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山葡萄の天ぷら
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パリン
その後、しばらくしてからサメの体から酒がポタポタと滴り落ちた。
忍ジャメは人間同士のトラブルを自分の体を盾にして庇う。
もちろん傷一つつかないのでこうしているし、これが一番手っ取り早いと思っていた。
しかしだ、しかし、見ている方、守られた方はそうもいかない。
「あなたは、今、何を…」
「俺は悪くない」
「何をいってるんですか、このサメさんが守ってくれなかったら、今ごろは」
ただこの時守ってくれたサメの顔を見えてない守られた側、こっそりサメは滴った酒をペロッと舐めていた。
「こいつ、今、ワイン舐めてたぞ、全然痛くないんじゃないのか!」
「そういう問題ではありません、話し合いをしましょうと言っている最中、自分の立場が悪くなったら、暴力に走る人間だったなんて…サメさん、大丈夫?痛いね、ごめんね、守ってくれてありがとうね」
タオルでサメの体を拭くと、サメ肌なので、タオルの糸が引っ掛かったので、ポンポンと軽く叩くようにして水分を吸いとろうとしているが、タオルは赤葡萄色に染まっていき、割れたガラス片を発見したところで、息が止まりそうになった。
「サッ」
ご婦人、大丈夫でしょうか。
「ほら、見ろ、サメはこんなもんでなんともないんだよ!」
そこになんだ、なんだとやってきた野次馬にも。
「うるせーよ、お前らはなんなんだよ」
そちらにも危害を加えようとするので、サイレンの音が鳴り、引き渡すまで忍ジャメに拘束された。
こうして今日も忍ジャメ達の手に、いや、ヒレによってこの街は守られているのである。
そんな忍ジャメに憧れるのは子供たちだけではない、いや、まぁ~その、河川部長のヒロシや、日本の魔法の名家のご隠居などはサメ大好きだけども、憧れるのは人間だけではない。
「サッ」
サメも憧れるのである。
忍ジャメのイベントの際に、たくさんの人たちに足を運んでもらおうと、コストパフォーマンスがいいものは何かということで、特製有機肥料を三リットルを50人に配布というのを決めた。
実はこの肥料も忍ジャメになりたいサメから生れたようなものだ。
当時は忍ジャメの頭領は、長らく勤めた主家から早期退職をした。
それからすぐに故郷で暮らし、友である河川ザメとわりと楽しく過ごしているのだが、その友や家族に、頭領は「これを知っているか?なかなか旨いんだぞ」そういって山海の珍味を取り寄せたりしてくれた。
牡蠣はその中の一つで、水がきれいになったりするし、サメのおやつにちょうどいいということで、定期的に取り寄せることになる。
そうなると、食べた後の殻はどうしようかなということで、貝塚のようなものが出来上がっていった。
その頃忍ジャメの前身、まだ忍ジャメと名前がつかない、主家を転覆させようというお家騒動な起きた辺り、若いサメが、自分もあんな感じになりたいなと憧れるようになり。
カッ!
カッ!
瓦を割るかのように、ヒレで殻を割っていき、強いヒレを作る特訓をしていた。
この時肥料は作られていたが、落ち葉を集めた腐葉土ベースであり、牡蠣殻は使われていない。
事が起きて落ち着いたのが一年ぶりだと、花を見て頭領は気づいた。
でも何かがおかしい、去年見たときは花は掌に乗るぐらいであったが、今年の花は握りこぶしほどの大きさでボリュームもある。
「サッ」
牡蠣殻を撒いてみたんだ。
友が教えてくれた。
「牡蠣殻を?」
牡蠣殻は海で育てたものは加工をしなければ、肥料にはすぐ使えない。
「サッ」
若い奴が強いヒレを作るために、牡蠣殻を割ってて、殻を割ってた辺りの草の生え方が著しい、ならば他のものに撒いたらいいんじゃないかと、綺麗な花に撒いてみたんだ、そしたらこうなった。
そこから、どの状態がいい土になるのか調べ、近くの農家の人にも協力してもらって、これだ!と思うものを作っていった。
カッ!
カッ!
今では忍ジャメになるためのサメたちが、特訓と称してヒレで殻を割り、割れた殻の上に倒れ込む。
パキッ
そしてそのまま寝転がる。
パキパキパキ…
尾と頭の大きさが違うので、尾を中心としてサメが転がると、地面に円描く。
すり終わると、サメは粉で白くなってるので。
ゴー~
掃除機で吸われ、仲間にパフパフ叩かれた後に、川に飛び込む。
擦り下ろされた蛎殻をそのまま掃除機で吸い、途中何度か紙パックを交換しながら、蛎殻殻は綺麗に集められた。
これを腐葉土と混ぜて、いい感じになったら完成となる。
「サメもいると果樹も任せられるからな」
山葡萄なんかは収穫した後に、ジャムにする、忍ジャメが収穫する前は、山奥だったことと熊がいたために、人間は採らず、熊の餌になっていた。
「次の収穫からは、地元の食品工場に任せて加工しようと思ってる」
その分については真中(ただなか)がまず買うことを決めていた。
「こういう機会に覆木(おおうき)さんに恩返ししておきたいので」
「ならば量を確保しておこう、何、覆木くんに世話になっているのも私たちもだからね」
「サッ」
それならば一緒にレシピも用意したらどうだ。
「レシピ?」
友は言う。
料理人のインスピレーションもあるだろうが、こちらではどう食べてきたかも大事だろう。
「その考え方はなかったな」
「ちなみにまとめ役としては何がおすすめの食べ方なんですか?」
「サッ」
天ぷら。
「こっちではあれ山菜扱いだから」
「あぁ、なるほど、でも俺には山葡萄の天ぷらって思い付かないメニューですね」
収穫してすぐに調理するのがおすすめらしい。
その後、しばらくしてからサメの体から酒がポタポタと滴り落ちた。
忍ジャメは人間同士のトラブルを自分の体を盾にして庇う。
もちろん傷一つつかないのでこうしているし、これが一番手っ取り早いと思っていた。
しかしだ、しかし、見ている方、守られた方はそうもいかない。
「あなたは、今、何を…」
「俺は悪くない」
「何をいってるんですか、このサメさんが守ってくれなかったら、今ごろは」
ただこの時守ってくれたサメの顔を見えてない守られた側、こっそりサメは滴った酒をペロッと舐めていた。
「こいつ、今、ワイン舐めてたぞ、全然痛くないんじゃないのか!」
「そういう問題ではありません、話し合いをしましょうと言っている最中、自分の立場が悪くなったら、暴力に走る人間だったなんて…サメさん、大丈夫?痛いね、ごめんね、守ってくれてありがとうね」
タオルでサメの体を拭くと、サメ肌なので、タオルの糸が引っ掛かったので、ポンポンと軽く叩くようにして水分を吸いとろうとしているが、タオルは赤葡萄色に染まっていき、割れたガラス片を発見したところで、息が止まりそうになった。
「サッ」
ご婦人、大丈夫でしょうか。
「ほら、見ろ、サメはこんなもんでなんともないんだよ!」
そこになんだ、なんだとやってきた野次馬にも。
「うるせーよ、お前らはなんなんだよ」
そちらにも危害を加えようとするので、サイレンの音が鳴り、引き渡すまで忍ジャメに拘束された。
こうして今日も忍ジャメ達の手に、いや、ヒレによってこの街は守られているのである。
そんな忍ジャメに憧れるのは子供たちだけではない、いや、まぁ~その、河川部長のヒロシや、日本の魔法の名家のご隠居などはサメ大好きだけども、憧れるのは人間だけではない。
「サッ」
サメも憧れるのである。
忍ジャメのイベントの際に、たくさんの人たちに足を運んでもらおうと、コストパフォーマンスがいいものは何かということで、特製有機肥料を三リットルを50人に配布というのを決めた。
実はこの肥料も忍ジャメになりたいサメから生れたようなものだ。
当時は忍ジャメの頭領は、長らく勤めた主家から早期退職をした。
それからすぐに故郷で暮らし、友である河川ザメとわりと楽しく過ごしているのだが、その友や家族に、頭領は「これを知っているか?なかなか旨いんだぞ」そういって山海の珍味を取り寄せたりしてくれた。
牡蠣はその中の一つで、水がきれいになったりするし、サメのおやつにちょうどいいということで、定期的に取り寄せることになる。
そうなると、食べた後の殻はどうしようかなということで、貝塚のようなものが出来上がっていった。
その頃忍ジャメの前身、まだ忍ジャメと名前がつかない、主家を転覆させようというお家騒動な起きた辺り、若いサメが、自分もあんな感じになりたいなと憧れるようになり。
カッ!
カッ!
瓦を割るかのように、ヒレで殻を割っていき、強いヒレを作る特訓をしていた。
この時肥料は作られていたが、落ち葉を集めた腐葉土ベースであり、牡蠣殻は使われていない。
事が起きて落ち着いたのが一年ぶりだと、花を見て頭領は気づいた。
でも何かがおかしい、去年見たときは花は掌に乗るぐらいであったが、今年の花は握りこぶしほどの大きさでボリュームもある。
「サッ」
牡蠣殻を撒いてみたんだ。
友が教えてくれた。
「牡蠣殻を?」
牡蠣殻は海で育てたものは加工をしなければ、肥料にはすぐ使えない。
「サッ」
若い奴が強いヒレを作るために、牡蠣殻を割ってて、殻を割ってた辺りの草の生え方が著しい、ならば他のものに撒いたらいいんじゃないかと、綺麗な花に撒いてみたんだ、そしたらこうなった。
そこから、どの状態がいい土になるのか調べ、近くの農家の人にも協力してもらって、これだ!と思うものを作っていった。
カッ!
カッ!
今では忍ジャメになるためのサメたちが、特訓と称してヒレで殻を割り、割れた殻の上に倒れ込む。
パキッ
そしてそのまま寝転がる。
パキパキパキ…
尾と頭の大きさが違うので、尾を中心としてサメが転がると、地面に円描く。
すり終わると、サメは粉で白くなってるので。
ゴー~
掃除機で吸われ、仲間にパフパフ叩かれた後に、川に飛び込む。
擦り下ろされた蛎殻をそのまま掃除機で吸い、途中何度か紙パックを交換しながら、蛎殻殻は綺麗に集められた。
これを腐葉土と混ぜて、いい感じになったら完成となる。
「サメもいると果樹も任せられるからな」
山葡萄なんかは収穫した後に、ジャムにする、忍ジャメが収穫する前は、山奥だったことと熊がいたために、人間は採らず、熊の餌になっていた。
「次の収穫からは、地元の食品工場に任せて加工しようと思ってる」
その分については真中(ただなか)がまず買うことを決めていた。
「こういう機会に覆木(おおうき)さんに恩返ししておきたいので」
「ならば量を確保しておこう、何、覆木くんに世話になっているのも私たちもだからね」
「サッ」
それならば一緒にレシピも用意したらどうだ。
「レシピ?」
友は言う。
料理人のインスピレーションもあるだろうが、こちらではどう食べてきたかも大事だろう。
「その考え方はなかったな」
「ちなみにまとめ役としては何がおすすめの食べ方なんですか?」
「サッ」
天ぷら。
「こっちではあれ山菜扱いだから」
「あぁ、なるほど、でも俺には山葡萄の天ぷらって思い付かないメニューですね」
収穫してすぐに調理するのがおすすめらしい。
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