああいうのは一気に風向きが変わると終わるわよ」
「…」
「言いがたいのはわかるからしゃべらなくてもいいわ、私が勝手にしゃべるから、とりあえず準備はしておきなさい、事が起きなくても無駄にはならないから」
「わかった、備えてはおく」
「信じるのね」
「そりゃあね、心配してくれるのはわかっているし、陥れようとしているわけじゃないし」
「あなたを騙して、頭からバリバリ食べようとしているのかもよ」
「本当に困ったらそうしてもいいよ」
「…もっと自分を大事にしなさい」
「何さ」
「良いから」
「そういえば逐一に近いぐらいで情報が来てるみたいだけども、あれなの?鳥はみんな私のシモベとか?」
「いえ、SNSよ」
「えっ?」
「今の時代は便利ね、それとちょっと情報協力者を確保させてもらったぜ」
「あらやだ、この子ったら、何を餌にしたの?」
「蔵書の、原本ではなくコピーだよ。スキャンするのがめんどくさかった」
後130枚…
「そうだった、君はこの書庫の鍵を渡されているだった」
「裏口だけどもね」
「しかし、運命っておかしいね」
「そうね」
「助けられるとは思わなかったよ」
「だって、あなたが繁殖期で他の鳥の気が荒くなっている山地にやってくるんだもん」
「君が止めてくれなかったら、俺はどうなっていたかわからなかったよ」
「あなた以前にも忠告は何回か人にはしたことはあるが、止まる人、聞き入れてくれる人はそうそういないわ、逆にそういうのがわかっている人は陥ることなく物事を進めるのに、そろそろ忠告するのにも疲れてきた頃だったのよ」
「そっか、君も色々あるんだね」
「そうね」
「不思議だね、君といると気持ちが落ち着くんだよ、さっきまで不安だったり、これからどうしようかと思っていたものが、どっかにいってしまう」
「あなたはあなたの信じた道でいいとは思うわ、誰かの思いや言葉を踏みにじる人はないから」
ああ、ずっとここに居たい。それが無理なら少しでも長く…
「そんな顔をすると、外の話は無粋に思えるわ」
「えっ?でも聞いておかなくちゃダメなやつじゃない」
「聞いても、問題起こした当人が直さなければまた起きるわよ」
「ああ、そっちか、それはどっちにしろ聞かされることになるし、聞いたときには手遅れになるってことね」
「そうね、それをどうにか出来ると私が思う相手が、目の前にいるので、もう本当にね…そのどうしようもない」
「あ~やっぱり!それなら全力でリフレッシュするわ」
「悪いね、私もあれは手を貸せん」
「君が手を貸して、その綺麗な黒羽をむしられでもしたら、俺は笑顔で呪いをかける」
「はいはい、ありがとうね、後で近所のお湯に行きましょうか」
「おっ、いいね、やっぱり温泉は癒しにつきものだろうしね」
はっはっはっ、ふっふっふっ、と時折声が出るような、楽しい時間は過ぎていった。
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