浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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選択する方法がみんなアレ

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「時間ある?」
急に連絡が来た。
「何のご用件で?」
「暇なら少し話せないかなって、ほら、最近話せてないじゃない?顔も見たいなって」
「お体の調子、そちらはよろしくないのでは?」
「そこはなんとかなる、だからどうする?」
頭をかきむしった後に。
「わかりました」
「今からは?」
「いや、今からですか?それはいいですけども…」
「じゃあ、今からってことで」
景色が歪んでいく。
『どうぞこちらへ』
知らない女性の声がして。
「ああ、こっちだよ」
さっきまで電話口で聞こえた声が奥の部屋からした。
「失礼します」
「やぁ、待ってたよ」
「ずいぶんとその、バカなことをしているのですね」
「よく言われないけども、そう思ってるのかなとはわかってる」
この人は相変わらず無茶苦茶だな。
「そんな顔しないでよ、されると意外とショックだ」
「ショックって、それなら…」
「やらなきゃいい、でもそういうワケにも行かないんだよね」
「…わかりました」
この話題になると、たぶんループするのだけは見えたので、納得する。
「それでどういう用件で?」
「最近どうしているかなって」
「えっ?それだけ?」
「それだけのために私はこういうことする人間だと…」
「知ってますが、相変わらず行動力がおかしい人だな」
「何でも手早くやっていけば、失敗したときも治すのが楽でしょ?」
「それはわかってますけどもね…」
納得はできない。
「いくつか情報を渡すから、これで勘弁してください」
「そう?ありがとうね」
「この手使って、何をしようと…まあ、とんでもないことで、おそらく想像もつかないことでしょうね」
「そういうこと、説明してもいいけども」
「関わりたくない…」
「そうか」
「ただまあ、何かを終わらせる、壊すのはわかる」
「そうだね」
「んでもって俺が気にくわないとも思っているものってところですか」
「そういうこと」
もう、そんなの、何なのか、厄介なことでしかないのは見えるし。
「しかし、無茶苦茶ですね」
「そうね、でも他の人間がやってくれるのならば手を出さないつもりだった」
「それが行われないからですか」
「うん、そう」
「それが人生をかけてまでやることなんですか?」
「賭けないよ、馬鹿馬鹿しい」
「えっ?」
「その先も人生はあるんだから、そこで終わりにしてどうするのさ」
「そうなんですけどもね、そうなんですけどもね」
混乱していたと思う。
「だから勝つなら、上手く勝つ」
「終わったあと、受け皿いりますもんね、それになるおつもりで?」
「いや、無理」
「えっ?」
「そこは無理、終わらせるのが精一杯だろうね」
「あなたに終わらせるのが…って本当に何をやろうとしているんですか」
「それは…」
「言わないで、聞いたら責任が後で発生しちゃうから、それに嫌でしょ、俺から計画の前にバレるのは」
「そうね、まあ、でもそうなったら」
「正面衝突でもするんですか?」
「それは面白いね」
「面白いって、それ巻き添えがたくさんでますよ」
「でるね、その計画の前に動くことになったら、でもどちらにせよ、犠牲者は出ているのだから」
「んなに大事なんですか?」
「まあね、責任があるから、最後を迎えさせなきゃいけやいし、あのままだと惰性で続くことになってしまう、それはね、ちょっと困るし、新しい始まりはさっさと進めるべきだよ」
「ここまで聞いた感想が、あ~良かった、中心人物になってなくて良かったです」
「そう、でも出来れば君にも来てほしいな、人はいた方がいい」
「それも勘弁願いますか」
「君にも守るものがあるから?」
「それもあるんですが、そういう組織のいざかざはたぶん俺は自分を活かせないでしょうね」
「へぇ、ここで冷静に自分が何ができるのか考えちゃうのか」
「えっ?考えません?こういうときこそ、それとも考えなしにやるのですか?」
「君とは、もう少し早くに、連絡すれば良かった」
「そっちも大人数で動いているわけじゃないんだから、それは維持した方がいいですよ、今はそれだけでも…」
「ん?どうしたの?」
「あいつの顔がよぎったんで」
「ああ、君にも何か縁があったんだっけ?」
「少しばかり、向こうは知らないでしょうが、直接挨拶としたことはありません…が、やっぱりあそこなんですね」
「正確には違うけども、大ダメージを与えることになる相手だね」
「正面衝突は最終手段にしてくださいよ、あっちは犠牲を厭わないタイプだから、飛び火が起きるだろうし、どこまで焼けるかわからない…」
「そうね、どこまでも焼けるんじゃないかな」
「もう少しスマートにやりましょうよ、なんで戦略的に考えれるのに、選択する方法がみんなアレなんですか」
「でも一番手っ取り早いんだよね」
「アイシスでしたよね」
「そう、今はそこ」
「必要そうなのいくつかまとめておきますから、ただ接触は最小限にしてください」
「わかった、じゃあ、いいサメにするよ」
そこで話を終わらせた。
ああ、もう本当にろくでもないと、たぶん必要になるだろう情報をまとめた。
(さて、どう接触するのか、サメの配達屋さんにでも頼むのかな)
と思ったら、なんか視界がまた変である。この間のように魔法?いや、サメだ!背景の一部がぷぅ~と風船のように、サメの形に膨らんだ。
「サッ」
迷彩の下にはサメがいるらしく、渡す情報のメモをもぐらせるとを。
フサっ
さっきまでの立体感は消え失せた。
そしてこの事を考えないように、がんばって気分を変えるために、コンビニに行って散財することにした。
(アイスコーヒーは忘れないようにしたい)
暑い暑いと言いながら、カゲロウ漂う炎天下を歩いて行くのだった。
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